【人生、転職やり直しゲーム 第二章 転職と地獄の研修の巻】

【ヒルヒル(家電会社の営業)】

俺はヒルヒルに面接に行って
あっさり採用された。
ここは、
俺が借金でブラックリストに載っている事を
調べていないのかな?
でも、俺は金がないので、あっさりこの会社に決めた。

自社開発家電の営業で日本各地あちこち行くようだ。
俺は、大手家電屋に営業をかけて、
いろいろな家電を沢山仕入れてもらう営業だと
勝手に勘違いしていたが
ちがった。

ヒルヒルの取り扱い商品は、
健康関連のグッズだった。

まず、目玉は、電位治療器ヒルヒルとかいう、
肩こりマッサージ機に
ピリピリする電気治療機能が付いた
怪しい機械だった。

血流が良くなり、
健康を維持するのに優れた品物だそうだ。
本当かよ。
〈「持病が治る」というセールストークは、
薬機法(旧薬事法)違反だから
口にしてはいけないフレーズだそうだ。〉

気になるお値段は、
なんと150万円!

一緒に使うと効果は抜群で健康になるとかいう
空気清浄機ルヒルヒは、
なんてことの無い外国製の空気清浄機。
ババソニックとかの大手メーカーの方が安いと思うが。

だって、お値段60万円!
これは…ぼったくりではないのか?

他にも商品はある。
布団、パジャマ、布団乾燥機、磁気ネックレス、健康食品、化粧品。
客の懐具合を見て、
さりげなく勧めるのが俺の仕事。

家電屋やホームセンターに営業をかければいいのに、
直接、
お客さんに家電を購入してもらうことを
モットーとしているようで、
本当は通販で送料が5万円かかる所を、
この店舗で買うと送料無料で俺達が車で配達する。
かつて詐欺まがいの仕事をしていた俺は、
嫌な予感がしたが、
もう、就活は面倒だ。
早く金も欲しい。

俺達営業マンは3人一人組で、
日本全国をワゴン車で回る事になった。
1人はベテランの穂萌(ほも)さん、
もう1人は俺と同じ新人の脳梨(のうなし)。

俺たち従業員は、
ウィークリーマンションの
パワパラパレスに1部屋借りて
男3人、単身用のクソ狭い部屋で共同生活した。

販売店舗は、
不動産会社から3ヶ月限定で借りた
潰れたコンビニ店舗跡を
家電体験会場とした。

次に、食品の激安販売をすると、
近所に新聞広告チラシをばら撒いた。

「オープン記念!
特別!ヒルヒル体験キャンペーン!
ただいま、電位治療器ヒルヒルを、
体験なさってくれた方には、
日替わりで食品や日用品を
10円で販売させていただきます!
毎日、お得な品物をぜひ、手に入れてください!

今週の商品

月曜日 卵
火曜日 キャベツ
水曜日 食パン
木曜日 トマト
金曜日 うどん
土曜日 砂糖
日曜日 ラップ

開店日、ヒルヒル店舗の前は行列が出来ていた。
商品を手渡す前に、
座らせてヒルヒル電位治療器の体験、
ヒルヒルの効能DVDを見せて、
他の商品をいろいろ触らせたあと、
アンケートと称して個人情報を書いてもらい、
また来る時のために、
スタンプカードを品物と一緒に渡し、
10円もらう。

節約のために
毎日来る年寄りと
仲良くするよう穂萌さんに言われている。
年寄なんて話しても楽しくないが、
話さないと閉店後、穂萌さんに怒られるから
気を使って話す。

毎日来る年寄は、スタンプカードがだんだん溜まってくる。
溜まったら、また、日用品のプレゼントだが、
頃合を見計らってヒルヒルや関連家電を勧めて買わせる。
俺は節約志向の年寄りに高額商品を売りつける事に良心が傷んだが、
売った値段の10パーセントを貰えるので、
穂萌さんのセールストークを真似た。
俺が売らないと、脳梨が売るから、
どうせだったら俺が売った方がいい。
自分を納得させて、
スタンプカードの溜まった年寄り達に
電位治療器ヒルヒルや空気清浄機ルヒルヒを売りつけた。

嫌な仕事だなぁ、
いいのかなぁ、
そう思っていたが、
店舗をオープンしてから、
1ヶ月後の給料日、
歩合の
60万円を穂萌さんからもらって、
俺と脳梨はソープに遊びに行った。
おらは童貞を失い、
ソープに2人とも良心を忘れてきた。

また、ソープに行くためなら、いくらでも売ってやる!
金と女。
こんなに楽しいものは無い。
どうせ3ヶ月しかこの店舗にはいないんだから、
売って、売りまくってやる!

俺と脳梨が真剣になりだしたのを見て、
穂萌さんはニヤニヤしながら、
俺の仕事セールストークを真似して稼げ。
また、ソープに行こうと言った。

穂萌さんは顎が強い(喋りが上手い)から、
上手く年寄りを丸め込んで稼いでいる。
俺も穂萌さんみたいに沢山稼ぎたい。
ソープに行きたい!

店舗の閉店日には、
「今、買わないと、送料5万円かかる!」
と、強引に高額商品を年寄り共に売りつけた後、
借りていた店舗とウィークリーマンションのパワハラパレスを
不動産屋に明け渡した。


次のターゲットの街へワゴン車を走らせる頃には、
どんなソープランドの女が俺を楽しませてくれるのか
ワクワクした。
エロは俺の最大の原動力だ。
次の街でも同じように昼は、店舗での営業、
夜はソープかキャバクラ。
いやぁ、女遊びはた~のしい!
ただ、派手に遊びすぎたようで、
俺たちに目を付けたやつがいるのに気が付かなかった。

3ヶ月後、店舗閉店後、
現金の売り上げを店舗で数えていたら、
半グレ
(ヤクザとして組に入っていないが、
裏の世界の仕事をシノギとしている人間)
10人が、トンカチやスパナを持って店舗に入り込んできた。
俺達3人は、
ボコボコにされたあと、
服を脱ぐよう命令されて、
手を荒縄で後ろに縛られた。

俺達はホモ行為を強要され、
男同士3人で息子を舐め合う動画を撮影された。
穂萌さんの息子は臭く、しなびていた。
屈辱だ。

「復讐防止だ。
年寄りから巻き上げた金で、
風俗のねーちゃんにも息子を咥えさせたんだろう?
本番ないだけマシだと思え」

半グレのリーダーは、そう言って俺たちの顔を狙って小便をかけて出ていった。
しょっぱい…
その上、時間が経ったら、だんだん冷たくなってきた。
俺たちは、
命は助かったが、
情けなくて生きるのが嫌になった。
店舗解約の立ち会いにきた
不動産会社の従業員に発見させるまで
縛られた縄を外す気にも起き上がる気にもなれず、
もう、この仕事は辞めようと思いながら
ぐったりと横たわった。


BADEND 同性愛

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