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水樹奈々さんが結婚したことでオタクとしての立ち位置が少しはっきりした。/2020年7月7日

水樹奈々が結婚を発表した。

7月6日に入籍、7月7日に公式発表。
確実に張り付いているであろう週刊誌の網の目をかいくぐった、大変に美しいフィニッシュかつ、あらたなスタートである。

さらにいえば、2020年は歌手デビュー20周年および当人の40歳というメモリアルイヤーにもかかわらず、ライブツアーが全公演中止という厳しい状況がつづくなかで、唯一といってもいいほどうれしいニュースである。しかも、とびっきりのビッグニュースだ。

いまぼくは、「うれしいニュース」と書いた。そう、うれしかったのだ。第一報を、吉野屋でライザップ牛サラダエビアボカドを食べているときに耳にしたのだが(なお、水樹奈々はなか卯のキャンペーンキャラクターを毎年務めている)、驚く以上に自然な笑みが浮かんだ――浮かべることができたことに(ややこしい表現になるが)なにより驚いたのだ。

ぼくは水樹奈々を推している。言葉はなんでもいいが、オタクであり、ファンである。しかし、ファンではない人に、「水樹奈々のなにがそんなに好きなの?」と訊かれると、即答することができない。

水樹奈々の好きなところは無限にあるはずなのに、ひとつのフレーズに帰着させてしまうと、大切ななにかがこぼれ落ちてしまう――ような気がする。

歌が好き?
――音楽性という意味では水樹奈々の楽曲はかならずしも好みではなかったりする。ぼくがふだん愛聴している音楽ジャンルは日本語ラップである。

人柄が好き?
――もちろん、水樹奈々の不断の努力を積み上げて、夢ややりたいことをひとつひとつ達成していき、いつの間にか前人未踏のフロンティアに達している生き様は全力でリスペクトしている。

しかし同時に、ぼくたちは最初からアーティストやアイドルの人格を把握して、ファンになるわけではない。最初はもっと浅いところから入っていく。そしてその後、彼・彼女の人格を知り、もっと好きになる。推しのパーソナリティはいつだって、オタクが好きである理由を後づけ的に説明するのみだ。

顔が好き?
――ぼくが水樹奈々を好きになったのは、「Crystal Letter」という楽曲のMVを視聴したことがきっかけなので、あながちまちがってもないのかもしれない。

顔が好きだから」とかいうと、なんか軽いファンのような気がしてあんまいわないけど。

というわけで、なんだかんだファン歴は約10年になってきてはいるが、いまだに「水樹奈々のどこが好きなのか」というもっとも基本的にして究極的な問いに答える準備はできていない。

つまり、その「好き」のなかの成分表はいまだにブラックボックスである。もしかすると、そのなかに「推しに対して真剣な恋愛感情を抱いている可能性」――つまり、「ガチ恋」である可能性もまた、否定できない割合として残存している。

だから、ライブのたびに、水樹奈々がMCで「重大発表があります!」というたび、「すわ結婚か!?」と身構えてきたものだった。なぜなら、自分自身の感情の正体がわからないからこそ、彼女の結婚発表に歓喜する可能性も、絶望する可能性もまた、50対50の確率でありうるからだ。

極端な話、発表を聞いた瞬間に席を立ち、自宅のCDやブルーレイをブックオフに衝動的に売り払う可能性もあったのだ。

しかし、こうして水樹奈々結婚のニュースを聞いて、ぼくは自分でもびっくりするほど、素直に祝福することができた。そこではじめて、彼女を推している理由が少なくとも、「ガチ恋」ではないことを確定することができた。そのことに、深く深く安堵している。

オタクとして立ち位置がはっきりしたとでもいおうか。

いまぼくはとてつもなく気持ちわるいことを書いている。気がする。しかし、このまま突っ走っていこう。

けれど考えてみれば、「水樹奈々」というアーティストはその性質上、「ガチ恋」を生み出しづらいように思う。そのことは、今回の発表を受けても、(少なくともぼくの観測範囲では)ほとんどのオタクが祝福一辺倒であったことからも、よくわかる。

そもそも、最近の水樹奈々は「筋トレ姉さん」であっても、「アイドル声優」という感じではなかったりするから、当然といえば当然かもしれない。

しかしそれ以上に、水樹奈々のファンになればなるほど、水樹奈々のことを深く知れば知るほど、彼女がいまの地位を掴んだのは尋常ではない「努力」と「行動力」に裏打ちされた結果であることに気づかされる。

そういう努力型の殿上人に、そのへんのオタクがおいそれとガチ恋になれるわけがないのである。恐れ多いというわけだ。

そのことはたとえば、2010年代後半から、水樹奈々が同業者や一般メディアで「奈々様」と呼ばれるようになったことと無関係ではない。

もっとも丁寧な敬称であるところの「様」づけは、彼女の伝説的でストイックな生き様をリスペクトしてのことと解釈できる(なお、水樹奈々オタクのなかで「奈々様」と呼ぶ人は実は多くない)。

つまり、水樹奈々は自然に「様」と呼ばれるような生き方をしてきたのであり、(本人および運営に意図はないにしろ)そんなセルフイメージを確立したきたということなのだ。

そういう高貴で高位な存在は、自然にガチ恋的な感情を遠ざける。どちらかといえば、呼び込む感情は「崇拝」である。

もちろん、水樹奈々自身の性格は昔からいままでとくに変質はしてないのだろうけど、あまりに大きな達成が彼女の153cmの体躯を必要以上に大きく見せる。

とまあ、いろいろと屁理屈をのたまってみたものの、ぼく自身、2018年9月19日に結婚しているのだから、「ガチ恋」ではなくて当然なのだ。そうじゃなければ、論理矛盾である。

では、ぼくにとって水樹奈々はなんなのか。なにがそんなに好きなのか。その結論はいまだにでそうにない。それを探るため、ぼくは明日からもよく水樹奈々を聴き、よくインタビューを読み、よく水樹奈々について語り、よく水樹奈々について書くのだろう。

つまり、いままでとなにも変わらない。
変わらない」という結論を引き出すために、2500字以上を費やす――ひきつづき、そんな芸風でやっていこうと思います。

水樹奈々さん、あらためてご結婚おめでとうございます。
いつかまた無事にライブが開催されるときが来たら、客席から大声で「おめでとう」と叫ばせてください。さいたまスーパーアリーナ400レベルからオタクのダミ声を響かせます。



日記に戻る。

というわけで、行きつけの飲み屋・いのせんと。で(勝手に)結婚をお祝いした。

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シャンパンが飛び交う楽しい夜でしたね。

(終わり)

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土下座。
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声優、読書(ミステリ中心に全般)、日本語ラップ、が好きな都内の会社員。20代。読みやすい文章を心がけてます。主なコンテンツはオタク長文と日記です。ツイッター:@crystal7letter 連絡先:nanashi.note.nanashi☆gmail.com (☆→@に)

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コメント (1)
卑弥呼様、みたいな存在になったのかもしれませんね。
水樹奈々はあなたにとって
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