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保育園をえらぶとき、考えてほしい5つのこと

評判? 家からの近さ?
入園したあとのトラブルや後悔を少なくするために、
保育園をえらぶとき一度は考えてほしい5つのポイントを紹介します。

1.保育園で時間をすごすのはだれなのか

「朝つれていくのが大変だから、家から近い場所がいいな」
「雨の日でも便利なように、駐車場のある園がいい」

保育園をえらぶとき、親はまずおとなの都合で考えてしまいがちです。

もちろん、保育園えらびに親の負担やメリットを考えることはまちがいではありません。もしかしたら何年にもわたる登園生活、親がしんどくならずに気持ちよく通えることは、とてもたいせつな条件です。

でも、もうひとつたいせつな視点としてわすれないでいただきたいのが、
だれが保育園で1日の大半にもわたる時間をすごすのか
ということです。

ほかでもない、愛するわが子ですよね。

耳にたこができるほど言われていることですが、
乳幼児期は人間の発達のなかでもっとも重要な時期です。
生き物として、これ以上はない爆発的な発達をとげる時期です。
そして、それはひとりの人間として生きていく土台がつくられる時期でもあるのです。

しっかりと丈夫な家を建てるには、まず土台がしっかりつくらなければなりませんよね。砂のようなもろい土台に家を建てたら、どんな立派なみてくれに建てたとしても、すこしのことで揺らいだり、こわれたりしてしまいます。

この時期に子どものなかに育まれるものは、その子のその後の人生をささえる、とてもとても大切な土台のようなもの。
つまり、この時期のかかわりがその子の一生を左右するといっても過言ではないのです。

わが子が保育園ですごすのは、そんな貴重で輝かしい時間だということ。
これはけっして失念しないでおいてほしいポイントです。

子どもはじぶんですごしたい場所をえらべません。
じぶんの選択は、親の都合か、子どもの目線に立ったものか。
保育園えらびは、この両方のバランスをうまくとりながらおこなう必要があるのです。

2.どんな雰囲気なのか

人はどんなときに、心から安らいだり、新しいことに挑戦しようとしたりできるでしょうか。

たとえば、あなたがある会社につとめているとします。
上司がつねにイライラしていたり、ちょっとしたことで怒ったり、
高圧的なもの言いだったり、きく耳をもたない人だったらどうでしょう。
あなたは実力を発揮して仕事にうちこめるでしょうか。

もしくは上司や同僚どうしの仲がわるく、しょっちゅういがみ合いがおこったり、おたがいに不干渉だったりしたらどうでしょう。
安心して相談したり、こまったときに助けをもとめたりできるでしょうか。

きっと多くの人が、そんな環境では安心してはたらけないと思います。

人が安心して自分の力を発揮し、チャレンジしていけるのは、
じぶんの存在が受けいれられ、しっかりと思いを受けとめられ、あたたかく見まもられているときです。
こまったとき、不安なときに自分を助けてくれると信じられる人間がいるときです。

子どもだって、それは大人とまったくかわりません。

場の雰囲気は、そこにいる人間関係でつくられるものです。
まずは心から安らげるおだやかさがあるか。
そして、一人ひとりを受けいれるあたたかさがあるか。
園の職員同士が信頼しあっていて、風とおしのよさが感じられるか。

1日の大半をそこですごすのは、子どもです。
安心して自らどんどん伸びていける雰囲気のなかで、すごさせてあげたいものです。

3.どういうすごしかたをするのか

おうちでの子どもとのすごしかたを思いうかべてみてください。

おなかがへったとなればごはんをつくって食べさせ、オムツがぬれたとなればおしりをきれいにしてオムツをかえ、あっちにハイハイこっちにヨチヨチするわが子をあぶないことがないようにずっと見まもり…。

その子のために、1対1、全力でかかりっきりではないでしょうか。
ヒトの子は、本来こうした濃密でていねいなかかわりを発達の前提にしています。

それが保育園にはいるとなると、どうでしょう。
同じような発達段階の子どもが何人もいるなか、おせわをしてくれる大人は数人。かかわりの濃度の差は、どうがんばっても否定できないのが現実です。

だからこそ、その差をしっかりと理解したプロフェッショナルによって、可能なかぎりおうちでのかかわりの濃度との差がすくないように考えられたすごしかたをすることがたいせつです。

保育園でおこなわれている保育の内容は、それぞれの園によってまるでちがいます。

‟ 大勢のなかのひとり ” ではなく、‟ この世でたったひとりのその子 ” として尊重されたかかわりをしてくれる園をえらびたいものです。

4.口コミやまわりの人の評判をどう判断するか

とつぜんですが、たまご焼きはおすきでしょうか。
たまご焼きと聞いて、どんなたまご焼きを思いうかべましたか。

ひとことにたまご焼きと言っても、甘いものもあればしょっぱいものもありますし、かために焼いたものもとろふわに加減したものもあります。
大根おろしがデフォルトだったり、なかに納豆など具がインしているものをうかべる方もいるでしょう。

「あそこのたまご焼き絶品だよ!」とある人がほめたとしても、
わたしが思いえがくおいしいたまご焼きとは、それはまったくちがう可能性があるわけです。やさしい甘さに価値を感じるのか、それともあとをひく塩気が好みなのか…。
たまご焼きのどこを評価するのかは、人によってそれぞれちがうということです。

「あそこの園はすごくいい保育してるよ!」
「あの先生はさいこうだよ!」

すこしでも評判のいい園をさがそうとネットで検索したり、ママ友に話をきいたりして、そんな評価をきくこともあるでしょう。

しかし、さきほどのたまご焼きの例のとおり、価値観は人それぞれです。
体操教室や英語教育をすばらしいとかんがえる人もいれば、太鼓などの課外活動、もしくは自由奔放にあそべることに共感する人もいるでしょう。
甘いたまご焼きがすきな人もいれば、しょっぱいものがすきな人もいる…。

その人は子育てにおいていったいなにをたいせつに考えているのか。
その点をしっかりと見きわめたうえで、口コミやその人の評価を判断してください。

5.じぶんが信頼できるか

その施設ではたらく保育者を人として信頼できるかどうかは、とても重要なポイントです。どんなに評判がよくても、最終的にその園とおつきあいしていくのはじぶん自身です。
とくに見学での第一印象はとてもたいせつ。

「なにかあわないな」「うそっぽいな」

第一印象でそう感じてしまうと、そこから信頼をするのはむずかしいことが多いのではないでしょうか。

子どもは親の感情にものすごく敏感です。
ことばはなくても、親が感じる不安や不信感はかならず子どもに伝わります。親が信頼していない人のもとでは、子どもは心から安心してすごすことができません。
どこか信頼できないという感がぬぐえない園をえらんでしまうことは、
子どもにとっても不幸なことなのです。

保育園は、最長であれば6年というながい時間おつきあいしていくことになるところです。そのなかでは、ケガもすればトラブルもかならず起こるでしょう。それを乗りこえていくには、信頼感が欠かせません。

耳ざわりのいい言葉やまわりの評判にふりまわされず、
じぶんはこの人(園)を信頼できるかという感覚をたいせつにしてください。

さいごに…

ここまで保育園をえらぶときに考えていただきたいポイントをお話ししてきましたが、かなしいお知らせをお伝えしなければなりません。

今の日本では、
かずある保育園から中身を精査し、はいりたい園をえらんで入園する
ということがむずかしいのが現状です。

「どこでもいいから保育園にいれないと、仕事に復帰できない!」
「とりあえず、はいれるならどこでもいい!」

何度もきいてきた保活中のおかあさんたちの声です。

精査しても希望がとおるかわからない現状ではありますが、
たいせつな子どものあずけ先、
すこしでもその子の人生にとって助けになる選択をしてあげたいものです。

人として生きていくうえでの根っこの部分が育まれるこのたいせつな時期、
だれもが納得してえらんだ保育園で子どもを育てられる社会になることを願ってやみません。

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