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蘭と小イルカ🐬

街を歩いていた

よく知らない人達と歩いていた
この人達誰だろう?

私何処に向かってるのかな?

そんなコトを考えながら
煉瓦造りの色褪せた街を歩いていた

目が覚めた

さっきの街をまた歩いていた

突然、目の前に真っ白な車が現れた

横滑りでスキーさながらの角度で
綺麗に眼前で止まった車は
驚くことにオープンカーだった

「こんなに白かったら
汚れたときに洗うの大変そう。」

ふと漏らした感想を
“何とも庶民的な発想だな”と
心の中で笑いながら呆然と見つめていた

先程まで隣にいた知らない人達が
「早くついてこい!」とせっつく

後ろ髪を引かれる想いで白い車を
後にしようとした

目が覚めた

元の街並みだった
だけど私は挟まれていた

斜め前には知らない人達
斜め後ろには真っ白い車

結局私は知らない人達を無視して
真っ白い車の後部座席に乗り込んだ

ウォーターシートみたいな
ヒンヤリ加減と柔らかさに
満足して両足をぷらぷら揺らす

次第に締まるオープンカーのルーフ越しに
落ち着いた声が聞こえた

やっぱり来たな

運転席にいたのは工藤新一にそっくりな
イケメンの青年

私と彼に個人的な関係性があったのかは
分からなかった

“何処かでお会いしましたか?”
みたいな感覚だったけど、
ひとまず話を合わせておこうと思う

まあね!

それだけ答えた

ふっ

と口角を上げて鼻先で笑いながら
彼は車を運転する

着いたぞ

彼のその声で私は
車から降りた

目が覚めた

最初の街並みだった
だけど、少し違っていた

目の前には白い花びらが風に乗って
躍っていた

色褪せた煉瓦造りの街並みは
一面に敷き詰められた蘭の園になっていた

甘過ぎる香りにむせそうになりながら
その美しさと可憐さに見惚れていた

私の白いワンピースも
一緒に躍っていた

行くぞ!

彼の声で再度車に乗り込む。

“今度は何処かな?”

そんなコトを考えていたら
座っていた後部座席に水が浸水してきた

溺れちゃう!

慌てて叫ぶ私に

ばーろ

とイタズラな男の子のような笑顔を向ける彼

ウォーターシートみたいな席は
そのまま浮き輪になっていた

私はいつの間にかキラキラ輝く
水面の上にいた

ぷかぷか浮かぶ自分の身体に驚きつつも
足の指先が揺らめく波に触れて

その冷たさが気持ち良くて
暫く瞳を瞑っていた

きゅーっ!
きゅるるるーん!

可愛らしい声が左側から聞こえる

何かなと思い瞳を開けると
小さなイルカがいた

子イルカだった。
しかも真っ白。。

目を細めて滑らかな頭を
私の左手の甲に擦り付けてくる

見てみて!可愛いよ!

私の声に反応した彼は
夕日を背景にして
首を斜めに傾げながら
笑いかけていた

目が覚めた
りあるだ。

綺麗だったなぁ。。
気持ち良かったなぁ。

そんなコトを考えて
冷感シーツから
身体をゆっくり起こした

もう秋風の匂いがした。

日常と非日常を放浪し、その節々で見つけた一場面や思いをお伝えします♪♪ そんな旅するkonekoを支えて貰えたなら幸せです🌈🐈 闇深ければ、光もまた強し!がモットーです〇