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長い夏休み

 食いしん坊で心身共に元気なのが取り柄だと思っていたら、吐き気と頭痛でダウンした。痛みには我慢強い方だけれど、動けなくなる程の痛みは初めてだった。
 救急安心センター事業(#7119)で電話相談をしてから救急車を呼んで、点滴を打たれながらMRI検査を受けた。119番もMRIも人生で初めてだった。
 救急外来では緊急性のない慢性頭痛だと診断された。翌日に受診した整形外科での見立ても同じだった。
 数日間は食事をする気力もなく、文字通り寝たきり状態だった。
 起き上がると締め付けられるように痛むから、クッションや壁にもたれたり工夫しながら食べた。
 病は気からとはよく言ったものだ。片手で済ませられる栄養補給から、楽しむための食事が出来るようになるにつれて気力を取り戻した。ファミチキのジューシーさですら泣けたし、発症前日に買い込んでいた無印良品のごはんにかけるシリーズや食べるスープに救われた。
 処方された鎮痛剤を飲みながら仕事を再開して、接骨院でのマッサージで痛む頻度も減った。念願の花火大会にも参加できた。

 ところが休み明けから頭痛がぶり返した。出勤三日目で早退せざるを得なくなって、病院嫌いの自分でも不安になった。
 紹介状のいらない専門外来に駆け込み、血圧、レントゲン、MRIと検査を受けた。そこで今までの見立てとは違う、聞き慣れない病名を告げられた。
 内科や整形外科、接骨院など行く先々で訴えていた「起き上がると痛い」という症状がキーワードだったらしい。目から鱗だった。必ずしも外傷で起こるものではないそうで、かくいう私も身に覚えがなかった(未解明な部分が多く、病名も定まっていない。怠け病だと揶揄されることもあるらしい)
 朝から晩まで苦しめられた頭痛にやっと答えが出た。
 とりあえず一ヶ月は水分を摂って安静にするように指示された。飛んだり跳ねたり走り回ったりするのも禁止だ。改善が見られない場合は別の治療法になるけれど、投薬と安静臥床に期待したい。
 職場に諸々の検査結果を報告して、完治するまで休職することになった。学生以来の長い夏休みだ。

 この日記を書いている途中で、古巣の上司からメッセージが届いた。
「元気な顔を見れるのを楽しみに待ってます」
 ほっとしたらお腹が空いた。旅行先で食べた海鮮丼の写真を眺めて気を紛らわした。

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