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この世界をナワバリに

夜の駅前に、強い雨。景色は暗く濁っていた。

駅前から少し離れた場所に、一つの箱があった。だが、誰もそれに気づかない。彼はとうにニャアと鳴くのをやめ、箱に敷かれた、水を吸った毛布の上で丸まって震えていた。

ここにいれば、同居人たちが戻ってくるはず。また、中に戻れる…暖かい部屋。美味しい食事。少女の膝。適度な段差。幸せな記憶が浮かんでは消えた。

眠気。暖かさの錯覚。母猫の記憶が蘇る。だが、毛布を踏みしめても、汚水が滲むだけだった。

その時、ふと雨が止んだ。

…違う。白衣の男が、傘で遮ったのだ。

「…辛かったでしょう。こんな雨の日に…」

男はタオルで彼をぬぐい、熱っぽく言った。

「人が憎いでしょう? …大丈夫、与えてあげます。復讐の力を。猫の野生と人の知恵。一体となった体を、貴方に…」

男は彼を車に載せた。後部座席に先客。彼はタオルを払うと、その膝の上で丸くなった。それはなぜか肩を雨に濡らした、同居人の少女だった。

【続く】

それは誇りとなり、乾いた大地に穴を穿ち、泉に創作エネルギーとかが湧く……そんな言い伝えがあります。