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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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#実話

【怪談実話107】大阪の怪炎、二題

【1話目】 女性Xさんの目撃談。 ある日、買い物を済ませて大阪府内の自宅に戻った時のこと。旦那さんと2人のお子さんがいるが、まだ誰も帰っていない時間だった。正確な時刻は不明だが、外は明るかったそうだ。いつものように、がちゃりと鍵を玄関のドアに差し込み、ぎい、と開けた。 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお 真っ赤に燃えた男の首だけが、叫びながら家の中から飛び出してきた。 そのままどこかに飛び去っていったという(これ以上の詳細は不明)。 「後にも先にも、あれっき

【怪談実話106】電柱

女性Tさんは小学6年の頃、同級生の女友達とふたりで英語塾に通っていた。 ある夏の終わりの塾の日、同級生が体調を崩したため、Tさんはひとりで塾に行った。塾を終えて外へ出ると陽は落ちかけており、住宅街ではあるものの、田舎なので街灯も少なく、薄暗く気味の悪い景色へと変貌していた。 普段は友達とケラケラ笑いながら自転車を漕いで帰る道。 見慣れている景色のはずが、「こんなに気持ちの悪い道だったっけ?」と思わせるぐらい、不気味に感じたことを今でも鮮明に憶えているそうだ。 当時のTさ

【怪談実話105】不死鳥

「私も信じられない話なのですが……」 そう前置きして語ってくれたのは、Aさんという女性だ。 7年前、彼女の旦那さんの父親(義父)が疾患のため入院し、親族で千羽鶴を折ろう、ということになった。 Aさんの娘さん(当時中学生)も折り鶴を折った。その際、娘さんは「どれだけ小さい鶴を折れるのか」という試みに挑み、結果、わずか1cmぐらいの超小型の折り鶴を数羽だけ完成させた。その鶴は折り紙から作ったものではなく、何かの白い紙を手で切断して、その切れ端で折ったものだった。 残念ながら

【怪談実話104】律儀、二題

【1話目】 女性Aさんは、ある著名人の大ファンだった。 あるとき、知人女性Bさんが偶然にもその著名人の幼馴染みだということが判明した。「いつでも会わせてあげるよ」というBさんの言葉に甘えて、3人で原宿にショッピングに行く段取りをつけてもらった。Aさんにとっては青天の霹靂。首を長くして、約束の日を待っていた。 だが不幸にも、約束の1週間前にその著名人が亡くなった。交通事故に遭い、何日か入院した後に息を引き取ったそうだ。 その後間もなく、AさんはBさんと話す機会があった。

【怪談実話97】一反木綿

女性Aさんが20歳の時の話。 当時彼女は、福岡県のとある団地のマンション1階に住んでいた。その団地は、T字路の突き当りの正面に位置している。1階のため、夜に道路の正面から車が進入すると、その車のヘッドライトの光が部屋に差し込んでくる。 ある夏の夜、換気のために窓を10cmほど開けており、窓に合わせてカーテンの端部も開けていた。 夕食後に台所でコーヒーを淹れていると、カーテンの向こうから、やたらと眩しい光が見えてきた。車のライトかと思ったが、ライトの位置にしては高すぎて違

【実話怪談38】母親の夢

実話怪談37~40は、すべて女性Lさんに伺った話である。各エピソードは独立している。 本話は、彼女が小学生のときの出来事。のちに父親から聞かされた話となる。 母親が内臓疾患のため入院した。病気が発見されたときは既に末期で、余命が半年ぐらいだったそうだ。だが家族の意向で本人に疾患の件は知らせていなかった。貧血や血液の精密検査でしばらく入院が必要だと、虚偽の事情を母親に伝えていた。 ある日、父親が見舞いに病室に向かうと、ベッドに横たわる母親からこんな話を切り出された。 「

【実話怪談37】ホラー番組の鑑賞会

実話怪談37~40は、すべて女性Lさんに伺った話である。各エピソードは独立している。 本話は、彼女が小学2年のころに体験した話。 ある冬の日、自宅リビングのコタツで暖をとりながら母親とテレビを視聴していた。『本当にあった心霊体験』特集である。 母親はテレビの真向かいに座っており、Lさんは母親の対角線側に座っていた。番組が進行するにつれて耐え難い恐怖を募らせた彼女は、「こわいよぅ」と訴えながら母親の左隣に移動した(見出し画像の位置関係)。 番組の終盤に差し掛かったころ。

【実話怪談33】コンビニ

その日、女性Gさんは幼い息子を連れて東京都内の某私鉄駅に電車で向かっていた。その駅近くの友人宅にお邪魔するためだ。 駅に到着して改札を出た後に、「トイレ行きたい」と息子が言い出した。 もう少し早く言ってくれれば駅の構内にお手洗いあったのに、といささか立腹しながら、彼女は仕方なくトイレがあるような場所を探す。 初めて降り立った駅のため、土地勘はない。だがちょうど改札の近くに一軒のコンビニが見えたので駆け込んだ。店員に断りを入れ、息子は店の奥にあるトイレに向かう。 Gさんが

【実話怪談32】怪光

謎の発光を2度見たことがある、という四十代女性Dさんにメールでお話を伺った。承諾を得て本文を転載する(一部改変、割愛した)。 (1度目) 時期:2000年(季節不明)23~24時ごろ 場所:埼玉県朝霞市 仕事が終わって、妹と最寄り駅で待ち合わせしてました。バスも終わってしまって 2人だったんで、徒歩で家まで20分歩いて帰ることにしました。 程よい田舎なんで車はまばらに通ってましたが、ほぼ人はいない道でした。民家、畑、小学校、林道をテクテク、くだらない話しをしながら、ほぼ

【実話怪談31】怪火

「一度だけ、火の玉を見たことありますよ。部屋の中で」 今から約30年前、営業マンのUさんが小学6年のころの話だそうだ。 彼は三人兄弟の長男で、夜はいつも三段ベッドの最上段を陣取って寝ていた。 ある夜(季節は憶えてないとのこと)、寝ていたUさんは、ぱちりと目が覚めた。深夜、時間は不明である。瞼は開いているのだが、身体が動かない。人生で初めての金縛りだった。そして真っ暗な室内で、横向きで寝ていた彼の視線の先に、それが見えた。 「ちょうど、三段ベッドの最上段で横になっている僕

【実話怪談30】後ろ姿

女性Wさんの体験した話。 幼い頃の話であるため、大部分は後から家族に聞いた話となる。 彼女が四歳ごろ、入院していた曾祖母が亡くなった。 曾祖母は、とっつきにくく不気味な雰囲気で、彼女以外の家族はあまり近寄らなかったという。 Wさんだけは、幼かったせいもあるだろうが、曾祖母に対して怖さは微塵も感じなかった。曾祖母は脚を悪くしていたので、どこかへ一緒に出かけたことはない。だが入院前は自宅で一緒に過ごす時間も多く、懐いていた。 曾祖母が亡くなって間もない、ある夜のこと

【実話怪談29】おんなのひと

男性会社員の孝弘さんは、十年ほど前、仲の良い数組の家族と一緒に関東地方のキャンプ場に行楽に出かけて、そのコテージに宿泊した。 翌朝。コテージで孝弘さんは出発のための荷造りに追われていた。 「おんなのひとが、いるよぅ」 外にいた、ある家族の小学校低学年の男児の声が耳に届く。自分たち以外の宿泊客がいても不思議ではないし、手が離せなかったので孝弘さんは悪いと思いつつ無視した。 「おんなのひとが、おちたぁ」 しばらくして、さっきより大きな声が飛んできた。 コテージ近くには

【実話怪談28】人の姿

あるタクシードライバーが、京都府の長岡京市郊外をタクシーで客を乗せずに夜間走行しているとき。 ヘッドライトのハイビームを照らしながら、竹藪に沿った直線道路を車で走っていると、前方に人の姿が映し出された。 ライトの光が届くギリギリの距離、車の約百メートル先に見える。 上下とも白い服装で、大人だと思われるが男女の区別や年齢の判別はできない。道路の真ん中に立っているように見えた。おそらくこちらを向いているが、ハッキリとはわからない。なにかトラブルで助けを求めているとか、手を振っ

【実話怪談27】清滝トンネル(京都)

「京都なんて、お化けとか日常茶飯事だよ」 京都でタクシーに乗車したときに、運転手の初老男性が私に放った印象的なセリフである。 彼が清滝トンネル(京都屈指の心霊スポット)を車で夜間走行しているときの話を、興奮しながら語ってくれた。 「トンネルの天井から、肩から上だけの髪の長い女性がぶら下がってたことがあるよ。口元は笑ってた」 清滝トンネルは一方通行の細いトンネルのため、上になにかあると視界のど真ん中に入ってしまう。生きてる人間でないのは、明白だった。 ハンドルを強く握