パパラッチ・ヴァーサス・ロボ総理
「総理! 就任の感想を!」「総理!」「総理! 笑顔を!」「総理!」
会見場はフラッシュで真っ白に染まっていた。一方の俺はシャッターも切らず、壇上を白けた目で眺めていた。
カシャン! 隣から何か落とした音。見ると外人カメラマンが、総理のお姿を見て呆けていた。
「クレイジー……」
実に正しい感想だ。俺は壇上を見上げる。そこにJP-SD01……いや、新日本国総理大臣がいる。
ロボなら汚職せず責任逃れもしない。実に安直だ。だが国民の答えも実に安直だった。世界初のロボ総理への気運は高まり続け、ついに実を結んだわけだ。
「ふざけてやがるぜ」「オウ!」
外人が縋る目で俺を見た。
「貴方も…」「ロボは汚職をしない、だと?」「エッ?」
俺は決意を固めていた。不祥事と無縁の総理? ふざけるな。そんなものがいるはずがない。
「見てな、ロボ総理さんよ。俺が化けの皮をひん剥いてやるぜ」
俺は中指を立てた。外人が「クレイジー」ともう一度言った。
【続く】
それは誇りとなり、乾いた大地に穴を穿ち、泉に創作エネルギーとかが湧く……そんな言い伝えがあります。