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眠り

寝て見る夢は顔面から始まる。
自分にとっては毎回そうだから「絶対にそうだ!」と言い切れるのですがまわりの友達にこの話をしても全く納得されません。
くやしい。
夢のカメラは確実に顔面にピントを合わせて始まり、カメラはふわ~っと後方に下がりバックの情景を映し出していく。
みんなきっと毎朝起きた瞬間に忘れてしまっているのだと思う。
今夜も布団に入り眠りについたらやっぱり夢は顔面から始まりました。
今夜の私はブッシュマンです。
これに対し「嬉しい!」と思い、それでは!と持ち前のチャレンジ精神で、背後でパォンと鳴いてる象の群れから一番強そうな巨大象を見つけ出し、そいつの懐に入り込み口から垂れ下がっているベロを思いっきり蹴ってみました。
すると巨大象はグレーの顔からみるみると赤みを滲ませ、私の足をギムギムッと踏みつけてきました。
ボキボキッと骨が折れる音が聞こえてきたけれど「夢だから!」と思い私はワハッ!と笑っていました。
しかしあまりの痛さに「アレッ?」と思い、「なんで?」とハテナと涙が溢れ出ました。
脳天をツン裂くほどの不快感、えげつないほど生々しい肉のちぎれる音、皮膚から弾けるように放出される血の感覚。
やっと気付きました。
こっちが現実だったのです。
そういえばバンドをやっているときの自分ってフワフワ~っとしてて適当に事は進んでたなぁ、という思いが駆け巡り、血だらけの気持ち悪さと共にしみじみしました。
現実で見ていたブッシュマンの映画が実は自分のリアルでそれを見ている大阪の男が非現実だったのでした。
そんな納得より今はこの巨大象の踏みつけに対してどうしようかということのほうが大きな問題。
もうこんだけ下半身がグチャグチャになっているのなら「どうしょうもない」という多少の死の覚悟が頭に浮かんできました。
「失敗!」とは思ったけど「まあ、仕方ない!」という思いのほうが上回ってきたので、今まで思っていたアレを試そう!と「目玉の黒いところを砂でジャリジャリやるとどうなるのだろう?」という普段は試したくはないけどいつかは、と思っていた素朴な疑問を「どうせ死ぬのだから」とヤケクソも極まった精神状態の中、象の足跡がムチャクチャに残るカラハリ砂漠の砂を血にまみれた手にペタペタとくっ付けて目ん玉に放り込みました。
その行為は宇宙をねじってブッチ切るほど痛かったです。
それではみなさん、さようなら。

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