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日米同盟は、自動参戦ではない。核シェアリングの真の意味は、米国を確実にコミットメントさせる(日米同盟をより強固にする)ということ 河野克俊 元統合幕僚長

虎ノ門ニュース 2022/3/9(水) 
河野克俊 元統合幕僚長

【発言要旨】

日本では核問題は正面切って話すことがタブーとなっている。

・1991年の湾岸戦争時の例

イラクが独立国であるクウェートを明々白々に侵略。国連も安保理非難決議をすぐ出した。米国は多国籍軍を編成し、イラクを追い返し軍事作戦を1ヶ月で終了させた

・今回のウクライナ戦争

今回のロシアの侵攻もケースとしては全く同じだが、米国は最初から軍事オプションはやらないと明言。核大国同士がぶつかるとエスカレーションして核戦争になるからという理由。
湾岸戦争との明確な違いは、ロシアが核を持っているということ
イラクは持ってなかったから、ああいうことになった。
今回、米国はウクライナと同盟関係にないとはいえ、核戦争のリスクを懸念して、最初から軍事介入を捨てた。
核戦争のエスカレーションを考慮した上で、軍事介入をしない米国を世界は見た。

・日米同盟

日本は、日米同盟がありますからと安心しててよいのかを考え直さなければいけない。
核の傘が掛かっているから絶対間違いありませんと日本は信じているだけ
誰が保証するんですか?
日米同盟は自動参戦ではない
米議会・米国民が米国の国益に沿うと判断すれば発動される。

核シェアリングとは

核シェアリングとは、絶対に米国を逃がさないぞということ
ドイツ、オランダ、イタリアは、米国と核シェアリングをやっている。
特にドイツは、冷戦時に最前線に立っていた国だから、自分たちが生き延びるためにいろいろ考えた。絶対に口約束は信用しないぞと。米国を取り込むというのが核シェアリングの考え方
今は、米中対立で、日本は世界の安全保障の最前線に立っているので、日本はかつての西ドイツの立場にいる。
日本は生き延びるために、米国を口約束だけでなく、『絶対に中国、ロシア、北朝鮮の核を行使させない』その保証を得るために、米国を核シェアリングにより引き込む
だから、核シェアリングは、当然議論されるべき。
新たな条約も必要ない。
日本が滅んで非核三原則が残りましたでは全然意味がない。
日本の安全保障のために、方針変換する。非核三原則の『持ち込まず』は廃止するという方向になるのが論理的な話
(高橋洋一氏:核シェアリングは、同盟関係の強化に繋がる。持ち込ませずとは言うが、佐世保や横須賀の原子力空母はどうなの)
核には2種類あり、戦略核は中露がワシントンを狙うもの。戦術核は戦場で使うもの。
ドイツが言っている核シェアリングは、戦術核。ドイツ空軍は、この戦術核を投下する。オペレーションに参加するということ。そこまで踏み込んで、米国のコミットメントを確実にさせ、米国に「私やりません」と言わせないということ。

ドゴール元フランス大統領は、米国に立て付いたり、NATOの軍事同盟にも入らなかった。彼は独自の核(戦略核)を持とうとした。そんなことしたら米国と益々対立すると反対した人もいたが、彼は断固としてやった。
彼の信念は「フランスが核を持てば、米仏関係はより強固になる」だった。現実はそうなった。米国は、核を持ったフランスを離せなくなる。
核というのはそういう効果があるということを冷静に見る必要がある。日本は核戦略論を勉強しなければいけない

57分~1時間5分辺り

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