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経営「し続ける」ことの意義

一休.comの経営者、榊さんの「シゴテツ」が非常に面白いです。下記はNewsPicksの記事へのコメントを転載したものです。よろしければご覧ください。


榊さんは非常に優れた経営者であり、経営の実践者であるということがひしひしと伝わってくる内容でした。

物事の優先順位を決め、その軸に沿って必要な行動を都度判断し、実行していく。この事自体は、一見すると画期的なアイデアではないし、真新しい印象はないかもしれません。この記事で述べれられていることは、表面的に読むならばそういう普通のことを言っているように見えるかもしれない。

しかし、それならば、なぜそれが難しいのか。
実際にその原則論のようなことを実践する上では、様々なダイナミズムがあるためるため、困難を極めるのです。
例えば、顧客ファーストで考える、ということについて。顧客を誰に置くのか、というのは、実際は議論が分かれるし、なんとなく利用者ではなく、営業先を想定してもおかしくはありません。さらには、記事中にもあるように、数字への短期的なニーズが生じるケースも少なくないでしょう。


こういうダイナミズムが働くことに適応しつづけると、組織の原則そのものが変質していきます。これは、かつて1950年代の組織論でフィリップ・セルズニックという人が語った「制度化」というものです。
組織は生存のために必要な環境適応を繰り返すことで、段々と元々のやろうとしていたことから、目的がドリフトしていく、ということを述べていますが、そういうことが組織では日常的に起きています。


ある意味で、短期的であっても環境適応なのだから、つまり、仕入先の企業の言うことなのだから、それに適応することは正しい、という論理も成り立ちえます。このときに、どうやってもう一度、エンドユーザーを軸に(誰がエンドユーザーなのかということについても見据えながら)、ビジネスを立て直「し続ける」のか、ということが大事なのだということが、この記事からは伝わってくるのです。

つまり、一度組織を正しく設計すればうまくいくなどということはない、ということ、そして、様々な力学が日々作用して組織は目的のドリフトを余儀なくされるということ、その中でも、顧客は誰なのか、ということを常に再創造し続け、それに基づいて適切な行動を行うこと、そうしたことの裏付けや思考の手がかりとしてデータの収集と分析を怠らないこと。

これら非常に重要な要因を実践「し続ける」ことの大事さを感じさせてくれる内容でした。

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