【短編小説】 マッチ・ボックス ③
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「私はまず、良子さんが帰国する日取りを確認しました。水村さんが言うにはね、一月いっぱいは日本に滞在しているということでした。それで、さりげなく例のミニカーがいまどこにあるかということも聞いておいたんです。水村さんは、『南アフリカに帰る前に、実家に行って向こうに送るものを箱詰めするみたい』と言うもんですから、まだそれは奥さんの実家にあるということがわかったんです。だからね、私は計画の実行を一月十二日の夜更けにすることにしました。ええ、日曜日です。あんまり遅くなると、良