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【暗黒編】カレーが売れない!参加者が伸びない!の3年間 〜 サムライカレーができるまで その2

こちらのページでは、サムライカレー社長 森山たつをが、サムライカレーを作ったきっかけ、苦労したこと、そして、どんな世界を創りたいのかについて語っています。

その1は、こちら

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3ヶ月で事業を興し、3週間でカレー屋を作る

完全に思いつきでプログラムを作り、ノリと勢いとサムラカレーという名前の語呂の良さだけで始めたサムライカレープロジェクト。

10月に視察をして、1月にはサムライカレープロジェクトが開始しました。

Webページすらないこのプログラムに集まってくれた4人の勇者たちと始める、カレー屋作り。

最初のミッションは「自分たちが寝るベッドを買ってくるでござる」

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その後も「カレーを作ろうとしたら、どこにもスパイスが売ってない」など、一歩歩くごとに困難にぶつかりながらも、1期生の頑張りにより、1月3週に、カレー屋もオープンしました。

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オープン当初は日本人のお客さんがそれなりに来たものの、カンボジア人のお客さんが全然来ません。
店のそばを歩いているカンボジア人に試食をしてもらっても、いい顔をしません。

「あれ・・・これは、ヤバイのでは・・・。」
その予感は、徐々に現実と化していきます。


カレーが売れない!!!

とにかくカンボジア人がカレー屋に来ない!
イベントに出張しても、カレーが売れない!

サムライカレーをスタートして約半年後に独立した店舗を構えたわけですが、どうにもこうにもお客さんが来ません。
カンボジア人のおばちゃんに習ってカンボジアのカレーを作ったり

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カレーパンにしたり、プロの料理人雇ってバターチキンカレーの作り方を習ったりあの手この手を打つのですが、なかなか成功しません。

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また、店舗で運営をする問題点として、結果がすぐにでないということもあります。
新しい商品を開発して、チラシを配っても、すぐにはお客さんが増えません。
2週間の短期プログラムだと、結果が出る前にタイムリミットになってしまうのです。


研修生の数が伸びない!!

また、1年目48名だった参加者が、2年目も50名とあまり延びませんでした。
と、いうのも、サムライカレーのテーマが「海外で起業体験しよう!」という、海外で働きたい人、起業したい人向けだったのですが、世の中に海外で働きたい人も、起業したい人もそんなにたくさんいません。

私のtwitterのフォロワーの人にはそういう人が多かったわけですが、その中で来れる人が来てしまうと、新しい参加者が出てこなくなってしまうのです。

カレーも売れない、参加者も増えない。
そんな、サムライカレープロジェクトのブレイクスルーは、2015年11月のカンボジア対日本戦でした。

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ビールを1000本売ったあとの、奇跡

カンボジア対日本戦のスタジアムでの販売には、多摩大学生3人、長期研修生1名、そしてサムライカレー1期のメンバーが2名参加してくれました。

売った物は、ビール。

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実は、カンボジアは、ビール一本0.5ドル(50円)で売っています。
しかし、日本から来た観光客はそんなことは知らない。なら、3ドル(300円)で売っても売れちゃうのでは・・・。そんな算段を元に、ビールを売ったところ、思った以上に日本人観光客が多く、途方もなく売れました。

物価を知っている現地人や現地在住日本人は当然見向きもしないのですが、そこは完全に対象外とし、日本人観光客だけに売り続けて、その数1000本!

あまりにも売れすぎて、ビールと合わせて売る予定だったカレーを売る暇がなく、その後3日間カレーを食べ続けたほどです。

カンボジアに来て、日本人観光客相手の商売を体験する。
ある意味邪道なのですが、マーケティング施策としては最適解。
顧客を選ぶことは大切です。

その後、私が日本に帰ったとき、多摩大学から連絡がありました。
「やばい・・・なんか、怒られるのか・・・。」と思いながら大学を訪問してみると
「非常に面白い取り組みなので、大学でオフィシャルプログラムにしたい」
とのこと。

これが、ブレイクスルーとなったのです。

選択と集中

対象顧客を「海外で働きたい、起業したい人」にしていたサムライカレー。
社会人も来ますが、5割くらいは大学生が来ていました。
そして、その大学生に参加1年後くらいに会ってみると
「この話、就活で話したら、無茶苦茶受けましたよー」
などと話してくれます。ちなみに彼は、大手総合商社内定。

「海外で働きたい、起業したい人」の数はせいぜい数万人。
しかし、大学生は全国に約260万人もいます。しかも、毎年1/4ずつ入れ替わる。母数が全く違います。

大学生に選択と集中をすることで、顧客候補の母数は増える。
ならば、そのための施策を考えるしかありません。

大学生が来れるのは2-3月の春休みと、8-9月の夏休みだけ。(あとはGWと正月)
ならば、それ以外の期間はプログラムをやらない。

1年のうち4ヶ月しかプログラムをやらないのであれば、店舗はいらない。
イベントや、マーケットに期間限定出店をすることで、毎回フレッシュな環境で0から店舗作りを行えるようにする。

プログラムをやらない期間は、以前からときどき依頼が来ていた、日本の大学での講義を入れる。
そして、より多くの大学、学生にこのプログラムを知ってもらうことに注力しよう。

大学生が最も関心があり、サムライカレー経験が活きるのが就職活動。
ならば、どのように就活に役立つのかを明確にし、それを講義する「就活講座」をプログラムに組み込もう。
そのために、就活を終えたサムライカレー卒業生50人に会って話を聞き、その活用法を体系化しよう。

2016年はサムライカレーのプログラム募集を最小限にし、大学生向けプログラムのカリキュラム作成に費やしました。
そして、2017年、サムライカレーの参加者は100人を超え、2018年に150人となります。

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同時に管轄を始めた、ベトナム、インド、スリランカ、タイのプログラムを含めた「サムライインターン」の参加者は、2019年年間で300人累計で1000人を超えたのです。

ブレイクスルーのきっかけは、ワールドカップ予選をきっかけに、顧客を選択と集中をするのを決断したこと。

ちなみに、ワールドカップ予選会場ではカンボジア在住のお客さんを選択しなかったわけですが、今のサムライカレープロジェクトでは徹底的にカンボジア人の顧客を喜ばせるための商品を学生に探させます。

そのためのマーケティング手法を講義で教え、ヒアリングするカンボジア人を紹介し、試食会をする場所を確保し、現地の人と対話をしながら、現地の人を喜ばせるために頭を使ってもらうのです。

自分たちが、何もリサーチせずにカンボジア市場に乗り込み、思いつきで売ったカレーが売れなかったという経験をしたからこそわかる、現地の人とコミュニケーションすることの大切さ。

これを学んだ学生は、卒業後に働いた会社でも、その会社の商品開発や海外展開、営業に、必ずや戦力となってくれるはずです。

そんな人材を育てるために、日々カリキュラムをブラッシュアップしています。

続きはこちら

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