2021年8月2日 即興詩「across the sky」

夕闇の空
僕は空を飛びながら
これまでのことを考えていた

これまでのことを
ひとしきり考えたら
すぐに夜になってしまった
そのくらい
これまでのことが
たくさん生まれていた

隣を飛ぶカラスは
僕に言った
「いつまでも
そのままでいられると思うなよ
僕たちは
今を生きるのに必死だぞ」

「うるさい
僕だって必死さ」
そう答えてふと
必死に生きているかどうか
少し疑問に感じてしまった

それぞれ見ている現実が違うんだから
比べるほうがおかしいのだけれど
少なくとも
いつまでもぐるぐる飛び回っている僕は
もう少しやれることがある気がした

いつまでも
そのままでいられると思うなよ
それはそうだと思った
この荷物を下ろす時は
いつかきっと来るから

でもそれまで
今の夕闇の空に
もう少し　気持ちを重ねさせておくれ
僕はきっと
僕のペースでしか飛べないから

———

カラスって毛嫌いされますよね。
余談ですが、僕の好きな漫画家さんに冬目景さんという方がいらっしゃるのですが、彼女の作品である「イエスタデイをうたって」の主人公のペットはカラスです。
不思議なことに、カラスが恒常的なサブポジションに収まる作品ってそんなに多くない気がします。
セミ以上に、常日頃聴く鳴き声の持ち主ではあるはずなのですが。

ちなみに僕も、カラスはそんなに得意ではないです。