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回顧手記「ホスピタリティ」 2007.07.27

 私のところのような宿を 「ゲストハウス」とか「ホステル」という。 ホステル (Hostel)の語源はホテル(Hotel)と同じくラテ ン語の「hospes (旅人・巡礼者)」といわれている。
 これは「Hospital (病院)」の語源と同じ。つまり、ホステルもホテルも病院も疲れた旅人(病人)が安らぎと憩いを求め、リフレッシュあるいは治癒し、またそこから旅立っていくという場所なのである。そして、そこから「Hospitality (ホスピタリティ・おもてなし)」が生まれた。
 「もてなし」の語源は「モノを持って成し遂げる」とい う意味で、接客業・サービス業に限らず、すべての家、人に言えることである。 「おもてなし」はそれほど仰々しいことではない。普通に家人が来たときの対応でいい。
 家ごとにおもてなしの仕方があるように、観光地や店もそれぞれのやり方でいいと思う。茶菓子に漬物を出すところもあれば、ふかふかのソファでケーキを出すところがあってもいいのだ。背伸びをせず、他にはない個性あふれる おもてなしが、旅人にとってすてきなことだったりする。
 小樽には個性的な宿が数軒ある。個々の宿にはそれぞれのおもてなしの仕方があり、 雰囲気がある。この夏、また 二軒ほど増えた。小樽にこんな宿がさらに増え、安らぎと憩いを求めた個性的な旅人で にぎわう「旅人の街」になれば、面白いと思っている。

北海道新聞 夕刊 えぞふじ 2007年7月29日(金) 掲載

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