豚肉と脂
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ハンバーグに合いびきミンチを使う理由
①【柔らかく仕上がる】
脂身は、同じ熱をかけても、肉よりも温度の上昇が遅い。
脂身が多い豚肉を混ぜることで、ハンバーグの肉の温度の上がり方はゆるやかになるため、肉がかたくなるのを防止できる。
②【おいしい香がする】
●牛肉を100℃で加熱すると
→空気に触れる表面では揚げ油臭
→空気に触れない内側では甘いリンゴ臭
●豚肉を100℃で加熱すると
→空気に触れる表面ではベーコン臭
→空気に触れない内側では刺激性のチーズ臭
二種類の合いびきをすることで、香りの幅を広くし、肉をよりおいしく感じさせる狙い。
③【食感を良くする】
牛肉の脂肪と豚肉の脂肪では融点(溶ける温度)が違う。
→牛脂は40~50℃
→豚脂は28~48℃
豚脂は口内温度(36℃前後)で比較的溶ける事から口当たりがよく、味のまるみだしに働く。
急激に肉を加熱すると硬くなる
上記の話で、肉の組織は急速に加熱されると、収縮して非常に堅くなる。
この時、脂肪分のような断熱効果の高いものが間にあると、ゆっくり加熱されるので、収縮をある程度防ぐことができる。
霜降り肉が加熱で硬くなりにくい理由の一つが、脂肪が肉の組織の間に細かく入っているからである。
また、ひき肉も同様で、脂肪分が肉のタンパク組織の間に細かく入っているため、急激な加熱を防ぐことができる。
したがって、脂肪分がある程度多いひき肉の方が、肉の収縮を減らし、ソフトに料理が仕上がる。
熱伝導率について
●水と油の熱伝導率を見ると、実は油は熱伝導率が悪い。
体感として、油の方が熱伝導率が高いと思ってしまいますが、水の方が高くなっています。これは、比熱と熱伝導率が違うためです。
比熱・・・・その物質の温まるのに必要な熱量(低いと早く温まる)
熱伝導率・・物質Aと物質Bが接触している時の熱の移動のしやすさ
例 80℃の水と80℃の油にそれぞれ指を付けると、水の方は熱くて耐えれないが油の方は一瞬我慢できる(危険ですのでやらないように)
●木は熱伝導率が悪い
スープなどを飲む時に、木のスプーンを使うのはこのため。熱伝導率が悪いため、スプーンを口に入れると生ぬるく感じる。
●食材によって熱伝導率は違う
同じ大きさに切った食材を同時に炒めても、食材の種類が違う場合熱の伝わり方が変わってくる
●空気は水より熱伝導率が悪い
熱い鍋をつかむとき、濡れたふきんを使うより、乾いたふきんを使った方が良い。これは、繊維の間に空気が入っており熱伝導率が悪くなっているため
アイスクリームの天ぷら
話が脱線するが、熱伝導率の分かりやすい例でアイスの天ぷらがある。
アイスの天ぷらが溶けない理由は、衣とアイスの間にあるスポンジ生地(カステラなど)があるため
このスポンジ生地は、気泡が多くなっている。
空気は非常に熱伝導率が悪いので、高温の油の熱は、スポンジ生地の空気の層に阻まれて、アイスまで届かないのである。
ちなみに、作り方の一例としては、アイスを厚さ1cmぐらいのスポンジ生地(カステラなど)でしっかり包み、凍らせる
その後、天ぷら衣をつけ、180℃ほどの油で30秒~1分ほど揚げる
っとなっている
ヘッドやラードを取る方法
牛や豚のあぶら身を、鉄板の上で加熱すると脂肪がとれるが、炒めずに湯のなかで煮る方法もあり、これを煮とり法という。
ヘッド(牛脂)の融点は50℃以下、ラード(豚)の融点は40℃以下のため、湯(100℃)で煮れば容易に溶け、水より軽いので上部に層になる。
これを冷やして固めればヘッドやラードになる。
【メリット】
①100℃以上にならないため、焦げない
②肉の筋や破片が混ざらない
③加熱しても100℃なので、油がいたまない
④味や香りが水の方へうつり、純粋な脂がとれる
【デメリット】
①時間がかかる
プレスハムとロースハム
一般的に、豚のもも肉を塩漬けした後に、ゆでたり燻製にしたりして加工したものがハムと呼ばれる。
塩漬けしただけのものは生ハムと呼ばれ、もも肉から骨をとったものはボーンレス(骨なし)ハムと呼ばれる。
しかし、日本ではハムに似せた加工食品が作られるようになった。
肉の切れ端に圧力をかけてプレスし、ハムのような形にしたものがプレスハム。
もも肉の代わりにロース肉を使ったものがロースハム。
それぞれの加工食品について
【ソーセージ】
ミンチ肉と副材料、調味料、香辛料を加えて練り合わせせ、豚や羊の腸に詰め、乾燥・くん煙・加熱などの加工を施したもの
【ウインナー(ウインナーソーセージ)】
オーストラリアのウイーン地方を発祥とする小型のソーセージ。
数あるソーセージの一種類である。
【ハム】
豚肉を塩漬け、くん煙した加工品の総称。
今日では一般的に、豚肉を整形→塩漬→巻き締め→くん煙・乾燥→加熱・冷却→包装した加工品をいう
【生ハム】
ハムを製造する工程で、加熱殺菌を行わないもの
【ベーコン】
特に豚バラ肉を塩漬けし、くん煙したもの。
【コンビーフ】
日本では、牛肉を塩漬けし、煮塾した後、缶詰に詰めたものをいう。
本来は長期航海用や軍需品として使われていたため、保存食料である。
コンは“corned”からきており、塩漬けという意味。
ちなみに、コンビーフの缶詰が誕生したのは1868年、缶詰は殆どが台形で、世界共通となっている。
この理由は、肉を詰める工程で、面積の大きい側から小さい側へと詰め込むことにより、缶の中の空気が自然と抜けて肉の酸化を防げるとともに、量的にもたくさん詰められるためである。
【ランチョンミート(スパム)】
沖縄の郷土料理になっているが、別名はソーセージミート。
ソーセージと同じように、ミンチ肉に調味料、香辛料を加え缶詰にし、加熱して完成。
ちなみに、迷惑メールをスパムメールと呼ぶが昔アメリカで、加工肉である「スパム」のCMが、しつこく流され続けた。
そして、しつこい迷惑メールのことも、このCMと同じように「スパム」と呼ぶようになった。
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