島日記 夜型から朝型へ
真夜中に通知音が鳴る。
眠りが浅いから手を伸ばすと、旧友からの祝メッセージである。
相変わらず夜型で、時間の読めない人だ。
驚かせてやろうと即返信する。
案の定、「起きてたの?」
短いやりとりだったが、結局目が冴えてしまい眠られなかった。
仕事でなくてよかった。
私はとっくに朝型になっている。
夜の静寂から朝の静謐を好むようになったのはいつからだろう。
現在の住まいの前は森のなかの一軒家で、鉄筋の三階立ての廃屋のようなところだった。
屋根裏部屋から外に出て、屋根に登って星を見ていた。
その頃はまだ夜型だった。
夜は孤独を愉しめ、朝は平穏を味わえる。
年をとるにしたがい、朝を好むようになるのは当然の成り行きだろう。
目が覚めて、もう朝がたと思って時計を見るとまだ日付けが変わったばかり。
それを喜ぶのはすぐに眠れる若い時だけだ。
なんの本だか覚えてないが、病棟に長く入院している人を描いた短編だった。
夜の見回りと朝の見回りがあるが、眠られずに悶々としていると見回りの足音が近づいてくる。
ああやっと朝だ、起きられると思ったら、窓を開けないまま遠ざかっていく。
夜の見回りだったのだ。
それからの長い時間に絶望するさまの描写が忘れられない。
森の家にいつまでも住みたいと思っていたが、結局は平屋の小さな今の家が好きになった。
朝型に変化していったのは年のせいもあるが環境も大きい。
今の家は朝日が入り、いつまでも寝てはいられない。
じぶんで決めたわけではないのだが、成り行きでよくなっていく。
ありがたいと思う。
今日の部屋の温度は24°まであがる。
春がそこまできている。
今日もお付き合いくださってありがとうございます。
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