⑤私にはリハビリが必要なんだ

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私は歩けるの?

入院して数日、私は車椅子で過ごしてました。

歩けないという衝撃、この状態をどう処理したらいいのか分からなかったけど「私は今歩けるの?」とどうしても気になって考えてしまいます。

回診の時に医師に聞いてみました。

私「歩く練習していいですか?」

医師「1人で歩いちゃいかん!!」

めっちゃ否定されたな・・・って感じでした笑

でも理学療法士がつけばいいという事で許可をもらえました。

驚く事にこの時点(確か入院して3、4日)でリハビリはありませんでした。

数日で回復するだろうと思われていたからです。

なので、この日の昼休憩中に来てくれた先輩理学療法士にお願いして、リハビリ室に連れて行ってもらい平行棒の中で歩かせてもらいました。

なんだか皆が集まってきて、ほとんど全員の理学療法士の前で歩くことになりました。

平行棒では何とか歩けました。

(平行棒とは両手すりのようなものです)

でもこの時に、足底からの感覚入力が悪いのがとても気になりました。

足痺れた時って感覚わからなくてうまく歩けないでしょ?

痺れの自覚はないけど、歩けない感じはそんな感じをイメージしてもらえるといいかと。

次の日また歩きたくなって、朝業務前に来てくれた別の先輩理学療法士にお願いして病棟を今度は杖で歩いてみました。

結果は全然だめでした。

まっすぐ歩こうとしているのに、右に寄っていくし身体も右に倒れるのでとても1人では歩けませんでした。

傾いている事はわかるのにどうしたらいいのか分からないのです。

左に身体を傾けたらまっすぐになる

そんな事、私も知っていますが・・・笑 自分の身体をどう扱ったらいいのかがわからないのです。

1年目とはいえ理学療法士、知識としての対処法は分かるのですが本当に自分の身体の扱い方が「わからない」のです。

病棟1周は約100m。

杖と手すりと介助で必死に歩きました。

歩いたのか支えられて半分くらい抱えられていたのかもしれません。

自分の身体を自分で制御できないのはすごく大変でした。

思うように動かない身体で動くことの大変さをこの100mは感じ続けました。

私はまだまともに歩けないんだ

と分かりました。

平行棒と杖ってすごい難易度に差があったんだと驚きました。

平行棒は引っ張ったり押したりしてもある程度耐えれますからね。


こんなんじゃ帰れない!!

私にはとても数日で回復してくるなんて思えませんでした。

確かに倒れた時よりは動けます。ピークは脱したのでしょう。

でも到底元通りではないし、治ったというより「この身体に慣れただけ」という感覚が強かったです。

私は自ら主治医にお願いしてリハビリオーダーしてもらいました。

「これでは帰れないです。リハビリさせてください」

すぐに主治医はオーダーしてくれて、同じ神経内科チームにいたリーダーの理学療法士(直の上司)が私の担当になってくれました。

知識も技術もあるのに、話しやすくてよく飲みに連れて行ってくれた尊敬する理学療法士。

尊敬する上司のリハビリを実際受けてすごい勉強にりました。

それに加えて、うちの病院のトップの理学療法士も別で時間を作ってリハビリをしてくれました。

それぞれアプローチ方法は違うけど、それがまた勉強になりました。

私が実際受けた運動療法は今も私は使っています。


最初にバランスの評価をしたんだけど(BBSで)かなり点数低くて衝撃でした。

リハ職にしか伝わらず申し訳ないですが35点・・・。

まさかそんなに低いと思わなかったですね、今まで自分が実施した患者さんの中で私が圧倒的に点数が低かったのです。

バランスの評価なのである程度動ける人にしか実施しないのもありますがね。

カットオフ値が37点ですよね。

うちの病院はそれで歩行自立にするかの1つの指標にしていましたた。

はい、歩行自立叶わず・・・

片脚立ち、右3秒 左にいたっては0秒でした。

閉眼立位もできないし、段差もだめ。

リハビリでは身体機能や動作などを検査したり状態を把握する事を「評価」といいますが、評価されて自分の状態がやっとわかりました。

私、理学療法士だからもっと自分の身体機能分かってると思ってたけど自分の事って全然分からないんだなってこれ何回思ったのだろうか。

閉眼立位がとれないのも、しゃがんだら立てないのも自分では発見できませんでした。

バランスもそこまで悪いと思わなかったのです。

自分の身体を客観的にみるのって難しいんだなって実感しました。

ましてやこの緊急事態、自分のことを客観的にみるなんて全くできていませんでした。

できないことと毎日直面するのは苦しいことでした。


運動学習が早い

自分で驚いたのですが、私運動学習が結構早くて数日前にできなかったことができるようになってたということが何度かありました。

例えば足を前方にステップするということだけでもふらついていたのが、ステップ練習を数日やったらかなり安定したとか。

バランスボールで体幹のトレーニングをしていたのですが最初は床に足をついてボールの上に座っているのも不安定だったのに数日で安定するとか。

年齢的なところもありますが、それぞれのリハビリが何の目的でやっているかが理解できるからではないかと私なりに考えていました。

ちなみにイメージというのは全然できなくて、イメトレってスポーツでも有効な方法だとされているけど私はその時にできない動作のイメージが全くできませんでした。

歩けない時に自分が歩いているイメージが全くできなかったのです。

不思議なことに他人が歩いているのはイメージできました。

そして歩ける今は自分が歩くイメージはできます。

しかし当時は全くできませんでした。

リハビリでもイメトレを使う場面があるかと思いますが、結構難しいのとできないことをイメージするストレスが意外と強かったので自分が患者になってからはあまり使わないようになりました。

これも余談にはなりますが、夢の中ですが自分が車椅子で歩けない状態でいることには驚きとともに「夢の中でさえ私は歩けないんだ・・」とショックを受けた覚えがあります。

つづく

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