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第1話「そのフェスやる意味ある?」~日比谷音楽祭の意義について~

noteをはじめます。SNSで、思ったことやらライヴの感想をつぶやいたり書いたりしてきましたが、それらは備忘録とか、近況報告とか、短い文を書くことの習慣化みたいなことだったのですが、
noteには違う役割があることに気がつき、面白いと思ったのです。

というわけで、「そのフェスやる意味ある?」という問いを横に並べることで、自分が制作委員長としてがっつり関わっている日比谷音楽祭の意義を説明しながら意義そのものを更新していきたいと思い、書いていきます。

【自己紹介パート】

まず、「そのフェスやる意味ある?」と問うからには、それなりの背景があることがある種の説得力のようなものに直結すると思うし、読む気にもなるかもしれないのでちょっと自己紹介します。
僕は初めてお客さんとしてフェスを体験してからもう22年くらい、(フジロック98ですね)フェスにバイトとして参加しはじめたときから20年くらい(ROCK IN JAPAN FESの初年度とかAIR JAM2000とか)、フェスの事務局スタッフとして働いてから15年くらい(ROCK IN JAPAN FES2004~2005)、出演アーティストのスタッフとして乗り込む機会を得てから14年くらい(OORONG-SHA時代)、フェスの統括的役割をするようになって12年くらい(ap bank fes)、そして、いくつかのフェスの立ち上げを手伝ったり、仕切ったり、エリア運営を担当するようになってもう7年くらいです(独立していろいろやらせて頂いています)。どうでしょう?少しフェスに関する説得力、増してきましたか?記録とか経験、実績っていろいろなパターンがあると思うんですが、ある角度からみると、僕も自分ほどフェスを知っている人間は他にいないんじゃないか、とも思える例の一つではあると自負しております。
社会人になる前に、そして、偉くなる前に日本の野外音楽フェスの歴史がはじまってくれたのが良かったんでしょうね。(もちろん、先駆者の方々のおかげですし、自分は今も偉くはないのですが。)だから、フェスが始まった時代のお客さんの体験も、底辺のバイトくん経験もあったうえで、フェスの全体統括をすることができました。他にもフード出店者や出演アーティスト側のスタッフも、大型フェスもあれば小さなフェスもあり、メディアのフェスからアーティスト主催のフェスまで、フェスをいろいろな立場で経験したと思います。そう考えると、お客さんとして日本のフェスを体験してからそれを仕事にしてきた第一世代的なものなのかもしれないですね、自分は。そのなかで、どこまで全体的に把握できているか、さまざまなことに怒ったり怒られたりしながら向き合ったことがあるか、という話です。仕切る人間がやるべきことは全部説明できます。あと、結構一生懸命、頑張れます。

【フェスをやる意味】

そんな自分が、フェスが乱立する昨今、あるタイミングからよく頭に浮かんだ言葉が「そのフェスやる意味ある?」なんです。いや、ほんとそのままです。
でも、他のフェスに向けた「その存在意義を問う」、みたいな攻撃的な投げかけではなくて、(その必要性も感じもしますが、)今回はそれよりも自分自身が「フェスを続けるために」、関わる「フェスが続くために」のお話にしておきます。自ずと繋がることでもありますし。これは、個人的に自分が社会に出てからフェスを生業の主にしてきた人間だから、というのがすごく大きくあって、自分自身の仕事へのモチベーションとか、過酷な労働で失ったかもしれない何かに対する自己肯定とか納得感とか、そういうものを保つのにきっと必要だったのだと思うのですが、「自分の関わっているフェスの役割はこれ」「〇〇のためにやっている」というそのフェスなりの大義がとても重要だったと思います。自分なりに勝手に見出しているものも含めて。だって、結局、いちスタッフとして頑張れるか、みたいな話だけではなくて、フェスを仕切るようになっても、アーティストオファーにも、コンテンツを考えるにも、すべてにおいて重要になるじゃないですか。

つまり、「そのフェスやる意味ある?」という問いに答えていくことがフェス制作そのものなんですよね。特に「フェスをやりたいから手伝って欲しい」というオファーを頂くようになってから顕著になりましたね、この考え方。で、逆に「そのフェスやる意味ある?」という問いに対する、想像できる答えがつまらなそうだと感じるフェスはやる必要ないと思ってしまうし、手伝いたくない、手伝えない、ということにもなります。そもそもフェスで儲かるなんて、一定以上の規模にならないと無理ですし、たくさんの人を巻き込んだり、迷惑をかけたりしますから。さらに、常にリスクがつきまといまくりますからね、特に野外フェスは。
ただ、フェスというものはやりたい張本人の情熱ありきですし、どこまでいってもそれがすべてでもあるので、その張本人の魅力と熱意に少し付き合うと、最初は個人的だった情熱に隠れていた「意味」が見えてきたり、制作の過程で一緒に「大義」に辿り着くとか、その先にある「役割」を掘り当てる、みたいなケースもあります。

そういうことを考えていると、「なんのためにやっているのか」ということに常に回帰しようとする癖というか本能は、やはりartist power/alternative powerを掲げてはじまったap bank fesに関わってきたことが自分に与えた影響が大きくて、染みついた精神みたいなものであると改めて感じるし、この話はそれに触れている気もしてきます。ap bank fesは興行ではなく、非営利だから、フェスが目的ではないんですよ。環境プロジェクトへの融資や被災地支援活動のなかで、フェスという形式で音楽を届ける必要があると思えばやるし、毎年、まずはその事を話さない限りははじまらない。
「孫子」みたいなんです。戦のための兵法書である孫子も実は戦争はあくまでも選択肢のひとつとしていている。大義と目的と終わらせ方が見えてない戦はすべきではないと。
話が全然違う方向にずれましたが、、、フェスは巨大な行動を起こす行為ですから「なんのためにやっているのか」を明確せよと。そういうことは古来よりの鉄則です、という話です。自分はミュージシャンではないので、音楽に関わるスタッフや関係者の想いに共感しやすいですが、やはり表現者であるミュージシャン、アーティストそのものが「目的」や「意味」と共に生み出すフェスとそこで鳴らす音楽の求心力は凄いです。良いフェスなんですよ、ap bank fes。

【日比谷音楽祭をやる意味は?】

そして、日比谷音楽祭のお話です。
ここまで話をしてきた「そのフェスやる意味ある?」に対して、かつてないベクトルの納得感と大義をもって企画制作に取り組めそうなのがこの日比谷音楽祭なのです。音楽業界でフェスやたまにライヴ演出に関わりながらアーティストや働く人々を見てきて、「フェスが流行ったなら、フェスがもっと音楽に返さないといけないよな、フェスにはまだ他の役割もあるはず。」というぼんやりした問題意識と希望がありました。「返す」って言葉をもっと具体的に言うと、「音楽を中心とした経済や文化や社会の循環を再定義して、生みだして、音楽とその周辺が豊かになり、世の中も良くなる。」みたいなことかな、と考えてまして、
それをもっと具体的にすると

・音楽と出会う場が増える
・人々が音楽にお金をつかう
・企業が音楽を支える(協賛や寄付、場をつくる)
・良い音楽が生まれ続ける
(ミュージシャンが生まれやすい、ミュージシャンが食べていける)
・音楽業界で働く人々が増える(憧れる、魅力的な仕事である)

こういったことが連鎖していくことだと思うのです。

そして、それは日比谷音楽祭の目指すことそのものであり、日比谷音楽祭ははその連鎖を生み出すきっかけとして機能できる可能性を秘めていると思っています。

それにはいくつかのはっきりした理由があって、

・日比谷音楽祭はとにかく座組が大きい(会場とその周辺施設や企業、音楽業界の各団体が実行委員会に名を連ね繋がっていること、それによる今後の発展性)→これ、なかなかない奇跡的座組です。HPの公演概要見てみてください。https://hibiyamusicfes.jp/

・亀田誠治という音楽プロデューサー、プレイヤーが実行委員長として、中心で平和的かつ情熱的に仕切っていること(業界内でのバランス、若手~トップアーティストとの信頼関係など)

・入場無料で開催すること(興行フェスではない) 

・NYのセントラルパークの無料の「サマーステージ」に着想を得ていること。(公園、寄付文化、市民に開かれていること、数十年持続している)

・ボーダーレスがテーマ(音楽ジャンル、世代、国をまたいだ内容を目指していて、誰にでも開かれていることを目指している)

・ライブだけではなく、ワークショップ、トーク、マーケットなど、音楽をいろいろな形で体験できること

・会場が都心であること(アクセスがしやすく、参加しやすい。逃げ場も多く安全)

・会場が日比谷公園であること(日本の音楽の聖地のひとつと言っても過言ではない日比谷野音を有し、近代日本の歴史とともに歩んできた場所であること)

まだまだあるとは思いますが、ぱっと思いつく限りではこのようなところです。

そして、その中でも「企業の協賛金」「行政が関わる助成金」「個人のクラウドファンディング」の3つの資金源で、昨年の第一回目を無料開催で成立させられた事実が大きいと思っています。既に実績ができているのです。しかも広告代理店に頼らず、亀田誠治と僕とで企画書をつくり、自ら企業をまわるという自力で、です。

【まとめとお願い】

長々と書きましたが、
「そのフェスやる意味ある?」という問いに対して、この日比谷音楽祭には既にやる意味や、やるべき理由が満載にあることがおわかり頂けたと思います。そして更にその意味や意義を現実のものに落とし込む過程で、いろいろな立場の人たちの想いやメッセージが込められる余地とチャンスが転がっていて面白そうではないですか?

どこかの会社や個人の利益のための興行ではないので、亀田さんや自分、今関わっているスタッフがいなくなったあとも受け継がれてずっと続いていくフェスにしたいと考えています。

そのために、
運営資金の面でも、企業がSDG'sのいくつかの文脈のひとつとして、または欧米には強く根付いている文化事業に対する寄付の考え方を、日本企業なりの解釈で進化させていくことにも期待し働きかけたいのですが、

クラウドファンディングというかたちで、我々いち市民が企業や行政の力を超える影響力をもち、大きな文化をつくり、それが続いていくという可能性にとても期待しています。

無理やりまとめに入りますが、 とにかく、今までのフェスとはまた違った新しい価値観と大義ではじまったフェスなので、知ってもらい、サポートしながら見届けて欲しい、みんなで創りましょう、音楽とみんなのために。

ということです。

つまり、クラウドファンディングのご協力お願い致します。ということでした。

日比谷音楽祭2020何卒よろしくお願いします

次回は

「何故、クラウドファンディングなのか?フェスの収入はどうやってつくられているの?」みたいなことを書きます。(予定)


日比谷音楽祭2020 制作委員長
THE FOREST モリマサシ

日比谷音楽祭2020オフィシャルサイト https://hibiyamusicfes.jp/

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今年の日比谷音楽祭は、日比谷公園の会場にこられない方々にも、もっと、日比谷音楽祭を知ってもらおう、日比谷音楽祭を楽しんでもらおうという「ボーダーレス」の取り組みの一つとして、日比谷音楽祭公式YouTubeチャンネル(HYC)をスタートさせ、その制作資金とイベントの運営資金を集めるために、クラウドファンディング第一弾として、CAMPFIREで支援者を募集しています(3月30日まで)

グッドモーニングアメリカのベーシストであり、YouTuberのたなしんを、このYouTubeチャンネルのプロデューサーに迎え、ほんっとうに、ここでしか見れないコンテンツが、奇跡の共演で起ころうとしています。この計画を形にするために、みなさんの支援が必要です。よろしくお願いします。


<クラウドファンディング第一弾>日比谷音楽祭2020×CAMPFIRE
【応援団1000人と一緒に「日比谷音楽祭」動画配信チャンネルを作りみんなに届けたい】
詳細はこちら:https://camp-fire.jp/projects/221029

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