いまどきの確定申告
モチベーション
この数年で個人事業主界隈における確定申告周辺の情勢が変わってきたので、フリーランス0〜2年生あたり主な対象読者として、そのへんをつらつらと書いていきたいと思います。
内容の正確性および適法性についてはご自身の判断で、ひとつ、よろしく。
はじめに確定申告ありき
「そもそも確定申告って何?」というところからお話します。
意外とこの質問が多かったので。
確定申告制度とは、日本に居住する万人が等しく行わねばならない、その年の1/1から12/31までに稼いだ金(売上)と使った金(経費)の、帳簿上の帳尻だけ合わせて、警察よりおっかない税務署に上納金を収めるために設けられた制度です。
確定申告書と呼ばれる、Excelだったらすごい楽ちんな書類を、売上と経費と控除を、電卓で計算してチマチマ転記して、翌年の2/15〜3/中旬の期間に税務署に提出しなければいけません。
具体的に言うと、「令和元年1/1〜12/31の分」は「令和2年の2/15〜3/15あたり」(税務署の営業日よってちょっとズレる)に提出しなければなりません。
最終日ともなると夏休みの宿題を最終日にやるタイプのずぼらな人々が長蛇の列をなして税務署に並ぶわけです。こんなんパンデミック間違いなしやろ。
「自分で払う税金を、自分で計算させる」
とか
「捕虜の処刑前に、自分の墓を自分で掘らせるソヴィエト軍」
みたいですね!
税務署員は全員サディスト。はっきりわかんだね。
ただし、全人口の確定申告書をチェックするほど税務署員もヒマじゃないので、扶養されてるニートや貧乏人はそもそも確定申告しなくていい事になってます。
ちなみに108万円以上の収入さえあるなら、0歳児でも確定申告が必要だし、やらないと申告漏れです。もし払わないと、お気に入りのぬいぐるみやおしゃぶりさえも差押え。高級ベビーベッドなんか真っ先に差し押さえられます。納税しないやつは床で寝ろ。
ほら、やっぱサディストのソシオパスだよね。
いまどきの確定申告
余談はさておき、本題の「いまどきの確定申告」についてお話します。
もちろん前提は青色。「最初は白色申告でOK」とかいってる人は単に頭がおかしいだけなので無視してOKです。
で、大事なことなんですが、青色申告ってことは「複式簿記」での記帳が義務付けられます。なんか難しそうな単語出てきましたね...
複式簿記って何?
複式簿記に説明すると3冊ぐらい本が書けるぐらい深いんですが、ぶっちゃけ、わかんなくていいです。
簡単に言うと「1つの取引」を「2つ(以上)の帳簿」に転記するやり方です。
リレーショナルデータベースが無い時代に発明された超便利な記帳方法なんですが、1つの取引情報から、機械的に複式簿記に展開可能なので、べつに複式簿記そのものの記帳方法がわかんなくても何一つ困りません。
なんで困らないかとというと、Freeeとかマネーフォワードとかのクラウド会計システムを使えば、「取引の登録」だけで、そのあたりは全部いい感じにやってくれるからです。だって、やってる事はExcelのセル参照だし。まぁみんなやらなくちゃいけなくて、かつ難しいことにしておかないと都合が悪い人が多いんです。大人の事情。
なお、この話すると税理士は激おこなんで大きな声では言わないように。
取引登録の自動化
近年の確定申告の世界におけるエポックメイキングな出来事の一つとして「クラウド会計システムの台頭」があげられます。
クラウド会計システムの何が最大のメリットかというと「取引登録の自動化」につきます。
取引からの複式簿記展開は、80年代から存在する会計ソフトでも可能でしたが、クラウド会計システムは、銀行の明細、クレジットカードの明細、はては通販サイトの購入履歴(Amazonとか)まで定期的に取得し、それらを元に自動的に取引を登録する仕組みを持っています。
例えば、Amazonでわたしの常備品の「アルカリイオン天然水」を買ったら自動的に事業主貸として経費から除外されますが、Amazonで本を買ったら新聞図書費として取引が登録されます。
また、携帯電話や公共料金等の支払いはクレジットカードで行っていると、Freeeはそれらクレジットカードの明細を取得して、水道光熱費や通信費などに振り分けてくれるというわけです。
これによって何が起こったかというと、確定申告前の記帳祭りという個人事業主特有の面倒な作業を大幅に簡略化することができるようになりました。ぶっちゃけ確定申告と呼ばれる作業の大半はこの行為を指してます。
結果的に、手動で記帳が必要なものは、現金で決済を行ったものだけになりました。私の場合は、かなり現金決済を避けているので、概ね取引件数全体の3-5%ぐらいです。
電子申告の登場
お役所の代表格みたいな税務署も近年はIT化の波にはさからえず、電子申告のためのe-Taxというシステムの運用が2004年から始まりました。
ちなみにe-Taxのeは「エクストリーム(eXtream)」を意味していて、普通の確定申告よりすげえ難しいってことです。なるほどね。
開始当初は、NTTらしいクソみたいな仕様を、クソみたいな五次受けSIerに丸投げしたみたいな、クソみたいなユーザーインターフェイスを持った、まさにそびえ立つクソみたいなシステムでしたが、Freeeのようなイケてるクラウド会計システムがそれらを隠蔽する仕組みを作ってくれたおかげで、あのクソみたいなe-Taxに一切触らずに電子申告が可能になりました。
いやまぁセットアップは相変わらず鬼門なんだけど。以前よりはマシ。
つまりFreeeとマイナンバーカードとカードリーダーだけで電子申告はできるってこと。いやっっほう!
ところで2020年度の確定申告からは、電子申告しないと青色申告の特別控除額が55万円に減る(逆に電子申告すれば65万円のまま)ので、今年度分からはあきらめて電子申告にしましょう。
この税制改革のついでで令和2年分から基礎控除10万円上がってんだよね。実質3-4万の減税。安倍ちゃんありがと!
行方をくらます控除関係書類
電子申告のメリットとしてもう一つは、控除関係書類の提出を省略できること。
・ふるさと納税控除証明書
・生命保険・個人年金・医療保険の控除証明書
・特定口座年間取引報告書
こういうのはハガキでやってきて、何ヶ月後とかに使用するからどっかに行きがちな上に、再発行がめんどくさいor有料。
あと台紙に貼り付けしなきゃいけなかったりでめっちゃだるい。液体糊とかめったに使わないし。ガビガビになるので毎年買ってました。
もちろん保管義務があるのですが、まぁとりあえず大掃除で出てきたら保護しておきましょうね。
結論
そんなわけで、確定申告はものすごく簡単になりました。工数でいうと4-5人日はかかってたのが、クラウド会計システム導入のおかげでだいたい1人日になった感じ。
そのためには
1. マイナンバーカードとカードリーダーを用意して電子申告
2. Freeeにお布施を払い、自動振り分けをちょっとずつ設定する。
3. 後で入力するために現金の領収書だけ別にしとく
こんだけでOK。
日々の家計簿とかレコーディングダイエットの方がめんどくさいです。
結論は「確定申告はめんどくさくない」
以上。解散!
追伸...で、結局「税金の計算」て何?
で、確定申告書を作る、すなわち「税金の計算」って一体なんなんですかね。まぁ下の式を見ればすぐわかるね。
課税所得 = 売上 ー 経費
税額 = (所得 ー 控除) × 税率
この「税額」を計算するためのものが、確定申告書と呼ばれるもの。
税金にはいくつか種類があるけど、そのうちの所得税の納付を行うための計算を行うのが確定申告書というわけです。
確定申告を出すということは、すなわち所得税の申告をするという事。
...で、まぁ...確定申告書だけ見ると所得税だけだと思うじゃん?
次回
確定申告書から計算される他の税金については、また次回。
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