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【新卒→先輩 インタビュー】THIRD WAYという言葉に縛られたくない (田口ちひろ)

こんにちは。
2022年卒でマザーハウスに入社した矢島(二子玉川ライズ店)と南本(横浜本店)です。今日は、2009年入社の大先輩、田口ちひろさんにインタビューさせていただいた内容をお伝えします!
テーマは、MH語というマザーハウスが大切にしている言葉集の中から選んだ「third way」。(MH語って何?についてはこちらもご覧ください)大量生産と手仕事・先進国と途上国など、対立する二つの物事に対して、どのように「第3の道」を示すのか。マザーハウス社内で大切にされている考え方について、ネパール・バングラデシュ・インドと3カ国でモノづくりに関わり続けている田口さんにその考えを聞きました。


話し手:田口ちひろ/MD(マーチャンダイザー) *写真左から3番目
聞き手:矢島アミナ・南本広大

マトリゴールと日本、
16年経った今でもゴールのすり合わせは必要

—南本:「third way」と聞いて、僕が真っ先に思い浮かんだのが、「生産に携わる現地の方が思い描くゴール」 と「マザーハウスとしてのゴール」という2つを、どのように擦り合わせているのだろうということでした
—田口:これは、全部上手くできているわけではないんですよ。本当に試行錯誤の連続でしかない。例えば、創業から共に歩んでいる「マトリゴール(バングラデシュにあるマザーハウスの自社工場)」とでさえ、日本側とのゴールのすり合わせというのは今でもすごく必要なんです。
お客様に喜んでいただくためのモノづくりという、大きなゴールは(マトリゴールと日本で)一緒なんだけれど、創業当初は、不良品が出ても「まあいいか」という考えが工場側にはあったんです。「お客様に渡せる?」ときいても「お客様って言われても、見たことも会ったこともないよ」という感じ。
でも、「HISのツアー(旅行会社のHISさんと共同企画している工場を訪問するツアー。2023年1月現在コロナ等の理由で催行を見合わせ中)」を通じてお客様がバングラデシュに来てくださって、「このバッグ相棒みたいに使ってるんです」と、直接彼らに話したら「自分たちが作っているものはこういう風に繋がっていく んだな」と実感してくれた。「じゃあ、品質を上げないと!」ってモチベーションになったんです。

そうした積み重ねですり合わせてきましたが、それでもズレは起こります。直近だと革の品質基準について。汗による色移りを防止したいという日本側の要求が大きくなりすぎて、生産側(マトリゴール) に無理をさせてしまっていました。お客様に喜んでいただきたいというゴールからスタートしてたはずだったけど、その要求が行きすぎてしまって... 必要な基準を保ちながら、現地に不必要な負荷がかからないように、社内試験方法の見直しを行いました。バランス感覚大事にしないといけないですね。

お客様に喜んでほしいという気持ちがある限り、
絶対にできると信じてる

—矢島:そうした、価値観や状況が違う中で意識していたコミュニケーションの仕方はありますか?
—田口:職人さんへのリスペクトはすごく大切しています。職人さんはプライドをもって仕事をしている。 できたことは一緒になって喜びたいし、できないことは、どうやったらできるようになるか話し合う。その根本は彼らができると思っているし、可能性を信じているからです。

—矢島:3カ国という異なる環境で生産を続けてこれた、その柔軟的な考え方はどのように身に付いたんですか?
—田口:柔軟性は山口さんを見て学んだんです。山口さんはゴールに忠実な人だけれど、柔軟性の塊だから どんどんアイデアを変えていく人。「どんなに準備してようと、betterな道があれば最適な方を選ぶ」という姿勢を、良い意味で振り回される中で学びました。いろんな挑戦をしてきたからこそ、生産国を広げられたし、今があると思います。

Third Wayは影のようなもの

—矢島:最後に、田口さんにとってのthird wayは何ですか?
—田口:その場、その場でベストを尽くそうと頑張った結果としてthird wayが生まれる、そう考えています。
既存の枠組みを取っ払って生まれるものなので、振り返ったら後ろにいる影のようなものかな。だから、third wayという言葉に縛られたくないという思いは結構あるんですよ!


インタビューを受けて
—矢島:田口さんの「third way とはベストを追い求めた結果である、影のようなもの」という言葉がとても印象的でした!私も何がベストなのか考えながら、常に柔軟な姿勢でお店に立ちたいと思いました!マザーハウスはこれからも山口さんを筆頭に変化し続けていくと思います。私も3年後、5年後、10年後のブランドの変化がとても楽しみです。読んでくださった皆さんもブランドの変化を密かに楽しんでいただけると嬉しいです。
—南本:一番印象的だったのは、「お客様のために」というゴールが生産国からお店まで一貫していることです。その中で挑戦を続けていく上で、僕もまずはお店という場所からベストを追い求めていきたいと思います。


田口ちひろ: MH事業部MD(マーチャンダイジング)部門チーフマネージャー、マザーハウスインディアディレクター。2010年入社後、バングラデシュの自社工場マトリゴールに駐在し、2011年よりネパールに赴任、カントリーマネジャーとして勤務。2018年にインドへと渡り、自社工場の運営を行ったのち、育休・産休を経て、2022年春より現職

この記事を書いた人:矢島アミナ・南本広大

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