元親父と自転車

元親父は自分が持っているものは一番でないと気がすまない。

親戚の誰かがテレビを買えばすぐにそれより一回りデカイテレビを買い、
親戚の中で一番いい車に乗らなければ気がすまない。
その他電化製品もとにかく自分が持っているものが一番でなければ気がすまない。


私が子供の頃、自転車は全て姉のお下がりであった(それに関しては別に私もどうこう思ってはいない)。

しかし小学校高学年の時に、私が姉の身長を越してしまった為、自転車のお下がりが通用しなくなった。

元母が
「豆太郎の自転車は小さすぎる。新しいのを買ってやって」
と元親父は
「金がもったいない!!なんで豆太郎が新しいのを使うのか!」

その為、私はずっと小さすぎる自転車に丸くなりながら乗っていたが(既に腰痛が出る始末)、
ある日母がスーパーのガラガラくじで1等の自転車を当てた。

母「やった!これだと豆太郎のサイズにぴったりだ!」
と喜び、私にくれようとしたが、元親父は嫌な顔。
しかし元母が半ばキレて、晴れて自転車は私の物になった。



その翌日、元親父は自分用に新しい自転車をあっさりと買ってきた。

お金は大切に。