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まつたけごはん

昨日、松茸ご飯を食べた。
松茸ご飯と言っても、素の値段は安く、「これって、、、本当に松茸ですか?」レベルの怪しい松茸がほんの少し入ったやつだ。
うむうむ、味はそこそこであった。

さ、何が言いたいかというと私には人生においてめちゃくちゃおいしかった松茸ご飯がある。

それは私がたぶん小学校高学年くらいだった頃の話。(マジで何年生か覚えてないw)
冬休みになると毎年私だけ先に祖母がいる田舎に帰省していた。(そもそも帰省というのかよくわからぬがw)

とある日、うちのばあさん(急にばあさん呼びw)がいつもの如く何か手に持って私に渡してこう言ってきた。
「この賞味期限見てけれ。」
何故だが昔から私に賞味期限をやたら聞いてくるばあさん。
もうこの時から老眼だったのでそら私に聞いてくるのは良いのだが、毎回だいたい賞味期限は切れてることが多い。
案の定、この時もそうだった。
「えっ、、、!?ばあちゃん、、、これ、、、5年は過ぎてる、、、(絶句)てか、これ何、、、?」
なんか透明なパックからその素的な液体と具材らしきものは確認できるのだが、なんせ真っ黒すぎて私にはパッと見何かわからなかった。
「ほれ、その上のとこに書いてるべさ。」
「えっ、、、!?!?これ、、、松茸ご飯の素ってかいてある、、、(絶句)」
そう、それはその時まで無縁だった私と松茸の初対面であった。
「これどうしたの?」
「なんだか覚えてないけど、たぶん社内旅行の時にお土産で買ったんでないかい?」
「これ、、、どうするの?」
「炊くべさ。」

「炊く、、、?(何故、賞味期限を私に聞いたの、、、?)」

「とりあえず、開けて舐めてみてあめてたらぶん投げるし、あめてなかったら炊いて食べてみて駄目だったらぶん投げるしかないべさ。したって、そんまんまなげるのはいたわしいもの。」(あめてるとは腐っているという意味/いたわしいとはもったいないという意味)
結局、確率的にぶん投げる率は高いのではないかと思ったのだが、作るのはばあさんだし何も言えずそれを静かに見守ることにした。

最初の舐めるチェックを無事潜り抜けた5年前に賞味期限が切れた松茸ご飯の素は、ばあさんに適当に計られた生米と共に炊飯器に放り込まれ炊くこと約1時間。
正直、炊飯器の蓋を開ける前からめちゃくちゃいい匂いがしている。

いざ、御開蓋。

見た目は完全にクリアしている。
言うまでもないが匂いもクリアしている。(クリアどころか、嗅いだことのないくらいとんでもなく美味しそうな匂いだ。)
ただ、私はまだ5年前に賞味期限が切れた松茸ご飯の素を信頼しておらず、まずはばあさんの毒味を待つことにした。
「どれ、味見てみるか。」
「ちなみにばあちゃん、松茸食べたことあんの?」
「初めてだわ。」
(、、、。)
そう、ばあさんもそれまで無縁だった松茸と初対面だったのだ。(いや、正確に言うと5年より前に出会っているが食べるのは初めてというやーつ。)

いざ、ばあさん実食。

(、、、!!!)
「あいやー、美味しいわ!おめもけっ!(お前も食えの意味)」
少し半信半疑だったが、ばあさんが差し出してきたしゃもじに乗った松茸ご飯を一口分つまんで食べてみた。
(、、、!!!!!)
「私、こんなに美味しい炊き込みご飯、、、初めて、、、(感動)」
なぜこんなに美味しいのであろうか。。。
この5年で旨味が凝縮されたのだろうか。。。
そんなこんなで、だいたい2.5合くらいはあったであろう松茸ご飯はばあさんと二人でぺろっと一晩のうちに平らげたのであった。
(その後、特に腹も壊さずである。)

あれから20年以上は経っているが、最近のことはめっきり覚えていないばあさん(今月で御年90歳の卒寿らしい人)は未だにこのおいしかった松茸ご飯のことは忘れずにしっかり覚えている。

私にとってもばあさんにとっても思い出の味の1つなのだ。

(なんとか上手に締めくくれたな、、、)

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