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転職で見えた「ファッション×ビジネス×途上国」の揺るがない自分の軸。大丸東京店スタッフ 松本知沙

仕事内容や大変なこと、やりがいなど、マザーハウスではたらくリアルをスタッフに聞く「スタッフインタビュー」。
今回はマザーハウスに中途入社し、現在は大丸東京店スタッフの、松本知沙に話を聞きました。

プロフィール

松本 知沙

松本 知沙 / まつもと ちさ
そごう千葉店 店舗統括責任者

2019年 中途入社
新卒で大手アパレル企業へ入社し店舗勤務。その後、国際協力機関へ転職し、 イベントやセミナー、講演などの企画、運営を担当。 2019年にマザーハウスへ入社後、本店、丸ビル店勤務。 2020年、社内公募制度を通じて、新事業であるアパレルを中心に展開する「E.」事業へ応募、異動。 E.の専門店であるE.大丸東京店の立ち上げのほか、E.の商品を取り扱う店舗での勤務などを経て、2022年11月よりマザーハウスそごう千葉店にて勤務

アパレル企業から国際協力機関と全く異なる仕事を経験し、なぜマザーハウスを選んだのですか?

 もともと、お洋服、そして人に喜んでもらうことが好きでした。学生時代に海外に住んでいたこともあり、グローバルな視点で好きなファッションに関わりたいと、新卒ではアパレル企業に入社しました。いずれバイヤーや商品開発で途上国の人たちの生活が豊かになるような業務に携われればと思っていましたが、入社して気づいたことが大きく2つありました。
 一つは海外に関心のある方は意外と少ない、しかも途上国だとネガティブなイメージが強いこと。もう一つは、バイヤーや商品開発に携われる人はほんの一握りで、店長になるにも5年以上はかかるし、その先に自分のしたいことができるのかは正直、見えませんでした。
 せっかく働くのであれば他の人にもできることではなく、自分ならではのことで社会に貢献したいという気持ちが強くなり、今度は途上国という軸で仕事をしました。
 国際協力機関では、途上国の人たちと時間を過ごすことで、さらに途上国固有の文化やエネルギーといった魅力を、もっといろんな人に知ってほしいという気持ちが強くなりました。一方で、やっぱりファッションが好きという気持ちも揺るぎませんでした。

2つの仕事を経験して、より「途上国」と「ファッション」という軸が明確になったんですね。

 はい。「ファッション」×「途上国」そして、それに支援ではなく「ビジネス」という形で携わることが、私の強みが発揮できる場所、喜びを感じる場所だと確信が持てました。
 その時にセミナーで出会ったのがマザーハウスでした。「マザーハウスなら、自分の軸をぶらさず、やりたい仕事ができる」と、道筋が見えてすっきりとした気持ちになったことを覚えています。
 さらにわくわくしたことは、一つの国に限らず様々な途上国の可能性を引き出そうとしていることや、小売り、販売という形だけではなく、マザーハウスカレッジのようなイベントも通して、いろいろな形で社会へのアプローチしていて、柔軟でユニークな会社だと思いました。

大きな組織を経験してからのマザーハウスへの転職でしたが、どう感じましたか?

 驚いたことは、個々の力が非常に求められるということです。大企業にいた時は会社に対する個の存在感は正直ありませんでした。マザーハウスの入社初日に言われた「みんなで会社を作る」という言葉が今でもしっくりとくるのですが、一人ひとりの考えや行動が時に組織にも影響を与え得る会社だと思います。
 店舗にいてもそう感じることは多く、自分たちが意思決定する場面が多いんです。例えば、商品のディスプレイは前職では本社の指示通りに変更していましたが、マザーハウスは自分たちで都度変更します。他にも、販促企画など店舗自ら発信して行うことも多く、各スタッフがお客様のことを考え、お店やお客様を主語に、何をすべきか、意見出しをすることが常時行われています。
 また、店舗外でも、店舗を横断して店舗運営に関するプロジェクトがあったりと、ブランドの未来を作っていくことをスタッフレベルでも求められます。毎日が本当に目まぐるしいですが、これまでの経験を活かしながら活動できる場があるので、とても刺激的でやりがいはありますね。

前職とのギャップの中で、大変だったこともありますか?

 そうですね。私は今、他社でいう副店長のような立場ですが、マザーハウスの副店長は他の会社の店長に近い業務を行うので、店舗の短期戦略立案やチームビルディング、育成などを行っています。そのため、お店に費やす時間もエネルギーも、以前に比べると多いんですね。だから、お店で起きるできごとに一喜一憂することがおもしろさでもあり、大変なことだなと思もいます。
 特に育成は大変ですが、チームのメンバーがお客様と信頼関係の生まれるような素敵なご対応をしていたり、新しい業務に挑戦することを通して、気づき、変化していく瞬間に立ち会う時があって、それまでの過程や苦労を知っているからこそ、とても嬉しくなり、よくハイタッチしています(笑)

前職にはない裁量の幅と成長速度を感じたんですね。

 はい。思い出してみると、今の大丸東京店がオープンした時は、副店長としての立場に求められる技量が足りず、今までで一番大変だったかもしれません。E.大丸東京店が現在の大丸東京店に変わる際、お店がある階数は違っても、同じ百貨店内のお店だったので、お客様像を理解していたつもりでした。でも実際は、違ったんです。
 お客様のことを理解しきれていない上に、主に扱う商品が、アパレルから経験が少ないバッグへと変わったとたんに、ディスプレイへの苦手意識が出てしまったんです。美しい、選びやすいと感じるディスプレイを言語化したり表現することがすごく難しくて、苦しかったです。
 それでも、「できない」ということへの悔しさと、このポジションを任される期待に応えたいという気持ちから、メンバーとお客様像をすり合わせたり、店長にもサポートしていただきながら、少しずつ売上も伸長して、数カ月後には目標に近づけることができました。
 お洋服もバッグもジュエリーも、全ての商品を扱う、前例の少ない店舗なので、決まった形にこだわることなく、「何が大丸東京店のお客様にとってベストなのか」というのは、みんなでトライ&エラーを続けています。大変ですけど、考え抜いて行動したことによって得る成果は、より大きなやりがいを感じる瞬間でもありますね。

接客の経験は、前職でもあったと思いますが、マザーハウスの仕事の中で一番心が動いた瞬間はどんなときですか?

 マザーハウスに入るまでは、 仕事で涙することはほぼなかったんですが、入社してから、数回、思わず泣いてしまったことがあります。
 一つ選ぶと、あるお客様のことです。その方は、約一カ月ぶりにご来店され、以前ご試着されたワンピースをご購入されることになりました。その時に「着て、お店の前で写真を撮ってもらってもいいですか?」と言われたので、「もちろんです」と承り、その理由をうかがったんです。
 実はその方は、最近、病気治療がひと段落したそうで、海外に住むご友人に写真を送りたいとのこと。「心配をかけたくないから、なかなか連絡しづらかったんです。元気だよ!と伝えられるようになったら、マザーハウスでお買い物をして写真を送るって決めていました」と話してくださいました。
 選んでいただいたワンピースは、その背景をうかがうと納得するような、青と緑が織り交ざった色が美しい、晴れやかな気持ちになるようなものでした。
 一カ月前のあの試着の時、そのワンピースを着て、大事な方に元気にな姿を見せると決意をされ、治療を乗り越えられたのだと思うと、お客様の想いや人生の大事な場面に商品と一緒に寄り添えることが嬉しく、お店の看板の前でにっこりとした笑顔の写真を撮りながら、思わず涙してしまいました。
 マザーハウスでは、商品に込められた想いを知り、お買い物をすることに大切な意味を持ってくださっているお客様が多くいらっしゃいます。そういった瞬間に立ち会わせていただけることは本当に幸せです。

マザーハウスの仲間は、松本さんにはどう映っていますか?

 入社してすぐに「サンクスイベント」という、最も大きなお客様への感謝イベントに携わり、その中で、「ファンミーティング」というお客様とスタッフが交流するプログラムを企画、運営しました。
 準備の際、色々と企画案を出しても「まだ、お客様が喜んでいただける内容はあるんじゃないか」と、なかなか通らず…。参加するお客様の心情を深く考え、どうやったらサプライズ感もあるようなコンテンツがつくれるか、ふり絞って考えました。確か、企画がやっと本決まりしたのは本番の一週間前くらいだったように思います。
 そこから具体化したり、取り次ぎをしたりと、もう怒涛の日々でした!前職でもイベント運営をしたことはありましたが、最後のスピード感と、形にするみんなの土壇場の底力には驚きました。
 当日は、不安もあったのですが、始まってみるとお客様・職人・スタッフの笑い声に会場が包まれました。その風景を見て、心配が一気に晴れて、充実感に満ち溢れたことを覚えています。
 この経験を通じてマザーハウスで働く人について、いくつか共通していることが多い部分があることに気がつきました。
 一つは、お客様や相手のことをとことん考え抜いて、どうやったら笑顔になっていただけるか考えられること。そして、最後まで期待を超えようと奮起し、状況が変わってもやりきることができる遂行力や臨機応変さ。また、自分のやるべきことは行いながら、先回りして相手のために行動できる他者視点と行動力を感じました。
 とても大変だったのですが、個の強さを持ちながら、チームでアウトプットすることができるマザーハウスのスタッフの力を知った経験だったと思います。

今後の夢があれば、教えてください。

 バッグだけでなく、ジュエリーやお洋服を含むトータルでファッションとして楽しんでいただけるようなお店を海外につくりたいです!
 学生時代にシンガポールの百貨店でインターンをした経験から、今も日本の接客文化やおもてなしの心は、世界に対してポテンシャルがあると感じています。海外の店舗の立ち上げや運営に携わりながら海外の人材育成をして、途上国の可能性と日本のおもてなしの魅力を掛け合わせて、世界中の方に幸せなサプライズを届けたいなと思っています。
 前例が少ない目標ですし、今の身の丈にあったものではないかもしれないのですが、マザーハウスでなら夢を大きく掲げることって不思議と恥ずかしくないんです。応援してくれるし、実現できる努力をしたら叶うような気がするからかもしれません。

読んでいただいてありがとうございました!マザーハウスをもっといろいろな角度から楽しんでいただける毎日の出来事を、生産地やお店からお届けしていきます!