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日記

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#着物

前向きなお別れ

 色々あって私物を断捨離することになった。衣類や書籍、大きな物から小さな物まで。洋服タンス三段分を占領していた着物類も二段分まで減った。  手持ちの中には新品の浴衣や半幅帯もあるが、ほとんどがリサイクルやアンティークだ。  着物仲間も皆無なので譲れない。メルカリに出そうにも点数が多い。私のように一人で着物を楽しんでいる人でも参加できるような、次の人に着物を譲れる場所があれば教えてほしい。  結局、着物の買取業者に宅配買取をしてもらうことにした。一般ごみとして燃やされて灰になっ

初めてのアンティーク着物が愛おしい

 先月、外出先でアンティーク着物をお迎えした。  着物の他にも骨董、生活雑貨、アクセサリーなど様々に扱っているリサイクルとアンティークのお店で、数年前にふらりと立ち寄ってから何度か訪れている。良心的な価格帯や押し売りのない接客、Instagramに投稿されるコーデも私好みだ。  その日は以前お迎えした着物と帯の里帰りコーデだったから、折角なら顔を出したかった。あとは流し見程度の軽い気持ちで、だ。 「着物一枚に帯三本」という言葉はあるけれど、ついついワンピース感覚で選んでしまっ

着たい物がある

 五月某日。行けるかどうかも決まっていない花火大会の開催決定のニュースに心が躍った。屋台のきゅうりの一本漬けを食べて、ずどんと鳴り響く花火の鮮やかさを目に焼き付けたい。……折角なら浴衣か薄物の着物がいい。  私にとって着物は普段着のひとつだ。映画館でも居酒屋でも着物で出かけられるけれど、イベントだと乗っかりやすい。 「どうして着物なの?」と聞かれることもない。  箪笥の中に一度も袖を通したことがない着物がある。厳密には服の上から羽織っただけ。淡いピンク色の薄物で、開いた冊子に