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『OpenSeaのNFTレア度判定機能「OpenRarity」』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.9.24

■オープンシー、NFTのレアリティをランク付けする新プロトコルを実装

NFTマーケットプレイスのオープンシーは、NFTのレアリティ計算を提供するプロトコル「OpenRarity」の実装を発表した。このプロトコルは、透明性のある数学的アプローチでレアリティを計算する。

NFTマーケットプレイスの事実上のデファクトスタンダード、OpenSeaがNFTのレア度をわかりやすくする仕組みを導入です。

値上がりしそうなNFT、値下がりしにくそうなNFTをレア度の数値化でわかりやすくしようという取り組みなのですが、レア度の判定方法を「透明性のある数学的アプローチ」としているところがweb3らしいと感じます。

しかしこれも万能ではないなと思います。


■「透明性のある数学的アプローチ」が効くNFTプロジェクトの条件

この機能は、すべてのNFTコレクションに自動的に適用されるわけではない。NFTマーケットプレイスによると、クリエイターが自分のコレクションにOpenRarity機能を適用するかどうかを選択することは可能。

まず今回のOpenRarityは任意参加です。
全NFTプロジェクトがレア度でランク付けされるわけではありません。

そしてOpenRarityに参加すると決意するNFTプロジェクトは、レア度判定で優位に立てると考えるから参加するわけです。

ではレア度が高く表示されそうなNFTはどのようなものでしょうか。レア度判定ロジックは不明ながら推測すると

1.[価格トレンド]
価格が上昇トレンド、または価格維持率が高い

2.[取引ボリューム]
二次流通で十分な出来高がある

3.[ブームの維持]
ローンチから最近まで取引されている

この3点は織り込まれていると思います。

これらの条件に合いやすいNFTというのは一言で言うと老舗です。いわゆるブルーチップやAAAと呼ばれる老舗・有力NFTプロジェクトは自ずと強い値が出るでしょう。

しかし、ぽっと出の新人NFTだと強いかどうかがまだわかりません。

NFTプロジェクトはローンチ直後の安値で仕込んで数か月で100倍に化けるか、伸びずにこけるか、はたまた詐欺か、という初期が妙味もありつつリスクも高いものです。そのステージをクリアしたものがレア度が高いと判定されるとすると老舗が高ランクになるでしょう。

しかし初期の妙味に賭けている人も多いため、将来は東証の「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」のようにステージに応じたレア度にわかれるかもしれません。


■ごく初期のNFTプロジェクトは「ファミ通方式」もアリ?

透明性のある数学的アプローチを採ってきたのはweb3らしいと感じますが、元データがほとんどないプロジェクト初期には不向きです。

過去のプロジェクトの動向や最近のトレンドを踏まえて目利きが判定するというWeb2以前っぽい権威によるフィルタリングやレビューを最初から投入するとweb3界隈では批判されそうですし、賄賂や案件がどうしても発生してしまう余地があります。

しかしローンチ直後の爆益を狙う人にとっては目利きの判定や紹介が欲しいという人は多いのではないかと思います。

↑記事の中身は無関係、このサムネイルだけ見てほしいのですが、新作ゲームを買うかどうかを判断する材料としてファミ通のクロスレビューを参考にしていた人は多いのではないでしょうか。

ゲーム1本買うのも高額なのでハズレを引きたくない。大作ゲーム以外で面白いものを見つけたい。そんなニーズにファミ通のクロスレビューは役立ちました。

確かに中央集権化や不正問題の懸念など課題はあるやり方ですが、プロジェクト初期はOpenRarityのような仕組みでは発見しづらいので一定アリじゃないかと思います。


■BCGでも数学的なレア度判定は面白そう

たとえばSTEPNではシューズやジェムが(一応)NFTとして取り扱われています。

運営が事前に設定したCommon/Uncommon/Rare/Epic/Legendaryという5段階のレア度はあるものの、レベル上げとステータスの割り振り方、途中のゲームルール変更などで同じCommonのシューズであっても人気・不人気のトレンドが変わります。

それが価格には反映されているのですが、トレンドにあったシューズを見つけやすくする仕組みとしてOpenRarityのような数学的に出されたレア度を算出して表示するのは面白いかもしれません。

長く続くソシャゲで例えると、昔手に入れた武器やカードが今でも現役で通用するのか、今のイベントで効果的かなどを判定してくれると、古いからNGというなんとなくの感覚を払拭して「今でも現役なので価値が付く」という流れが作れるかもしれません。

運営が事前設定したレア度ではない、市場内での本当の重要度を自動算出する仕組みはNFTの価格維持・向上に役立ちそうです。


■金銭価値以外の指標もほしい

OpenSeaのOpenRarityに話を戻します。

ユーザーが多いので売買が成立しやすいシェアNo.1のOpenSeaに、さらに有力プロジェクトを見つけやすくする便利機能を追加することでOpenSeaにユーザーを定着させる狙いでOpenRarityが投入されたのだろうと思います。

より便利に進化を続けることは良いことです。

しかしOpenRarityはNFTを投機目的のみで購入判断するユーザー向けの機能です。プロジェクトの目的の崇高さ・面白さ、コミュニティメンバーとの仲間意識やしがらみなどを加味しない、純粋に売買益を上げるための仕組みです。

とすると、二次流通ロイヤリティがゼロに設定される別のNFTマーケットプレイスに情報参考として使われるのが一番効果的かもしれません。

NFTもGameFiもお金以外の目的が必要、サスティナビリティの重要性が日に日に上がってきているのが現状。OpenRarityのように金銭価値に目を向けさせる仕組み以外の、プロジェクトの面白さを表現する指標や仕組みが今後発明されることを期待しています。

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