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正味商品価値

エクイティという言葉があります。
金融の用語で、資産から負債を除いた正味の価値を意味しており、近年ではブランドの資産的価値を考えるブランド•エクイティ=正味のブランド価値という言葉が登場しました。
プラスの評価からマイナスの評価を差し引いて、正味の価値を判断する、それはブランドだけでなく商品についても言えます。
プロダクト•エクイティ、とでも言うような考え方です。

デザインは良いけど品質が悪い、ユーザー目線での評価としては良い点と悪い点が次々に列挙されていきますが、それぞれに重視する点がありますので点数をつけるのは困難です。
プロダクト•エクイティという造語の中では、商品の長所に対して、打ち消してしまうような短所を対比として書き上げることで、打ち消されない価値は何かを考えるのがポイントです。

長所はメーカー目線で、打ち消す言葉は顧客目線で捉えていきます。
例えばデザインが良いという長所に対して、細部の仕上げが雑だと打ち消されてしまいます。
加熱時間わずか10分の圧力鍋の長所は冷めるまで蓋が開けられないという短所で打ち消されます。
分解してお手入れできると言う長所は分解組み立てが面倒という言葉で打ち消されますが、分解によって食洗機が使えるのであれば食洗機対応という長所が残ります。
食洗機を持っていなければ意味がありませんので、少し弱い長所として正味の価値に加算されます。

このように作り手の考える長所と、ユーザー目線での打ち消す言葉を並べていって、残った言葉から組み上げられる言葉が正味商品価値です。

分解が面倒な圧力鍋、美味しいけど高いミキサー、速く乾くけど重いドライヤーなど、機能の訴求が多い家電製品では特に正味の商品価値が低いものが出来上がるかもしれません。

差し引きマイナスなので価値がない、そう諦めてしまうのは早計です。
残った価値を伸ばしたり、打ち消されない価値に転換することができれば、商品の価値はどんどん高まるのです。

正味商品価値の観点は成功を約束する手法ではありません。
ですが、商品化する為に無理矢理築いた長所の山を整理するには向いていることでしょう。

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