30年経っても同じ姿のオリオン座

夜に仕事をすることが多いので帰宅するのは深夜。

今夜も同じように家に着いた。秋も進んでいくと深夜はかなり冷え込んでくる。

この肌を刺激する冷たい空気。ふと空を見上げたらオリオン座が南の空に輝いていた。

その瞬間、ぼくの心は30年前にタイムスリップしたようだ。

まだ小さな子どもだった頃、ぼくを夢中にさせたものは宇宙だった。

もともと暗いところが好きなぼくは夜の闇が大好きで、日が暮れるとずっと夜中まで外に出て真っ黒な空を見上げていた。

そこには無数の小さな光が。そう、文字通り「星の数ほど」ある恒星たち。

宇宙に憧れていた少年だったぼくは、これらの無数の星をずっと見て過ごしていたんだ。

オリオン座にある赤い星は赤色超巨星のベテルギウス。その反対側には青色超巨星のリゲルが青く輝いている。

冬の寒い夜、ずっと空を見上げて過ごしていた少年も30年の時が経ち、今ではいいおっさんになってしまった。

変わっていないのは夜空に輝く星たちだけだ。

宇宙の誕生は138億年前と言われているが、ぼくにとっての30年なんて宇宙の歴史からすれば一瞬にも満たないわずかな時間。

ぼくにとってはずいぶんと長い時間が経ったと思うのだが、宇宙の前では取るに足らないような時間には変わりない。

宇宙の前ではぼくなんてちっぽけすぎるのだが、それでも自分の人生をしっかりと噛みしめて生きていかなくちゃな。

そんなことをふとオリオン座を眺めながら思ったのだった。

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