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【読書感想】女性が老いるということを考えるーーノーラ・エフロン著『首のたるみが気になるの』を読んで

ノーラ・エフロン著 阿川佐和子訳 集英社 2013年出版

 図書館の棚見てて、目に留まったから借りてみた。阿川佐和子が翻訳やってるなんて、と惹かれた。

 ノーラ・エフロンさんのことは知らなかったが、彼女は女性の映画監督で、「めぐり逢えたら」とか「ユー・ガット・メール」などヒット作を作った人らしい。翻訳は阿川佐和子だが、あとがきに安藤優子の文章もちょっとだけ載っている。

 アメリカ人の女性のエッセイってなんかスタイルがあるというか、日本で書かれているエッセイとの違いを感じる。「首のたるみが気になるの」というタイトルに惹かれたんだが、アメリカの人って、みんな首に年齢を感じるらしい。このエッセイのなかにも、顔はしわとったりどんなに整形できても首だけは隠せないという話が出てくる。私はこのタイトル見た時に、すぐに、「アリー・マクビル」というアメリカの弁護士ドラマを思い出した。そのドラマは一人一人のキャラクターがすごくたつ話になっているんだが、その中の男性の弁護士で、女性の首のたるみを触ることが好きなフェチをもった人が出てくる。このドラマにハマってから、そのことがずっと気になっていた。日本ではそんなに女性の首って気になっている人っているんだろうか。確かに、私も40になって太りだしてから、あごの下についた肉が気になる。これがそのうちたるみだして、プルプルするようになるんだろうか。

 このエッセイはほかにも、年取った女性が気になるボディのお手入れのことなど、いわゆる「女性らしい」悩みを綴ったものだが、アメリカの女性のエッセイ読んでて多いのは、ちょっとフェミニストを辛辣に批判する描写があること。確かに、「ユー・ガット・メール」とかあんなロマンティックな男女の恋愛話を書いている人は、アンチ・フェミニストなのかな、とちょっと思ったけど。それもなにも、こういうアメリカの女性のエッセイにアンチフェミな発言をよく見かけるのも、日本より、フェミニスムの活動が一般的だからだと思う。けど、なんか、ちょっとやだった。古い人なのね、とちょっと思ったけど。

 女性らしさとはなにか、ということを考えさせられた本だったような気がする。いや、確かにユーモアたっぷりで、やはり映画監督というだけあって、物事をみる視点が人と違うというか、魅力的な人が書いてるエッセイなんだな、とは思ったけど。まあ、老いるということはどういうことかも、考えさせられた本ではあった。


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