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【即興詩】2022/11/04「回想 : 神戸、某所」

瀬戸内海が右手に見える海岸沿いを
いつも通り 運転していた

見慣れた美しい景色は
残念ながら
私の頭の雑踏をかき消す力を失っていた

何が起こったかはわかっている
あなたはそこにいて
生きているけれど
もう 生きてはいない
私が あなたを殺したのだ
入れ物はそこにあり
機能しない中身が 詰まっている

私があなたを認めてさえいれば
あなたが死ぬことはなかった
私があなたを追い込んだから
あなたは 他に選択肢を持つことができなかった

それでも海は
そこでわたしを見つめている

「わたしだって」
「わたしだって」

そんな思いを膨らませれば膨らませるほど
あなたに合わせる顔が
どんどんどんどん
醜くなるのだ

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