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落日

まずはじめに

ネタバレしますので、この先はご自身の判断に委ねます。

わたしの全体としての感想

これぞ湊かなえの集大成
でもイヤミスではない(と思う)
わたしは読了後は大団円の爽快感でスタンディングオベーション拍手喝采の作品でした

ただ、最初は時系列とエピソードと章で2人の人物の時系列で、パズルのピースがバラバラで読み解くのには時間が少し必要だった
それでも読み終わってすべてを知った上でまた読んだら、伏線だらけで伏線の伏線だったり、細かすぎる伏線にやられまくってこの物語のそれぞれの登場人物の細部の気付きもまた愉しめる至極の作品でした

それでは各物語毎の読み終えた感想を

落日の感想

小さい子が親のエゴで受験
そのお隣さんも虐待疑惑

どちらも小さいながらに親の愛に飢え、堪え忍んでいる

最後の行でサラちゃんが"殺された"

エピソード1

親のエゴでスパルタ教育のお母さんと、のびのび育てたい父親の間でベランダに出されるカオリちゃんとネグレストちっくなお隣のサラちゃんの出逢いから、最後の2行で一気に急転

第一章

視点が変わって脚本家の真尋
そして映画監督になった香との出逢い
沙良ちゃんの事件を次回作にしたい香、何も知らない真尋のちぐはぐ感
そしてお姉ちゃんは生きているの?

エピソード2

温泉観光地ならではの休みの日はかきいれ時
遊びたいを抑制され、その衝動を抱えたまま父親と出逢い結婚

いつしか父親と母親の圧に屈して自ら命を断った
そして母親は周囲の目に耐えきれず、娘に旦那の面影を見つけてしまい精神崩壊
どこまで幼稚な母親なんだ?と思ってしまった

第二章

沙良ちゃんの虚言の真実
自分に注目してほしいのか、出逢ったひとすべてを不幸にしてしまう魔王ではないのか…
イツキさんのエピソード、強い女性とうか、頑張ったよね…

ここだけ読むと、沙良ちゃん最低の思考になってしまう

エピソード3

父方の祖父母の家で過ごす香が亡き父の昔を知ることになる
大好きな映画作品で最期の作品を知った
知ることを拒んでいたのか、逃げていたのか

第三章

まさかのあの時の手は沙良ちゃんじゃない?
お兄ちゃん?
新たな登場人物の仮説
それにしても、お姉ちゃんへの崇拝が強すぎる

エピソード4

学校見学で祖母の母親への思いを感じ取り、祖母の勧める学校ではなく、父親の学校に行くと決めた香
何を後悔するのか

第四章

鑑定した精神科医との話
力輝斗のことが分かったようで分からない
香は真尋とお姉ちゃんのこと分かっているのかもしれない
まだ霧がかっている

エピソード5

香の父親への憧れのからくる正義感は、誰のための正義?偽善者なのかな?と思うこともあり、思春期の淡い恋かと思いきや、この事は今後に繋がるのかな

第五章

お姉ちゃんが死んだことは分かっていても、お母さんが認めなかった
そしてお母さんが死んでも、心の中にお姉ちゃんがいて、周りも合わせてくれていた
そして受け入れた

そして猫のマグカップ
それって猫将軍と結び付くんじゃない?

エピソード6

エピソード5での下山くんの自殺が賞を獲った作品と繋がった
些細なことだと思っていた箇所まで繋がるとは…

第6章

やっと繋がった
すでにモヤモヤする感情を持ちながらエピソード7に頁を捲る

みんなそれぞれのピースを持っていて、千尋がそれを集めていく物語

エピソード7

最後の最後でここまで繋がるとは
そして悲しい思い出も、違う事実があった
知ったからこそのその先の希望、奮起がある
マグカップは角のピース
お父さんの真実はど真ん中にあったピース
キレイにハマった作品

ネタバレ満載

【香】

  • まず香の手を触れて励まし合っていたのは力輝斗だった

  • 映画の最後の男の子は中学時代の出来事だった

  • 沙良ちゃんは最後まで救いのない性格だった

  • 香のお父さんは自殺じゃなかった

※わたしの中で、ここが最大の真ん中のピースだった

【千尋】

  • お姉ちゃんは生きていなかった

  • お母さんが作り出した現実逃避の世界だったけれど、今でも周りも合わせていた

  • 猫将軍は力輝斗くんだった

  • お姉ちゃんは力輝斗くんと付き合っていた

  • 沙良ちゃんによって事故を誘発されて亡くなった(自殺じゃなかった

それぞれの大好きな人が自殺ではなかった
それだけでも光が射す
落日は沈むから物悲しいと思っていたけれども、この落日にその先の希望の光があった

香のお父さんのマグカップまで繋がるとは思わなかった

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