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『上野先生、勝手に死なれちゃこまります』を読んで

上野千鶴子 古市憲寿 光文社新書 2011年出版

 地元の図書館の棚にあったから借りて読んだ。

 だいぶ前に大変売れた本だと記憶しているが、今更ながら私も自分の親の介護などが気になってきたから、この本読んでみた方が良いと思った。

 前半は介護保険などの日本のシステムについての記述あり。介護保険が2000年に施行されたなんて、ほんとに最近できたシステムだということをこの本で知った。親の介護はまだまだ先だな、と思っていたけど、そうでもなくなってきて、介護保険のことなど知らないと大変、と思ってた。この本を読むと、一応、どういう制度なのか知ることはできる。でも、要するに大事なことは、自分の親との対話だと思った。元気なうちに親とちゃんと話しておかないといけないことだと思った。将来、歳で身体が動かなくなっちゃって、不自由な生活を送ることになったときに備えての話って難しいことなんだけど、きちんとしておかなくてはならないと思った。

 後半は若者世代について言及。少子化問題については、10年前の未婚だった女性集団についてのアンケートで、正規雇用者と非正規雇用者では10年経つと正規雇用者のほうが婚姻率が高く出産率が高いというはっきりとしたデータがでた、とのこと。それには、「女性に私生活を破壊するようなハードワークではない安定雇用を、っていう処方箋」を採用すべしとある。それはほんとにその通りだな、と思った。こんなにも簡単な処方箋を日本の財政界は採用しない。日本って終わってるな、と思った。

 今から11年前の本だから古市さんもまだ若いと思うけど、今を思うともっと若い世代が出てきて、自己中心的で希望が持てないと思える若者が増えているのかと思うと、この世が怖い。

 でも、一番、上野さんの言葉でグサッときたのは、今、年長者に「こんな世の中に誰がした?」と詰め寄っている若者が、2,30年したら、後続の若い世代に「こんな世の中に誰がした?」と詰め寄られる時がくる、ということ。気が付けば、自分もそんな年代になりつつあるんだな、と思った。年寄り世代が亡くならないと、選挙もなにもよくならねえな、と思ってたけど、共存しているうちに、責任が自分たちに被ってきたといったところだ。


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