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VOL.2 with コロナ時代,アメリカ公立小学校の教育事情

アメリカ コネティカット州で子育てをしている美枝です。
息子は、9月から、小学2年生になります。日本では、コロナの影響で夏休みが早く終わり、残暑の中、既に2学期が始まっていると聞きました。アメリカは、6月第2週から、ずーっと夏休みです…。

私が住んでいる地域では、9月9日から新学期が始まる予定ですが、今年は、コロナ禍の影響で、9月から、どのような形態で学校が始まるのか、まだなにも連絡がありません。(現在、8月28日。新学期のスタートまで2週間を切っています。)学校側も、コロナ対策に苦慮している様子は分かりますが、これはどうしたものか…。

アメリカでは、全国一律ではなく、通学、リモートラーニング学習、ハイブリッド学習(通学+リモートラーニング)など、それぞれの学校で、多様なコロナ対策が行われようとしています。そこで今回は、アメリカ(コネティカット州)で、これから、どんな教育を実施しようとしているのか、お知らせしようと思います。

まず、簡単に、これまでの経緯をまとめますと、8月7日までに、自分の子どもを、1)完全にリモートラーニングにするか、2)学校に通わせたいかの、二社択一を迫られました。
アメリカらしく、一律ではなく、親が自分の責任で、子どもをコロナからどう守るかを、選ぶことができます。でも、それはとても難しい選択です。
何人かのママ友に聞いても「決められない。。」と悩む声が大多数でした。
なぜなら、「完全にリモートラーニング」にするのが、子どもをコロナから守るために一番良いのは分かっている。でも、そう決められないのは、3月〜6月まで行った「リモートラーニング」が、どれだけママ達にとっても苦痛だったかを物語っているからです。
先日、私が「リモートラーニングにしようかな!?」と言うと、ママ友は、" You are brave and patient.(勇気があって、我慢強いわね)"と言いました。この言葉は、小学校低学年のリモートラーニングの難しさを、表していると思います。
ここで、アメリカのリモートラーニングってどんなものか、3月〜6月に行っていたことを、少し紹介します。
1)各生徒に1台づつipad支給。(元々、学校の授業で、一人一台使っていたので、それを自宅に持ち帰らせてもらいました。)
2)担任の先生から、毎日、google classroomへ、課題が送付される。
3)家庭での自主学習で、終わったら、毎日、課題をgoogle classroomへアップロード。
4)先生が添削して、コメントが返ってくる。
と言う手順なのですが、息子は小学校1年生なので、課題を読むのも、するのも、一人では完結できません。なので、ママは「先生」に変身して、教えて、課題をやらせて、終わった課題を提出するまでを手伝わなければなりませんでした。
しかもその内容は、読む(Reading)、 書く(Writing),、語彙(word study),、算数(Math)、スペイン語(spanish) 、美術(Art)、音楽( Music)、 読書(Library)、P.E.(体育)など、多岐にわたり、時間がかかりました。
小学校高学年や中学生のママと話した時も、「子どもたちが、家で自律的に、宿題を期限通り提出していくのは、なかなか出来ない。ママのフォローが必要だ」という声がありました。

【ご参考:ある日のリモートラーニングメニュー例(小1)】

先生も、youtubeやオンラインサイトを引用したり、独自のスライドを作成されたりと、とても工夫してくださっています。でも、学校で先生が教えるのと同等の内容を、全ての家庭で親が教える(または子どもだけで勉強する)のは、やはり難しいと感じました。そのため、多くの親から、学校側への要望があり、課題がだんだんと簡単になっていったのです。
このことから、課題のレベルを下げなければ、全ての家庭で、リモートラーニングはできないという事実が浮き彫りになったと思います。
そして、結局、リモートラーニング中は評価できないので、「全員、通知表をつけない」と言うことになりました。。。

現在、学校では、9月からの教育スタイルを、以下の方向で、検討しているそうです。
・年長〜8年生( 中学2年生):通学、もしくは、完全なリモートラーニングを選択
・9年生(中3)〜12年生(高3):ハイブリッド(通学+リモートラーニング)
まだ、学校から詳細の連絡がありませんが、リモートラーニングの場合、6月までの教訓を反映してか、完全に自主学習ではなく、4割〜5割程度は、双方向学習(zoom等で先生とつながる授業形態)を取り入れる予定だそうです。
そのため、これまで教えていた先生は通学クラスを担当するので、教育委員会は、新たにリモートラーニング用の教師を採用するそうで、リモートラーニングを選んだ場合、どんな先生が担当になるのか不明です。また、成績評価をどうするのかも未だ分かりません。
ハイブリッドでは、1クラスの生徒数を減らすため、隔日の通学や、午前組・午後組に分けて1日2時間づつ授業を行うなどのさまざまな措置が取られ、通学以外の時間は、リモートラーニングをする形態です。これも、毎日のパターンが違い、学習効率に疑問が残ります。


こうして、コロナというフィルターを通して、将来の教育のあり方を手探りしていると、学校教育で大切なものは何か?も考えさせられます。
私が感じたことは、
① リモートラーニングは、学習水準が下がってしまう傾向がある。
双方向授業を、4~5割組み込んで、どれだけ水準が上がるのか、今後を見てみたいと思います。
② 子どもたちは、対人関係(先生、友人)から学ぶものも、大きい。
「多様な」友人との関わりから、比較し、失敗や成功を学び合い、自分で気づき、努力した結果、自己効力感を得たりします。この多様な対人関係は、学校の1つの大切な要素だと改めて感じました。今後、リモートラーニングでも、部分的双方向授業を取り入れて、満たされるいくと良いなと思います。
③ 自由時間が増えたことで、子どもにとってのワクワクを大事にして伸ばすことの大切さに気がついた。
学校に行っていると、帰ってきて、塾や習い事など、自由になる時間はほとんどありませんでした。が、コロナ禍となり、学校の時間がなくなると、子どもにとって、興味があり、ワクワクすること(強み)は何か?それを伸ばす時間が大切だと、改めて気づきました。

この、自律的な時間の使い方(子どもが自分で考えて、何をしたいか決めて、時間を使う)のは、大人になって仕事をする上でも、重要な要素だと思います。この視点を、今後も忘れないように、子どもの生活を見ていきたいと思いました。

さて、アメリカの新学期が始まるにあたり、私が住んでいる地域の学習の取り組みを書かせていただきました。
まだ続く、コロナ禍ですが、この、リモートラーニングや、ハイブリッド形態などは、これからの学習を変えていく「兆し」でもあると感じます。
子どもの学びを、状況に合わせて、変えて行かなければならない時、何が大切なのか?を、考えておきたいなと感じました。
アメリカの現状が、そんなことを考える、1つのきっかけになれば、幸いです。


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