『「ブロックチェーン」に代わり、IMFとBISが多用する次の暗号資産バズワードとは?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.6.28
■「ブロックチェーン」に代わり、IMFとBISが多用する次の暗号資産バズワードとは?
ブロックチェーンをバズワードと称するのはいかがなものかとは思いますが、確かに「インターネット」という言葉もバズワードだった時代がありましたね・・・
さて本題。
IMFとBISという金融系組織のレポートの中で「トークン化」というワードが共通で好意的に使われるようになっているよ、とのことです。
web3にまつわる用語、ブロックチェーン、暗号資産、FTやNFTなどを総じて「トークン化」と捉えると比較的理解しやすい(それでも難解!)と思います。
トークン化とは?
一例として書かれている「不動産のトークン化」は比較的わかりやすいもののひとつです。
不動産は業界専門の流通網の中で扱われ、主に不動産仲介業者を通じて売買契約と仲介契約を締結し、登記を経て所有権移転が完了します。
不動産については流通や取引の仕方は業界的にも法律的にも確立はしていますが、
・どこで何を売っているかがわかりづらい
・手続きがそこそこ大変
・分割して小口化したり部分的に担保化したりするなど、イレギュラーなことをやるのはかなり大変
という面があります。
そこでトークン化です。
不動産の権利情報をNFT化することで、登記手続きより簡単に「NFTの売買」だけで不動産が売買できるようになるイメージです。
会員権・利用権をNFT化、つまりトークン化する事例も増えてきています。トークン化することで「ネット上のマーケットプレイスにアクセスするだけ」「買えば獲得」「あとから売れる」「小口化しやすい」など売買しやすくなります。
ただし実際には、不動産の場合には持ち分を証券化しセキュリティトークンとして売買することになりますし、証券取引に関する各種規制や登録制度に則ることが必要です。
過去記事にも書いていますが、何の規制もなしに不動産をトークン化するのは危険です。トークンだけが売買されて実際の不動産の所有権が移転されない詐欺が起きる可能性がありますし、詐欺が横行すればトークン化の流れが止まってしまいます。
一定の制約はあるものの、従来の取引方法と比べてトークン化した際は売買しやすくなることが期待されます。
あらゆるものがトークン化する未来
不動産やリゾートホテルの宿泊利用権のトークン化を例に挙げましたが、このようなRWA(Real World Asset)と呼ばれる裏付け資産のあるものをトークン化することもあれば、ライブチケットや駐車券などの無券面化とデジタル化を図るトークン化、そしてもっと概念的な「アイドルの人気の度合いをトークン化」のようなことも試みられています。
無券面化は単なるペーパーレス化です。QRコードでライブチケットを表示するだけならデジタル化までで留まる話です。
ライブチケットをトークン化すれば、オンライン上で売買しやすくなります。ERC-721規格のNFTチケットにすれば世界最大のNFTマーケットプレイスOpenSeaで売買することもできます。
日本の往年のスポーツカーの値上がりが著しいことに目をつけて買う人も世界中で増えていますが、投機目的なので実車を手元に持ちたくはないという人も多いもの。そこで所有権だけをトークン化して売買することで保管場所や輸送コストなどを気にすることなく売買できるようになります。
トークン化とその売買によって文化財の海外流出を防ぐという使い方も生まれています。所有権だけはトークン化で売却しつつ、実物は常に国内に留置することで散逸や輸送での破損を防ぎます。
法定通貨をトークン化するものがステーブルコインでありCBDCです。無券面化・デジタル化は銀行の残高データ化などで実現していますが、トークン化することで所有者情報を書き換えるだけで移転=送金が完了するという簡便さや高速化を実現できます。
ブロックチェーンは技術的な話、暗号資産は値上がり値下がりの投機の話、NFTも一時期は投機の話ばかりでしたが、全体を「トークン化」と捉えると従来の流通の課題解決や、実現が難しかった「人気の数値化」ができるようになるなどの使い道が見えてきます。
ブロックチェーン上で実現できることのすべてを無券面化・デジタル化→トークン化と捉えなおすと、さまざまなものがトークン化される未来が見えてきそうです。
昨今の「所有しない・使ったぶんだけ払う」という流れや、「なんでもサブスク」、「推し活」ブームとファンの可視化、SDGs・脱炭素化のための「排出権取引」など近年のブームも全部トークン化に向かうためのステップ。時代のトレンドがすべてトークン化に収束する未来が見えてきます。
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