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先生!

私の中学校は各学年2クラスしかない小さな学校だった。中学一年生の時の担任は新任の体育教師だった。ポルノグラフィティのボーカルにそっくりの26歳でいつも青いジャージを着ていた。

今思えば右も左もわからない状態で田舎の学校に赴任になり一生懸命に毎日をこなしていたのではないだろうか。

給食当番の時に「ご飯装うの上手いなぁ」と言われた。
京都研修で夜中に部屋を抜け出したのがバレてこっぴどく怒られた。
昼休みに先生を呼び出し、世界に一つだけの花を友達と演奏してあげたらめちゃくちゃ喜んでカセットに録音までしていた。先生「実は俺も今ギター練習しとるんよ」と言っていた。
ふとした会話を覚えているもんだ。

そして中2の終わりに先生は交通事故で亡くなった。28歳。あまりにも突然のことで信じられなかった。

その後の1年はバタバタと過ぎていった。所属していたバレー部も、そこそこ強かったのに気が付けば弱小と呼んでいた相手に苦戦するようになった。その当時は何で弱くなったのか分からなかったけど、今考えたら先生が亡くなったことに全員がダメージを受けていたから、チームの歯車が上手く噛み合わなくなってしまったように思う。

卒業式の前日、他の先生たちがギター伴奏で森山直太朗のさくらを歌ってくれた。亡くなった先生が「この子達が卒業するときに演奏してあげたいんです」と練習をしていたらしい。ああ、これか。先生、ずるいわ。この時ばかりはみんなで声を上げて泣いた。

今年30歳の私は気が付けば先生の亡くなった年齢を超えてしまった。中学生の私からしたら先生はおじさんだったけど、今考えたらめっちゃ若かったんやん。

センチメンタルになるわけではないけども、ふとした瞬間に思い出す先生の話でした。



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