見出し画像

2021/09/14 即興詩「穴」

明かりが灯っていれば
気づいたであろう穴は
私の足に手をかけ
ゆっくりと引きずりこんでいった

すでに朦朧としていた意識は
なにが生じているかを読み取ることもなく
ただただ
奈落の底へ向かうことだけを
無意識に伝えていた

目を覚ますまで
僕は夢を見ていた
打つ手がない 絶望した夢
つい数時間前まで
希望や妄想にふけっていたくせに
その穴にやられてからは
失意の底にいた

穴よ 
穴よ 
穴よ
お前は私になんの恨みがあって
我が人生を混乱させたのだ
この穴から
なんとしても出たい
考えれば考えるほど
穴が憎かった

夢から覚めた後も
その穴が頭から離れず
怒り心頭とはこのことかと
振り返ればそう思った

ふと 手足が自由に動くことに気づいたとき
僕はただ
自分が疲れ果てて
床においた掃除機に
躓いただけだと知った
転んで頭を打って
気を失っていたのだ

———

自分が置かれている状況に、きっかけがないと気づけ無いことはよくあります。
そしててんで見当違いのなにかを恨んで、どんどん思い込みが強くなり、しまい目には理不尽な行動を取る。

なんか、怒りって時に非常な滑稽さを生むことがある。
怒りをそのまま原動力にすることは、たぶんほぼ100%間違いなのだと思います。いい結果を生むことは、まずない。

しかし、いつまで経っても同じ失敗を繰り返す。
それも人間らしいと言うことなんでしょうが、いつまでもそうだと悲しくなりますね。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?