『RWA事例「家賃3万のNFTシェアハウス」が予想以上の大成功。開始1年、成功の鍵は“報酬トークン”』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.10.13
■「家賃3万のNFTシェアハウス」が予想以上の大成功。開始1年、成功の鍵は“報酬トークン”
これも一種のRWA NFT。
家賃という金銭的価値が提示されていることが、DAOやNFTというムズカシイことをわかりやすくしていると感じます。
NFT3万円=1か月の家賃=RWAがわかりやすい
この記事ではDAOという組織形態と、DAOというものに参加する人たちにターゲティングしたことが成功要因としています。
それもあると思います。たんなる「安価なシェアハウス」としてマーケティングするより、スタートアップ気質の人に「NFT」「DAO」という言葉で集客することで差別化できます。
しかし、そのような「NFTマーケティング」というだけではなく、「NFT1個=3万円の家賃」が価値の裏付けとしてわかりやすかったのも商業的に成功した要因じゃないかと思います。
今のところスマートコントラクトで自動実行されているわけではなく手作業で事務処理しているということなので、ぶっちゃけNFTやオンチェーンである必要性はありません。ここは「NFTマーケティング」です。
1年前にこの「NFTシェアハウス」が始まった時はまだNFTの投機的な売買がまだ盛んでした。なぜか「NFT」というだけで何万円もの値段が付いた時代から、多くの人が少し胡散臭みを感じ始めたころでした。
何万円もする理由はよくわからず、「値段が上がりそうだから」「ほしい人がいるから」そんな説明をされていました。
そんな中で「1か月の家賃3万円に充当できますNFT」は裏付け資産があるのはちょっと新しかったと思います。
今はそれをRWA(Real World Assets)と呼びますが、当時は今ほど流行っていませんでした。
管理コストもトークン化
通常のシェアハウスでも住人が当番制で掃除することはありますが、そこに「報酬トークン」を設定してお仕事化したことも、運営の無人化とコストダウンにつながったとしています。
早稲田大学大学院経営管理研究科教授の入山 章栄先生のポッドキャストでも「ちょこざっぷが全国2000店舗を目指す時の店舗拡大のボトルネックになるのはスタッフ人材の確保」とし、ちょこざっぷ会員が掃除などを担う仕組みにしたことが1000店舗規模に到達できた大きな理由としています。
(ちょこざっぷが狙うのはジムの拡大ではなく「地域の公民館のようなコミュニティづくり」というのが本題の話で、とても面白いので是非聴いてみてください。)
「NFTシェアハウス」も、住民が運営コストの一部を負担することで家賃を安く設定できたり管理費を別途取る必要がなくなっています。
DAOは善意の組織のように語られがちですが、基本はお金を軸にした集まりだと捉えた方がわかりやすいように思います。
「内覧対応したら4トークン、3万円相当まで貯めると家賃に充当でできる」という報酬体系も、「謎のトークン」ではなく「1トークン250円相当、120トークン=3万円分貯めたら家賃」という裏付け資産があるRWAのやり取りだからわかりやすいのです。
結果、NFTとDAOが空き家対策につながったのが大きい
「NFTシェアハウス」を「DAOで運営」と銘打っていますが、結果、商業的に成功するモデルが見つけられたことで、空き家対策ができる道筋ができたことが大きな成果だと感じます。
NFTを総額いくらぶん売ったとか、時価総額がいくらだとか、とかくNFTそのものの売り上げ規模の話になりがちなNFT界隈。NFTコミュニティのDAO化にしても、ホールドするか、売るか、値段を上げるための策を打つか、みたいな話がメインになりがちです。
今回の「NFTシェアハウス」は、家賃が上がらない限りNFTの値段は上がりません。それがRWA NFTというものですから。
物件の値上がりによるキャピタルゲインを狙う不動産NFTの世界もありますし、不動産の流動性を上げたり小口化によって投資しやすくなるなどのメリットもありますが、今回の「NFTシェアハウス」はそちらではなく、空き家対策として作られたリノベーション物件の借り手をつけることが目的のプロジェクトです。
投機的なNFTの売買ではなく、空き家対策の道筋ができた。このNFTの使い方はとても興味深いと感じます。
あとはスマートコントラクト対応ですね。これがないとNFTやブロックチェーンである必要性がないように見えます。
物件が増えてきたら、それぞれの家賃の違いを吸収する仕組みも必要でしょう。NFTが個人間で売買される二次流通市場が成熟すれば、住み替えし放題なNFTシェアハウスにも発展できそうです。
家賃を裏付けにしたRWA NFTを使った空き家対策。成功例が出れば他社の参入もあるでしょう。そうなれば、業者をまたがって相互運用できるNFTに発展するかもしれません。
よりNFTである必然性がある発展の仕方が見えてきます。DAOの存在は薄くなるかもしれませんが、シェアハウス全体の運営や経営に関わるように発展すれば面白そうです。新しい不動産賃貸事業のかたちがDAOから生まれるのもミライっぽいですね。
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