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マーケティング3分解説_①テリトリーの法則

テリトリーの法則とは?

いきなりですが、私たちは資本主義社会に生きています。ですのでどんな市場にも必ず複数のプレイヤーがいますよね。

たとえば風邪薬。様々な会社が色んなブランドを出しています。パブロン、エスタック、ジキニン、カイゲン...ときりがありません。

このような市場でブランドを目立たせるにはどうすればいいでしょう?という問いに対しての1つの答えがテリトリーの法則です。

そもそもテリトリーとはなんぞや?という話ですが、結論何でもテリトリーになり得ます。

よくある所では①使用用途②デモグラです。以下の例でなんとなく僕が言いたい事は分かって頂けるかと思います。


①使用用途
・スポーツの汚れを落とす為の洗剤
・夜の咳止めの為ののど飴
・足の制汗の為のデオドラント

②デモグラ
・エグゼクティブ向けのカード
・アジア人の黒髪の為のシャンプー
・30代後半女性の為の美容乳液

このようにシャンプーなどであればただの「いい匂いがするシャンプー」ではなく、「アジア人女性の黒髪の艶めきを考えたシャンプー」のように商品の強みが活きるテリトリーを規定して、消費者の認識を形成していくことがテリトリーの法則です。

前置きが長くなりましたが、ここから実際のケースを見ていきましょう!

ケース1(消費財)

まず1問質問です!

冒頭例に出した総合風邪薬市場(パブロン、エスタック、ジキニン、カイゲン等)の中でこのテリトリーの法則を上手く使いこなせているブランドはどれでしょうか?












答えは「パブロン」です。

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このキービジュアルにもしっかり書かれてますがパブロンといえば「早めのパブロン」ですよね。CMでもおなじみだと思います。僕はこのCMが子供の頃から大好きです。家政婦のミタ世代なので松嶋菜々子から薬を貰えるならいくらでも風邪をひいてやろうとさえ思っています。

すいません。本題から外れました。とにかくパブロンは風邪の引き始めという使用用途をうまく切り取ってテリトリーとしています。

すごく明確なBenefitですよね。そしてそこに紐づくRTB(Reason to Believe)は”原因菌からの最初の防御である「気道粘膜」のケア”です。

キャプチャ

素人の僕にはRTBの”気道粘膜のケア”がどれだけ重要なのか正直わかりません。

ただ「風邪の引き始めに飲めば治る!」というBenefitは消費者として認知しています。

ちなみに認知(Awareness)には2種類あるとされていますが、僕の中でパブロンはより望ましいとされているUnaided Awarenessの部類に入ります。

Aided Awareness
→「パブロンをしっていますか?」という質問に対して「はい」と答えられること

Unaided Awareness
→「風邪の引き始めに効く風邪薬といえば何ですか?」という質問に対して「パブロン」と答えられること

テリトリーを上手く切って規定することでAwarenessの質も影響を与えることができるかもしれませんね。

最近アリエールから発売されたアリエールスポーツも使用機会を明確に区切っています。

パブロンとは違いあくまでアリエールのラインエクスティンションですが、考え方は同じです。大坂なおみさんのキービジュアルがかっこいいので載せときます。

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ケース2(嗜好品)

また、嗜好品(タバコやフレグランス)にも十分に使えると思います。ただし消費財とは異なりイメージ戦略寄りになりがちな所はありますが。

例えばLarkというタバコブランドはデモグラとして「脚光を浴びることがなくとも今日を懸命に生きる男の為のタバコ」というテリトリーを規定しています。

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こんな感じの上司いたらどうでしょう?

細かい数値感とかロジックの抜け漏れをめちゃくちゃ詰められそうですね。それはともかくこのKey Visual死ぬほどかっこいいです。

まとめ

ケース1,2からもわかるように業界、サービス関わらず主には①使用用途、②デモグラでテリトリーを切る事ができます。

そして自ブランドの強みが活きるテリトリーを規定し、訴求していくというのがテリトリーの法則の考え方です。

また、最初にこの考えを知った時にSTPのPositioningと似ているのかなと思いましたが、結論としては少し違っていると思います。

なぜならばSTPは製品開発時によく使用されるフレームワークで、このテリトリーの法則はプラダクトやサービスが出来上がった後からでも利用できるからです。そういった意味ではReframingの様な考え方と似ているのかもしれませんね。

はい!
ここまでで基本的な伝えたかったことは終わりです!
読んで頂きありがとうございました。

最後にテリトリーの法則の中でもかなりユニークな例を紹介します。

あまり再現性はないと思うのでここまでの内容を理解できた方は読む必要ないかもしれません(笑)

番外編

商材はキャットフードです。風邪薬と一緒でどれも同じに見えますよね。

キャットフードブランドのフィリックスも他社との差別化に悩んでいました。しかし、あるテリトリーを規定することでトップブランドへと変貌を遂げたのです。

以下のCMを見た事ありますでしょうか?結構昔から流れてるので知ってる方も多いかと思いますがもう一度見てみて下さい。

「やったわねフィリックス」というセリフが印象的ですが、このキャットフードが規定してるテリトリーはずばり”デキるネコさんの為のキャットフード”です。

これまでに紹介した使用機会でもないし、デモグラでもないなんとも曖昧なテリトリーですが実はしっかりと定性調査から導かれたinsightに基づいてます。

フィリックスが飼主に市場調査をしたところ、多くの飼主は自らのペットを「他とは違い、意志が強く、賢く、いたずら好きだ」と答えたそうです。

つまり飼主には「私のペットは他とは違ってデキる子なの!」という思いがあったんですね。それを見逃さずフィリックスはテリトリーに規定したのです。

その前提でまた別のCMを見てください。

どう見えましたか?

恐らくマーケターはこのCMを見た瞬間に「私のお利口なネコちゃんでも我慢できないくらい美味しいキャットフードなのね!」と思わせたいのだと思います。

そして中長期的には「私の賢いネコちゃんにはやっぱりフェリックスじゃないとダメよね」と認識させたいのでしょう。

このように使用機会、デモグラ以外にも定性調査から求められたInsightに基づいてテリトリーを規定していくことも可能です。というかその方がユニークなブランドにできると思います。

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何度見てもかわいいKey Visualですね。いつもこのCMを見るたびに自分のネコアレルギーを呪います(笑)

ではまた!


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