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幸せなシュトーレン

日本には、いつの間にか始まって、定着してしまったイベントが多い。
クリスマスも、バレンタインデイも、ホワイトデイも、ハロウィーンも、本来、何を祝っているのか、もしくは、祝っていないのか、よくわからないけれどとりあえず、みんなやってるから乗っておこう的なものが、冬近くに集中している。

これが、例えば、花火大会、盆踊り、夏祭りなどが密集する夏休みに合わせて輸入されたイベントだったら、たぶん、ここまで広がっていないだろう。
ヒマで地味な冬という季節に目を引くイベントだから、広告屋さんの戦略にみんな乗っかったのだと思う。

書き出しが批判的なテイストなので、「もっと日本文化に目を向けろ」といった説教臭い話になるのかと予想した人もいたと思うが、とんでもない。
イベントには、必ず美味しい食べ物がセットになっている。
嬉しくないはずがない。
いくつあってもいい。

私は特に、クリスマスを待つこの時期のシュトーレンが大好きだ。
もともと、ナッツやドライフルーツに目がないので、それを練って固めて焼いたようなこのお菓子を愛せないわけがない。

最初はたぶん、6年前かな?
長野の梓川にお店を出している「パントキ」さんのシュトーレンを取り寄せて食べた。

お店を訪ねたことも無ければ、店主さんとお会いしたこともない。
たまたま、こちらのトップページのイラストを描いた方が知り合いで、SNSでお店を知ったのがご縁の始まりだ。

最初は「ありがとうカンパーニュ」という、これまたナッツとフルーツがどっさり入ったハード系のパンをお取り寄せしていた。
薪窯で焼いたという素朴な外見のそのパンは、生地の硬さも、ナッツとフルーツの配合具合も、私の好みのど真ん中を貫通していた。
『味の宝石箱』をひっくり返して、全部混ぜて、捏ねて焼いたら、こうなる、という端から端まで美味しいパンだった。

「これだけ普段のパンが美味しいんだから、ぜったいシュトーレンも美味しいはずだ」
と、試食もせずにオーダーさせていただいて以来、毎年食べている。
オレンジピール、ラムレーズン、りんご、アンズ、イチジクなどが入った、どっしりした食べ応えのあるシュトーレンで、飽きることがない。
ザ・王道。

昨年からは、それに、八王子でパン教室を営む、師匠様(と私が勝手に読んでいる手芸のお師匠)のシュトーレンも加わった。

(注:上記教室の募集は終わってます。来年をおまちください)

師匠様のシュトーレンは、生地にバター、砂糖を使わない。
代わりに、ココナツオイル、甘酒を使う。
そして、中には、ぎっしりのフルーツ&栗の渋皮煮!
めちゃうまで、一切れでやめられないのが困ったところだ。

左:パントキ 右:師匠様

本当は、そんなに大好きな食べ物なら、どこかの教室に習いに行って、自作できるようになればいいのにと思うのだけれど、
「ああ、クリスマスが近づいてきたな」
とカレンダーを見て、いそいそとメールしたりするのが、楽しいのだ。

パントキさんは、年に一回、この時期しかやりとりしていないので、なんだか、特別感があっていい。(でも、毎年ちゃんと、覚えていてくださる)
師匠様とは、昨年、敦賀のカニとシュトーレンを交換していただいた。
今年は、愛媛産ワインと取り換えっこ。
なんだか、師匠様の手仕事の時間とかけた愛情を、金で買っているようでちょっと申し訳ないんだけれど、私が何か自作して送れそうなものがないので、そこは、こらえてほしいと思っている。

クリスマス当日に、特に何かお祝いする予定は無いのだけれど、このシュトーレンを食べている期間中は、「クリスマスっていいな、この風習を日本に輸入した人最高だな」と思っている。
まだまだしばらく食べられる。
うれしい。

**連続投稿681日目**

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