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VOL.4 アメリカの小学生は何をどう学んでいるの?

ニューヨーク近郊で子育てしている美枝です。

今日は、小学2年生の息子が、学校でどんな授業を受けて、何を、どう学んでいるのかを書こうと思います。

息子が通っているのは、公立のIB(国際バカロレア)認定校です。
IB(国際バカロレア)認定校については、コチラをご覧ください。

特に、日本と比較して、大きく違うなと私が思う2点をご紹介します。

まず、1つ目は「教科書がないこと」です。

では、何をどうやって学んでいるの?と思いますよね。アメリカは、日本のように国が定めた一律の学習指導要領がありません。
広いアメリカは、政府ではなく、各州の教育委員会が、その地域で学ぶ内容を決めているのです。

また、日本のような学習指導要領に沿った教科書がありません。

各州が決めた学習内容に沿って、各先生が授業の内容を決めるのですが、学校や先生によって、授業内容がかなり違うそうです。

例えば、息子の小学校では・・・

新しい学年が始まるにあたり、毎年10月の始め頃、Open Houseという行事があります。そこで、担任の先生が父兄を集めて、1年間、何を学ぶかを説明します。

そこで、先生が使われた資料が以下です。(算数と、英語の部分のみ)

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ここに書かれているのが、1年間で子どもが学ぶ内容です。教科書の目次みたいなものですね。

教科書がないので、親は、毎日子どもが持って帰ってきたプリントを見て、初めて「今日はこれを学んだのか」と詳しい内容を知ることになります(笑)。
また、日本のように、家で教科書を復習したり、先取りして学ぶということもできません。

2つ目  私が大きく違うなと思うところは、特に、算数と英語の授業で、子ども主導の「探究型の学び」を、取り入れている点です。

担任の先生は、"student-driven, teacher-directed"(生徒が主導で進めて、先生は進捗を見ていく)と言う言葉を使われていました。

具体的に、どのように学ぶのか?と言うと・・・

1)先生は、生徒たちが、現在、どこまでできるか、進捗度を調べる

2)それぞれの生徒のレベルにあった教材を与える。(教材は、生徒の興味を引くアプリを活用しています。以下に詳しく書きます。)

3)生徒主導で、アプリを使ってどんどん学習を進めていき、先生は進捗度をみながら、必要な場合は個別で教える。

同じアプリを使っていても、進捗度は全く違っているようです。2年生の同じクラス内で、ある生徒は、1年生の算数をやっていたり、違う生徒は1学年上の3年生の算数をやったりしています。

【英語で使っている教材・アプリ】

Lexia:日常会話、リーディング、スペリング、ライティングの上達を目的としたアプリで、特徴は、online(生徒が独自で学ぶ)とin-person(先生が教える)をミックスできることだそうです。まず生徒が学んでいき、間違えて目標設定のレベルから外れていくと、そのskill gap(実力が足りない部分)が、リアルタイムで先生に伝えられ、先生は教える必要があると判断する場合は、そこを教えることができると言うもの。
→このアプリを紹介したyoutube

Raz-kids:電子図書館アプリで、本の内容を29レベルの難易度に分けている。最初、先生が生徒のリーディングレベルを設定し、生徒は、そのレベル内の好きな本を読み進めていく。
特徴は、読んだ後に、読解力クイズがついていて、読解問題の練習もできる。読み上げ機能もあり、リスニングを強化することもできるし、自分で読む声を録音することもでき、流暢に読む練習もできる。
→このアプリを紹介したyoutube

Epic:電子図書館アプリで、Raz-Kidsより、本のバラエティがあり、生徒の興味を引く本が多いため、どんどん読み進められる。多読できる。
→このアプリを紹介したyoutube

【算数で使っている教材・アプリ】

ST-Math:ST: spatial-temporal:自空間的な、と言う意味で、算数をビジュアルに捉えるところが特徴的です。ペンギンが進みながら、問題を説いていくので、ゲーム感覚も加わり、楽しみながら算数を進められます。
→このアプリを紹介したyoutube

IXL:アメリカでかなりの大多数の学校で採用されているアプリだそうです。これも、他同様personalized learning(それぞれの生徒の実力合わせて目標設定〜進捗管理できる)算数アプリです)
→このアプリを紹介したyoutube

Math in Focus:シンガポールマスのテキストブック。
これは紙のテキストを使っています。

他は、体育、音楽、図工、スペイン語、IB教育、外遊びなどの時間割です。

こうしてみてくると、気づくことが2点あります。

1点目 先生は「ファシリテーター」。
日本の先生は「教える人」で、一率に同じ内容を、子どもたちに説明します。息子の学校の先生は教えることもありますが、「ファシリテーター」の要素が強い気がします。子どもたちが、自分の力で考え、進んで行くことを見守り、質問を投げかけて、促進する役割です。

2点目 多様性がベースとなっている。
日本の教育は、全ての生徒が、同じレベルを理解することが目的ですが、アメリカでは、子どもたちに違いがあって当たり前で、多様性がベースとなっているようです。

日本とアメリカの小学生の違い、いかがでしたか? 

それぞれに特徴がありますし、息子の学校はIB(国際バカロレア)認定校だということもあります。どちらが優れているとは一概に言えませんし、国の教育体系はすぐに変わらないかもしれません。
しかし、それぞれの子どもたちの強み・良いところを伸ばしてあげられるようになるといいですよね。そのためには、親世代がこうしたやり方を、家庭で臨機応変に取り入れていきたいですね。


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