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第13号 脳卒中後遺症者への筋緊張に対するアプローチ

東生駒病院リハビリテーション科
真鍋清則


はじめに

 ヒトは地球上の空間で生活をしており、この空間において常に重力という力が加わっている。そして重力に打ち勝って姿勢を保ったり、身体を動かしたりして生活をしている。この生活は様々な機能的活動の遂行(坐位や立位、歩行など)と言い換えることができ、そこにはしっかり安定した支持面が必要となる。
 重力に打ち勝つことは非常に重要で、宇宙飛行士が無重力空間で過ごして地球に帰還し宇宙船から降りようとした際に、両下肢で支えることができず、人に身体を支えられる場面を見かけたことはないだろうか。これは重力空間での様々な機能的活動の遂行は、その環境に適応できる筋活動によって達成できていることを物語っている。
 ヒトという動物の最大の特徴は直立二足歩行であるが、これが持続的に行える動物は他にはいない。カンガルーやダチョウの二足歩行は、体幹を垂直に起こした姿勢ではない(図1)1)。

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サルは練習によって直立二足歩行が可能になるが、持続的に長く歩くことはできない。持続的な直立二足歩行を可能にしたのは、下肢に対して骨盤を垂直方向に起こし、膝関節・股関節・体幹・頭頸部の重力に抗して伸展する活動(以下、抗重力伸展活動)ができるように進化した結果である(図2、図3)2)。つまり、体幹を垂直に起こした姿勢で生活しているのはヒトだけであり、この姿勢で重力という力に対して絶えず筋緊張を調整している。このことは、評価・治療を行う上で重要な概念となる。

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 ヒトが日常的に行っている機能的活動の多くは、坐位や立位で両手を使うことが多い。特に立位での活動は、下肢、体幹、頭頸部の抗重力伸展活動が重要である(表1)

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第13号 脳卒中後遺症者への筋緊張に対するアプローチ

運動と医学の出版社

1,650円

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