dtnsksn 雑感 ナチュラルボーンファンタジー風味②

・キャラクターについてなんとなく思われたんだけど、そこここで公然と言うには余りに曖昧すぎたお気持ちの数々を、思い付いた順に書き留め致します。


*ゾフィアさん(あるいはオルギア)

ファンタジー的には山姥だと思いますね。山奥の食人婆さん。旅人に一夜の宿を与え、眠り込んだ隙に妖気で縛り込め、研いだ包丁で捌いて食ってしまおうとする。ヤガー婆さんも混ぜれば気まぐれな隠者のような側面もあります。ゾフィアも、情緒や自己認識がかなり不安定だった。あと年齢不詳の女性と言うのもあるかな。ファンタジー冒険ものだと絶対に居ますよね、ロリババア。とかってもう古いんですかね?つかロリババアを言うなら幼体成熟か。

まあで、ゾフィアが研究熱心な不死者で、恋人や己の不死が解けていく仕組みの究明と、あと療養も兼ねての山籠りだったというのは、山姥という存在を歴とした経緯のある人物にする為の説明に思えるんですね。俺には。シバもそういう風に見えて①を書いたんですけど、この作品、ファンタジーの考証をする読本みたいなノリが暗にある気がしている。ただ新奇ファンタジーを論理的に構築していくのともまた違い、古典ファンタジー的なよくあるキャラクターイメージをまず先行させて、その光景の成り立ちを整合性を損なわぬよう煮詰めていく。そしてその考証をこそ劇的で魅力的に描いて、異世界ものに新風を吹き込もうという、そういうノリ。それで心を打たれてこんな文章を書きたくなるんよ。温故知新ってやつ。

とはいえ、肉屋の息子と別れてからなんで人肉食うくせがついちゃったのかは特に説明はなかった気がする。一応野垂れ死に(アンダーだった訳だが)とか、食っても治る自分の肉とかを食おうとした場面しか本編にゃないので、若干イカれつつも生きた人間を殺して食う一線で踏み止まろうとしていたのかもしれない。あとたぶん怪蟲の肉は焼いてもうまくなさそうだし(エビカニ系の食感がしそう)、樹海の生態系から調達可能なのは他に人肉くらいしかなかったのではないか、という気もする。もう単に肉好きの鬱憤が高じただけだったんじゃ。ぜんぶ樹海のせいだ。関係ないけど魔力が安定する一点ってぜってー五芒星の中心でしょ。絶対そうだわ。このカシオミニを賭けてもいい。

歌舞伎かなんかの演目に、武士が山中で怪しい美女と出会うが最終的に般若に変じた為退治した、みたいな話があったような気がするんだが、そういう切り口からゾフィアの事を見れば、来訪者との対話を通じて食人鬼から一女性へと戻されており逆行的とも言えるかな。しかし結局、その人間味の回復の末にゾフィアの人生が終止符を打たれたのも、やはり来訪者アンダーとの対話が手伝っているんだろうなという。救いが害と同義。読んで字のごとく、不死者にとっちゃ死ねないのが課題だから。ところで鬼婆から逃れる為に仏様のお札に縋るやつもあったけど、この場合ゾフィアを滅ぼす近因は超人機械という人工の神の見えざる手って感じですね。上手くまとめようと失敗しすぎかよ。

ヘリオスとかも、死ぬまで外見年齢相応の言動を貫いて死んだんでしょうね。300余歳のくせに。総裁や将軍の4倍、10倍と生きているくせ、星のように燦然と年も取らずに…

まあ死んだら誰でも老いなくなるんだよね。ええもうなんのこっちゃって話ですけどもね。

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