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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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#怪談

【取材した怪談245】最も体験するのは

二十代女性からメールで寄せられたエピソードです。ご本人の文章のタッチを活かしたいため、できるだけ原文を載せてます。上記ヘッダー画像はイメージです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 先輩、私、後輩の女3人で旅行に行った時の話。日頃の疲れを癒そうと温泉宿に泊まりに行ったんだけど 先輩=霊感MAX 私=やや霊感あり 後輩=霊感なし という面白い組み合わせでの旅だった。 後輩がインターネットで宿を探し、先輩が予約した。霊感MAXの先輩は波動で良い場所とか美味しい店も

【取材した怪談244】振り返さなかったから

二十代の真人さんが十代の頃、仲が良かった父方の叔母が亡くなった。原因は癌。発見時には進行しており、治療が見込めない状態だった。 「あまりに突然でした。当時、叔母は旦那さんと折り合いが悪く、お子さんも難しい年頃でしたから、思い残すことが多かったんじゃないかと思います」 その叔母の三回忌法要に、真人さんは参加した。真夏に行われ、冷房が効いた法要会場で参加者は椅子に座っていた。彼の隣は伯父だった。法要の儀式は粛々と進行され、僧侶による読経が始まった。 読経中、隣に座っている伯

【取材した怪談243】焦る座敷童子

「私の実家、事故物件かもしれません」 そう切り出したのは二十代女性Aさん。 彼女の実家は古く特殊な構造の二階建てで、契約上の理由から二階部分は使えないことになっている。清掃などの管理をするために二階に行くことはでき、二階は普段は無人である。 「私は夜あまり眠れなくて、睡眠時間は3から4時間ほどでしたね。私が10歳ぐらいの頃、一階の私の部屋の真上から子供の声が聞こえてくることがありました」 彼女の部屋の真上は二階の和室で、夜11時から2時ぐらいにかけて男児と女児の笑い声、

【取材した怪談242】楽しそうにすると出てくる

40年ほど前の話である。 慎一郎さんが通っていた高校では、少々珍しいスケジュールの修学旅行が実施されていた。 N県に二泊三日で旅行するのだが、宿泊先はクラスごとに生徒が自由に決めていた。だから宿泊先はクラスごとにバラバラになる。 但し、二日目に所定の場所で必ず田植え実習を受けなければならない。田圃に直に入り、手で苗を植える実習である。この実習場所を考慮して宿泊先を決める。 慎一郎さんのクラスは、A旅館に宿泊した。 インターネットなど普及していない時代だから、生徒の一人が

【取材した怪談240】忠告

40代の哲也さんに憑いている霊は、もう祓うことができないらしい。 出生時から憑いているそうだ。 これまで3人の霊能者に鑑定してもらったが、「強力すぎて除霊は無理」、「こちらの命にも危険が及ぶから関わりたくない」と匙を投げられた。 1人の霊能者の鑑定によれば、その霊は女性で、「江戸よりも前の時代」に生きた人物。 彼女は小さい集落で夫と暮らしていた。 だがその夫が、その土地で起きた犯罪に関して村の権力者に無実の罪を着せられ、処刑されてしまう。 強い強い恨みを抱いたまま、彼女は夫

【取材した怪談239】鼻血

その朝、高校1年だった哲也さんは寝床で目覚めた直後に息を飲んだ。 「鼻血が止まらなくて。起きたら血だらけになってました」 どうやら就寝中から既に出血していたようで、現在も流血している。 まるで水道の蛇口から水が流れるような勢いで血液がボタボタボタと滴り落ち続けて、みるみるうちにパジャマが鮮血に染まっていく。 慌ててティッシュペーパーを掴み取って鼻腔に詰め込んでみるも、一向に止まらない。 もう、どうしていいかわからない。 彼の尋常でない様子に気づいた母親も同じ。状況が飲み込

【取材した怪談238】馬

四十代女性Lさんは幼稚園児のころ、ある特定の夢を見ると夢遊病状態に陥っていたそうだ。 当時、彼女の家族はアパートの2階に住んでいた。 彼女がその夢を見たときは、わんわんと泣きじゃくって、寝床から起き上がって部屋をふらふらと歩いて窓を開けて外に出ようとする。 バルコニーがないので落下するおそれがある。 そのため母親が常に近くで寝て、Lさんの症状が出るとすぐに自分も跳ね起きて幼い彼女を窓から遠ざけていた。 夢の内容は、一頭の褐色の馬が自分の目の前をただひたすら駆け抜けていく映

【取材した怪談237】着色

「女友達で、オーラの色が見える人がいるんです」と、二十代女性Bさんは教えてくれた。オーラとは、人体から発せられる肉眼では見えないエネルギーの一種である。 先の彼女の発言を受けたとき、「対面した時に相手のオーラが見える」という意味だと思った。実際そのようだが、その女友達はそれだけではないらしい。相手が打ったメール文の黒文字も、着色されて見えるそうだ。 「以前、彼女からご飯か何かにLINEで誘われた時、私が色々あって気乗りしなかったんですが、いつもと同じように『オッケー』みた

【取材した怪談236】心霊写真の正体

男性経営者のA氏と雑談している時、「新潟とか富山の怪談ってあるの?」と問われた。富山の寺家トンネルの体験談(心霊写真が関連する)を話したところ、「それで思い出したけど、俺も心霊写真の話あるわ」と言って話してくれたエピソードである。 彼が小学校高学年の頃の話だから、昭和後期の出来事だ。埼玉県内のキャンプ場で、学校行事として野外活動が一泊二日で行われた。キャンプ場での児童の様子は、教員らがフィルムカメラで写真に収めていた。デジタルカメラ等は普及していない時代である。 初日の夜

【取材した怪談235】人はねた

文章取材:30代男性 ・・・ 私は釣りが趣味で、連休となれば仲の良い友人達と夜釣りを楽しんでいました。 その時も深夜1時まで友人2人とI県で夜釣りをし、その後にT県の友人宅まで移動してまた釣りをしよう、ということになりました。夜釣りからの移動は予想以上にキツく、睡魔と疲労に襲われながらもなんとか2時間程でT県に到着しました。 そこで限界を迎えた私達は、近くの公園で車を停めて朝の待ち合わせ時間まで仮眠することにしました。公園には街灯もなく、山に隣接した林の中にポツンとベ

【取材した怪談234】婚姻予知/妊娠検知

【婚姻予知①】 広島県内の高校に通っていた女性Aさん。 「ある日の授業中に、『関西弁の人と結婚する』という情報が頭の中にいきなり降ってきました。予感でも願望でもなく、確定した事実というイメージです」 数年後、彼女は奈良出身の男性と結婚した。 【婚姻予知②】 女性Bさんは独身時代、アミューズメントパークに勤務していたことがある。 「仕事でいつも通りアトラクションの装置を操作している最中、『男性社員Cさんと結婚する』という情報が頭の中に降ってきました」 男性Cさんは

【取材した怪談231】空白の四時間

四十代男性Hさんが小学高学年の時、学校行事としてS県で移動教室(野外実習のような行事)が実施された。二泊三日ぐらいの日程。宿舎は四階建てで、就寝用フロアには二段ベッドがずらりと並んでいる。フロアごとに男女別れて就寝した。 初日の夜。 深夜一時頃、彼は尿意を催して目が覚めた。「時刻は間違いない」とのこと。目をこすりながらベッド下段から抜け出て、暗い廊下の奥にある共用トイレに向かってゆっくり歩いていく。扉を開けてトイレに入り、小便器前に立ってぼんやりしながら用を足す。そのとき、

【取材した怪談230】故郷の夜道

本土からフェリーで2時間以上要するX島。 山々や滝などが豊富に存在する、人口数千人の離島である。 夜は主道でさえ暗い。脇道に入ればもう真っ暗。山道ではガードレールが設けられていないカーブも多い。運転中に油断すると、道路から外れて車ごと崖から真っ逆さまである。 ヒロト君はX島の高校を卒業後、大学進学のため上京した。 大学1年の夏季休暇に合宿で運転免許を取得し、島に帰省した。 その際、高校時代の友人2人と数ヵ月ぶりに再会した。 ドライブも兼ねて、ヒロト君が実家の軽自動車を借

【取材した怪談229】神奈川の廃病院

文章取材:三十代男性 ・・・ 私は子供の頃、神奈川の田舎に住んでいました。 自然があふれる場所だったのですが、その自然の中にはあまり似つかわしくなく、昔病院として使われていた建物が廃墟として残っていました。 もちろん施錠されているので中に入ることは出来ず。そして入口の前には車を数台停められるようなスペースがありました。 夜になると近くの空き地や公園には不良連中が屯していることも多かったのですが、その病院の駐車スペースに人がいることは一度も見たことはありませんでした。