【怪談実話116】二本の井戸
十八年前、十代だった裕子さんは当時の彼氏A、男友達のB、Cと夜間にドライブに行った。Aの運転で彼の地元の田舎に向かい、車内では音楽を流してカラオケボックス状態で楽しみつつ、道中で狸や猪を見かけては皆子供のような声を上げていた。漆黒の田園地帯を直進していると、久し振りに信号が見えた。赤信号のため、車は止まる。
停車中、Bが「なぁ、あそこって何なん?」と指を差しながら訊いてきた。Bが言う方向に目を向けると、薄暗い木々の中に鳥居が見える。「行ってみようや」とCが促し、鳥居付近まで