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対談②【身体の声に耳を傾けるということ】トップアスリートを支える杉田正明先生に聞きました

前回の記事では、コンディショニングとは?という質問に対してお答えいただきました。コンディショニングはアスリートのための特別なものではなく、食事や睡眠、リフレッシュすることなど普段私たちが何気なくやっている生活のリズムであり、それを整えることが現代人にとって重要であるということが分かってきました。この記事では、未病という考え方を身につけ、病気を防ぐというお話をしています。

以下 杉田正明先生→杉 / 長谷川美智子→長

長 先生は心身にかかるストレスの部分に関してもすごく研究されていますよね。
杉 はい、ストレスは万病の元という考えです。疲労や体への負荷・心のストレス、それらすべてのコンディションがパフォーマンスにも影響してきます。
長 アスリートの方は自分の身体のことをデータで理解していると思います。先生はストレスホルモンに関しても注目してデータを取られていると思いますが、それはどんな観点からですか?
杉 ストレスがかかってきますと当然、質の良い睡眠が取れません。眠れなくなったり夜中何回も起きてしまったりします。その背景には副腎皮質ホルモンである、コルチゾールというストレスホルモンが関わっています。唾液を使って簡易キットで計測することによって、眠れないという状況が本当にストレスホルモンの分泌が原因なのかというのを確かめることができます。そのようにストレスというものを分析しながら、休息の取り方や練習の仕方をアスリートたちにアドバイスしているということです。
長 副交感神経がきちんとコントロールできる状態なのかということをホルモンを分析して、確認していくんですね。
杉 はい。副交感神経のコントロールの低下から、睡眠の質の低下が起きてきます。そして、睡眠の質の低下から疲労が抜けにくくなり、慢性疲労に変わっていきます。悪化すると消化器や内臓の症状に変化が出てきて、ホルモンの異常が起きてくる。そこから精神的な症状が出てきたり、メンタルが保てなくなってしまったりということがありますね。

健康   ⇔   未病   ⇔   病気

長 もうまさに私たちのリンパ施術でもそういったことを意識しています。普通は自分の身体が「健康・未病・病気」のどの位置にあるのかということが分かっていないので、まずは自分の身体の状態を知っていただくことから始めています。
杉 アスリートは、毎日自分のコンディションを数値でも把握して整えていますが、一般人はそうはいきませんね。していることというと、年に一回の健康診断で血液の状態を知るとか、血圧を測るとか、その程度しかコンディションということに対してのデータを持ってないと思うんです。そして、色々な要因でホルモンの異常をきたし、消化器などに症状が出た時に初めて病気だ!って気づくんですよね。
長 自分が未病の状態になっていても、重大なサインが出るまではそれに気が付くことができないんですよね。
杉 そうですね。日々の自分の身体を把握するということは、重大な症状が出る手前の状態で気づけるということですね。あとは『休養学』にもありますが、免疫力を上げるということも大事なことです。

次回の記事では、免疫を高めるために大切な腸について語っていただきます。

杉田 正明 教授
日本体育大学 体育学部 博士(学術) スポーツ科学的アプローチでアスリートをサポートする研究の第一人者。日本オリンピック委員会(JOC)情報・科学サポート部門長や、日本陸上競技連盟 科学委員長を務め、様々なトップアスリート達のコンディション管理や支援を通して、国際競技力の向上に長年携わっている。

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