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一田憲子さんのライター塾に参加して。

タイトル:自然の中で暮らしたい、はもう卒業

「いつかは都会を離れ、自然に囲まれて暮らしたい」。

そう思いながら、都会での生活にどこか満足できていないで生活をしている人は、けっこういるんじゃないかなと思う。わたしもそうだ。ただ、「自然の中で暮らす=農業をして生きていく」という方程式は、あまりしっくりこない。夫にも「じゃあ、どうしたいの?」と聞かれるけれど、いつもうまく答えられない。我ながら、とてもワガママだなぁと思う。

そんな私に、一筋の光が差し込んできた。その光を差してくれたのは、文筆家の一田憲子さんだ。一田さんが住む築55年の平屋の自宅を訪問をした際に、彼女が教えてくれたある言葉がとても印象に残っている。

「冬は冬らしく、夏は夏らしく。雨の日には雨音を聞き、雪が降ったら軒下にできたつららを眺める。この家の、そういうところが気に入ってるの」

一田さんの平屋暮らしの中には、そうした「自然の流れに逆らわない」暮らしの跡がたくさんある。

居間に置かれた6名がけの大きなテーブルは、知り合いのギャラリーからのいただきもので、元は伊勢型紙を作るために使われていた板をリンゴ箱の上に乗せただけのものだし、部屋の隅っこにはきっと花屋さんで選んできてくれたであろうお花が、静かに来客たちを見守っていたりする。

ブランドものや値段の高価なことに左右されず、「家になじむ」と思うものを選ぶということ。花だって宅配してくれる時代に、あえて花屋へ行くということ。

一田さんの暮らし方の中には、「自然の中で暮らす」という聞こえのいい言葉の呪縛でがんじがらめにしていた自分に、雷を打たれたような気づきがあった。本当にしたい私の暮らしは、こういうことなのかもしれない。

自然の流れに逆らわず、イライラしない、なんでも受け入れるような生活。不便があっても、工夫をして乗り越えていく柔軟さ。お金を出せば手間を解消することはできるけれど、その手間や不便さを愉しむ「余分な時間」。

これからは、焦らず日常の中で少しずつ余分な時間を愛せるようにしよう。一田さんの古家暮らしには、そんなヒントがたくさんちらばっていた。

突然なんのこっちゃい、って感じですよね。

実はこれ、先日文筆家の一田憲子さんという方のお宅で開催された、ライター塾の課題のひとつで、わたしが書いた文章です。

一田さんとは、「暮らしのおへそ」という雑誌の編集長でもあり、天然生活などで記事を執筆するライターでもある女性です。書籍も多数出されていて、どの本も背伸びしていなくて自然体で。「こういう大人になりたいなぁ」というとても憧れの方。(個人のWebサイトであがっている記事がとても素敵なものばかりなので、ぜひご覧ください)

話を戻します。上の記事の課題のテーマは「一田さんの古家暮らし」。都会の真ん中の古家で生活をする一田さんに、ライター塾に参加した6名が順番にインタビューするかのように質問をなげかけ、実際に記事にするというもの。

土日の二日間、ほぼ丸1日を使って行われたライター塾の中ではこうした課題がいくつもあったものの、一田さんが一番褒めてくれて、自分でもとても気に入っているのがこの文章でした。

そもそも、このライター塾に参加した目的は「自分の文章に自信を持ちたかった」ということ。

今、収入の多くが「文章を書く」という私なのですが、正直なところ、きちんとした訓練を受けたわけでもない自分に、ずっと後ろめたいところがあったんですよね。

「文章を上手に書く方法」「人に伝わる文章の書き方って?」なんていう本やWeb記事は山ほど読んできたけれど、それではまったく自信はつかなくて。

そこで、ずっと憧れていた一田さんに実際に文章を見てもらえる、というまたとない機会に応募したわけです。かなり人気の塾であるため、4回目の挑戦でようやく手にした切符でした。

結論から言うと、勇気を出して参加をしてよかった!という達成感。一田さんからは最後にこんな言葉をいただきました。

「文章って本当に人柄がでるんだなぁと改めて思います。のびのびとしていて素直でいい。櫻井さんの言葉遣いや文章からは、そういうことが伝わってくる」

当日同じ時間を共有した仲間からも、同じようなコメントをいただくことができました。

読みやすいように書くこと、事実を書くこと、誤字脱字がないこと……。そういうベーシックな部分はもちろんのこと、もうすこし上澄みにある「自分を出して書く」ということをほめていただいたことで、他の人には真似ができない「自分らしい書き方」が認められたような気がして、とってもうれしかったのです。

私に足りなかったのは、知識のインプットではなく、ただひたすらに誰かに文章を読んでもらい、評価してもらうことだったのだな、と振り返って思います。

とはいえ、いきなり知人友人に「私の文章読んで感想を頂戴」といっても本音が出てくるかは分からないし、こっぱずかしい。

そういうときこそ、noteやブログ、Twitterなどを活用し、ただひたすらに自分の文章を世に発信しつづけていれば、おのずと当たりはずれがわかってくるんだろうな、と気づきました。

できれば個性を生かした書き手になっていきたいと小さな野望をもっている私。ダメでもいい。まずはバッターボックスに立って球を打ち続けていくしかないのでしょう。

2019年の締めくくりに、一田さんからいただいた大きな大きなエールを胸に、この1年自分への新たなチャレンジのきっかけをいただくことができたのでした。

追伸:2020年第一回目のライター塾が行われるそうです!興味ある方はぜひ。


ホステルやゲストハウスなどの「地域コミュニティ」を創っている方々に会いに行って、勉強させてもらい、タバタバーに持ち帰ります!