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『都市BIMと生成AI活用で石見銀山地区の「デジタルツインバース」構築、将来はGoogleマップに』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.7.16

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■都市BIMと生成AI活用で石見銀山地区の「デジタルツインバース」構築、大成建設

大成建設は、現実空間とデジタルツインとをリアルタイムに相互連携できる次世代型メタバースのデジタルツインバースシステム「T-TwinVerse」を開発した。島根県の石見銀山地区をモデルに、都市BIMを組み込み、生成AIを利用してどこからでも自由に情報を登録、参照できるシステムを構築し、地域活性化に役立てる実証実験を開始した。

これまでの地域活性化を目的としたローカルメタバースは、基本的には運営サイドが3Dのワールドやイベントなどを用意し、参加するユーザーは楽しむだけという関係性のものが多かったと感じます。

また、ワールドはデフォルメされた簡易なもので、お城など地域のシンボルモニュメントだけが凝っているもので、最初は驚くかもしれませんが、一度見れば飽きてしまうことも多くありました。

その結果、数少ないユーザーが一瞬来てもすぐにいなくなるメタバース過疎化問題が起きがちで、寂しい体験をしたユーザーは他のバースにも行かなくなるという悪循環も起きがちでした。

大成建設の「T-TwinVerse」は、これらの従来型ローカルメタバースの問題の多くを解決する可能性があります。


実在の場所をデジタルツインに

T-TwinVerseは、実在の場所をデジタルツインとして再現するデジタルツインの手法を採っています。

現実世界の街並みや建物を仮想空間で体験することで、自治体などは実在の場所をベースとした魅力の発信ができ、来訪客は観光に訪れる前の下見ができます。

また、特別なイベントが開催されなくても、街並みやルート、お店の位置などを把握するなどの目的は果たすことができる実用性の高さも魅力です。


建築データの利活用

T-TwinVerseはワールド構築に建築用のデータを活用していることが大きな特長です。これにより、現実の建物や街並みを非常に高精度で再現することができます。

(1)大成建設が保有する測量データと3D点群撮影を組み合わせて作成する高精度3D点群デジタルツインモデル技術

この技術をもとに、島根県大田市の石見銀山街道主要部の約1キロの範囲をデジタルツインバースとして展開、歴史的な建物や風景を細部まで再現し、デフォルメしていない現実と仮想がシームレスにつながる体験を提供することができます。


生成AIの活用

T-TwinVerseでは、生成AIを活用してメタバースを構築しています。

(2)3D点群モデルから半自動でBIMモデルを生成するAI技術

仮想空間内の建物のBIMモデル(Building Information Modeling)を自動生成したり、街案内のAIガイドを作成したりすることができます。

 建物の3D点群撮影から精緻な建築BIMを作成させるためには、通常約2カ月程度を要するが、T-TwinVerseでは3Dスキャンの点群モデルをそのまま使用するため、数週間程度で安価にデジタルツインバースを作成可能できる。

すべてを手作業で3Dのワールドを作るのではなく、測量データからAIがワールドを作るという方法を採ることで、メタバースの構築や維持が非常に効率的になります。


ユーザー参加型の情報収集

T-TwinVerseは、街の情報をユーザー参加型で収集する仕組みを採っています。

実証実験のイメージ 出典:大成建設プレスリリース

この図では、企業と住民からは情報を入出力するように表されています。この方法により、常に最新の情報がメタバースに反映され、地域の活気を仮想空間でも感じることができます。


ユーザー参加型と生成AIの活用で可能性がもっと広がる

・実在の場所を再現するデジタルツインであること
・建築用データを流用していること
・生成AIを活用し効率よくワールドを構築できること
・ユーザー参加型で情報をアップデートできること

T-TwinVerseの魅力はこのように整理できます。
これをさらに発展させると、より実用的で魅力的なものになるだろうと考えます。

一言でいえばデジタルツイン版Googleマップになり得るのではないかと思います。


デジタルツイン版Googleマップ

今回は大成建設が持っていたデータをもとに1kmの範囲に限定されていますが、将来的には、Googleマップのように充実したものになることが期待できるのではないかと期待しています。

Googleマップは、専用の車両が街を走り回ってデータを収集しています。大成建設だけが収集したデータでワールドを構築するのはこれに似ています。

もしユーザーがスマートフォンを使ってデータを収集することができれば、仮想空間上のGoogleマップとして全国や世界にまで広がることが期待できます。


AIアバターで「過疎化」問題を解決

メタバースの過疎化問題も、AIアバターを使うことで解決できます。

LLMで会話ができるアバターが常に大勢いる状態を作り、常に賑わっているように見せることができます。ユーザーは常に他の人と交流しているような感覚を味わうことができ、過疎感に寂しい思いをすることがなくなります。

人が人を呼ぶ状態になることで、最初はAIアバターの割合が多くても、人間の来訪者も増えることが期待されます。


まとめ

T-TwinVerseプロジェクトは、建築データや生成AI、ユーザー参加型の情報収集、デジタルツインの活用など、これまでのメタバースとは異なる新しいアプローチを取り入れています。

このような技術を組み合わせることで、仮想空間が現実の街並みと同じように充実し、多くの人が参加する魅力的なメタバースを実現することができます。将来的には、Googleマップのように多くの情報を提供し、AIアバターを使って賑わいを維持することで、今までにない新しいメタバース体験を提供することが期待できるのではないでしょうか。

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