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『まるでゲームの世界。倉庫で箱の中のアイテムが探せる「X-AR」』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.3.9

■倉庫や商品棚で目的のアイテムがすぐ見つかるAR技術

MIT(マサチューセッツ工科大学)のMedia Labでは、「HoloLens」にX線のようなヴィジョンを生み出す「X-AR」を開発しています。
仕組みはさして難しいものではなく、レンズ周囲をグルっと囲むアンテナをペタっと貼り付け、倉庫内の荷物ひとつひとつに付けられたRFIDタグと通信するというもの。

ニュース記事のタイトルが「X線AR技術」と、さもARグラスがX線を発するかのように誤解を受けそうだったので「X線」を削除したうえでご紹介します。

まるでX線写真の中にいるような感覚になります。

というのが記事タイトルの意図のようです。

たとえば倉庫の中で段ボール箱の中に入っている商品を探す際に、RFIDタグを商品に貼っておけばARグラス内で表示してくれる、というソリューションです。

バイオハザードなどのゲームで、銃や弾丸などのアイテムが床や棚で光って見える、アレを現実世界で実現できます。


X-ARデモ動画

まず何を探したいのかを空間インターフェースで入力。
するとどの箱に入っているのかを9.8cmの誤差精度で教えてくれます。

探しているものの場所だけでなく、そのアイテムの詳細情報を表示することも可能です。自動車のブレーキを分解整備する手順をCGで重ね合わせて表示する事例も最後の方に紹介されています。これはX-ARとは別のソリューションですが非常に便利そうです。

準備として、探したいアイテムにRFIDタグを貼り付けておくことが必要です。バーコード管理されているようなアイテムであれば実務上も問題ないでしょう。

ただし、後述しますが、RFIDタグを物理的に外すか検索データベース上から削除するなどの作業と管理の方に運用上の課題があるようには思います。


リアル店舗で検索&絞り込み体験

もちろん倉庫での効率化にも役立ちますし、大量の商品からどこを探せば良いのか分からないような買い物にも時短になります。もしくは店員さんが、棚から出されて放置された商品をスグ戻せるようになるなど、工夫次第でさまざまな物事がラクになります。

現実世界での買い物でも検索ができるようになるのは面白い体験です。

ARグラス上で買いたい商品の条件を入力すると最初は20点が店の中で光って見える→条件を絞り込むと5個まで減る、みたいな体験を現実の店舗でもでき、実物が手にとって見られる+ECの検索絞り込みの便利さを兼ね備えたショッピング体験ができます。

商品レコメンドもよさそうです。まずARグラス上でオススメ→興味があれば売り場まで道案内してくれます。


ショッピングでの解決すべき課題

コストコのような広大な売り場の場合だとRFサーチが売り場全体には届きません。売り場ごとに情報をリレーしたり、買い物客が多いならP2Pでお客さんを介して自分まで情報を伝達するような仕組みがあるとよさそうです。

また購入後はRFIDを無効化することも必要です。最低限、タグを切り取って商品だけをお客さんに渡すようにしないと、店外に出た購入客にARグラスを付けた人が向かって行ってしまいますw
高額商品の購入者が特定されると危険でもありますし、RFIDは個別IDで管理して無効化できる仕組みは必要です。


買い物以外のX-AR用途

買い物以外では、水道管や電気の配線など壁内や地下で見えなくなってしまうものをRFIDで可視化してメンテナンス時に役立てるような使い方もよいでしょう。地下を掘り返さなくても分岐やジョイントの位置が特定できれば工事の時間とお金を大幅に節約できます。

設計図面に場所を書き表していても、9.8cm誤差で実際の位置が特定できるという精度は現場施工の強い味方になります。

家の中で鍵を探した経験がある人にも役立ちます。
AppleのAirTagよりも高精度な位置情報で、家の中から鍵を見つけることができます。なくしそうなものにはRFID、探すときはARグラス。これで日々のイライラを軽減できます。

ただし、家の鍵も水道管の情報も、他人からサーチされないようにする技術は必要です。位置だけでなくアイテムの詳細情報が表示されるとなればいよいよ防犯上危険です。


ARグラスの小型化かスマホやウォッチ対応でより魅力的に

もうちょっと小型化されたら、もっと実用的になりそうですけどね。

HoroLenzにRFアンテナシールを貼った姿は未来っぽくてかっこいい感じですが、この姿で街中や店の中を歩くのに抵抗がある人も多いでしょう。

普通のメガネのようなサイズやデザインになるか、スマホやApple Watchでかざして見られるようになれば、より実用的に普及するはずです。

ARグラスやARソリューションは多くの人が既に体験している現実のアップデートなぶん馴染みやすく、普及が早いと考えています。安価で手に取りやすいARグラスが少しずつ登場していますし、メガネ型ではない形状のARデバイスも今後増えてくると予想しています。

今回のX-ARはとても実用的で、ゲームで見たことがあるぶん想像もつきやすいものです。まずはAmazonの倉庫から導入され従業員体験者が何千人単位で排出されることも期待できます。2025年あたり、近所のスーパーで当たり前に見かけるかもしれませんね。

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