腐れども、縁
「い…嫌、来ないで…!」
鬱蒼と茂る森の中。腱を切られた薬師の少女は、目の前の魔物に乞う。だが当然、止まらない。少女は恐怖に目を閉じた。魔物は鉤爪を振り上げ…
バオン!
轟音。強い風。届かない鉤爪。震えつつ目を開ける。魔物は消え、代わりに大きな背中があった。
「大丈夫か、嬢ちゃん」
男がゆっくりと振り返り…薬師は気絶した。
「あん?」「お前の顔が怖い」
大きな杖を持った少女がぶっきらぼうに言った。
「まず目玉をしまえ」「おっと!」
腐敗した体の男は、垂れていた眼球を戻し、呟いた。
「格好つかねえな」「黙れクソゾンビ」
黒いフードの少女は薬師を診つつ言った。
「父さんの仇」「もう取っただろ」
彼はぽりぽりと頭を掻き、少女に言った。
「それより、分かってるな」「ん」
男の足元に薬師を運び、少女は屈んだ。無数の唸り声が近づいて来ている。
「ついでだ。全滅させる」
男は両腕を真横に伸ばす。少女は杖を振り上げる。そして呪文を唱えた。
【続く】
それは誇りとなり、乾いた大地に穴を穿ち、泉に創作エネルギーとかが湧く……そんな言い伝えがあります。