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「探究の専門家に聞く 子どもの探究力の育て方」配信しました | 探究チャンネルVOL.17

 教育ジャーナリスト中曽根陽子が、さまざまな立場で教育に関わっているオピニオンリーダーにインタビューする探究チャンネル。やりたいことを見つけて、自分らしく生きていくための探究力の育て方について、これからの教育や子育てについて、ゲストをお迎えしていろいろ伺います。

 今回は一般社団法人みつかるわかる 代表理事 市川力さんをゲストにお迎えした2022年7月8日のVOL.17を、スタッフかよこがリポートします。

市川さんってどんな方?

 2004年~2017年、東京コニュニティースクールの立ち上げと校長として探究学習の研究・開発・実践を続ける。2009年、まだ教育分野に探究という概念が浸透していないころ、『探究する力』を上梓。この本では、子どもたちと一緒に何かをたくらみながら、大人も子どももわからないこと、見えないなりゆきを一緒に追いかけていく探究について執筆し、探究の草分けてき存在になる。さらに「学校外で出来ることがあるのではないか?」「学校外でこそ本質的な学びがあるのではないか?」と思い立ち、東京コミュニティースクールを退職。その後、一般社団法人みつかる+わかるを設立。現在は、全国でみえないなりゆきを追いかける活動をしていらっしゃいます。

みつかる+わかるの活動について

 探究のみつかる。みつかる+わかるの活動では、みつかるフェーズに傾いています。世の中の探究はこのをせず、問いを立てることからスタートしています。問を立てることはわかるフェーズ。問は簡単にたつわけではありません。そして、問いは、立てるものではなく、立つもの。例えば、すぐれた科学者は問いが立っています。
地頭の良い人がオモシロイ結果をだすとは限らず、泥臭く汗をかく人が「おもしろいからずっとやり続ける」と、良い結果がでることがあります。

 探究の学びは、全ての人にひらかれています。地頭の良さにかかわらず、自分の身の回りのちょっとした興味のあることを集め続けると、それをきっかけに問いが立ってきます。そして、集めたものを記録していくことが大切。みつかる+わかるの活動は、これを一緒にやりながら学んでいく活動です。

Feel ℃ Walkとは?

 市川さんは、スライドをつかってFeel ℃ Walkの具体的な活動についてご紹介くださいました。まずは「歩くという字をみてどう感じますか?」という問いから始まりました。

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 歩くとは「あちこち止まって、少しづつ進むこと」つまり「あちこち止まるから、ほどんど進まない」ことでの学び。Feel ℃ Walkはこの原点に戻ろうという活動です。の重要な要素である観察の感度は、少し止まる事で上がります。課題がみつからないとか、問いがたたないのは、おもしろいものを見逃しているからです。多くの人は、何か見つけても「役立たなさそう」「もっと正解に近いものがあるだろう」と先に判断して、目の前にあるものを愚直に拾いません。

 Feel ℃ Walkで大切にしていることは「なんとなく気になる、とりあえず写真に撮る、あてもなく追いかける」こと。このなんとなくとりあえずあてもなくという、今までの学校や家庭ではつかわないことを、意図的にデザインしているそうです。

 市川さんが幼稚園・小学生にFeel ℃ Walkをすると、生き生きと本領を発揮して出かけていきますが、中学生・高校生は「訳が分からない」と困惑するそうです。しぶしぶ出かけて行った中高生が、帰ってくる時には生き生きとしているそうです。

 さらに、Feel ℃ Walkでは、戻ってきてから、集めてきたものを模造紙に書きます。この時も、中高生は「画力がない」と嫌々取り組む生徒もいるそうです。Feel ℃ Walkでは、グループワークの時、言葉で対話するのではなく、個人作業で模造紙の四隅にそれぞれが自分の集めてきたものを思い思いに描きます。生徒たちは、他者を意識せず、同調圧力を感じない状況になり、自分の絵に没頭します。

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 「何もみつからない。問が立たない」といっていた高校生が、これだけ観察力を発揮します。教科の授業では、問いに答えられる子と答えられない子がいるけれども、Feel ℃ Walkでは、全員が描けます。100%自分なりの発見ができます。
 「この発見する力は、だれでも持っている。これが探究のです。続けていきましょう。」と高校生に市川さんが語ると、みんなが自信に満ち溢れ、とてもクラスの雰囲気が良くなるそうです。

 スライドで高校生の絵や様子を拝見しつつ、市川さんのお話を聞いていると「私もFeel ℃ Walkを体験したい!」という気持ちでいっぱいになりました。是非、動画をご覧ください。

そもそも探究って何ですか?

 探究で一番最初に考えるべきことは、何かを身に付ける事ではなく、身についている力を発揮する事。人間が生まれながらにして持っている観察力、発見力、試行錯誤する力、表現力、創り出す力、協力して取り組む力、これらを発揮することが探究。

 そして、探究は「見つかる・わかる」であって「見つける・わける」ではありません。つまり、探究は自動詞なのです。見つかったものを愚直に集めていけば、そこに探究の種は自動的に集まります。見つかったものは、自分の中で自分なりにわかりたくなる。さらに、わかるとそれを活かして表現したくなる。このシステムが探究。

 その一方で、何かを憶える必要もあります。知識を憶えることは、探究することとトレードオフの関係なので、探究力が落ちます。人間は、知識を憶えてそれで解決した方が楽と気づき、そちらの方向性にいくことがあります。探究という「意識的に何かを探りながら、発見しながら、作り上げる」この面倒で厄介なことに手をだしていかねばなりません。

子どもの探究力を育むために家庭でできること?

 探究力を育む必要はなく、探究力は発揮するもの。Feel ℃ Walkをすると、一瞬で自分の中にある探究力が復活します。探究力を維持するためには、ひたすらというキーワードが大切。探究力は、日々、好奇心を持ち続けない限り、錆びついてしまいます。誰がコントロールするかというと、自分がコントロールするしかない。そういう覚悟が必要です。
親子でFeel ℃ Walkに取り組むときは、期限がなく、同じところを何度でも訪れることができます。これは、観察し続ける科学的思考の第一歩になります。そして、大切なポイントは「子どもが動かなくてもほおっておく」こと。とにかく親が率先して楽しむ。親が楽しんで取り組んでいれば、必ず子どもは興味を持ってきます。
市川さんは、スライドを利用して具体的な事例をたくさんご紹介くださいました。役にたつ声掛けの具体例もあります。是非、動画をご覧ください。

中曽根陽子の『探究力の育て方』の感想

「この本には、大事な視点、脳の話が書いています。まず、そこが良い」と市川さん。大人は、人間がそもそも持っている脳の働きを軽視して、具体的な手法に走る傾向にあります。しかし、人間の脳のシステムと探究力とどうつながっているかを考えることが大切です。保護者や先生方が探究を考える時、子ども達に何かさせようとすると失敗します。子ども達の探究している脳の中で何が起きているのか? を考え「どういう形で働きかけるか」、さらに、自分の脳の中で何が起きているのか?、自分に置き換えて考えてほしいです。

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